#訪問介護通所介護のニーズに比例し事業所数は30,000件超!!!

介護には施設介護と在宅介護がありますが、施設介護は文字通り、施設に入居してもらって生活していくもの。

しかし、スタッフ不足なども相まってあまり伸びていないというのが現状です。

それに対して伸びているのが、在宅で介護をして施設に通所してもらう「在宅・通所介護」。また、訪問介護なども伸びを見せています。

施設介護に比べて費用が抑えられる在宅介護に力を入れるよう国も働きかけています。

増え続ける高齢者問題に、なんとか在宅介護で手を打とうとしているのです。


在宅介護の柱である訪問介護と通所介護を見てみると、ニーズは非常に高いことがわかります。 

公的介護保険制度では、20種類以上のサービスが給付対象となっており、よく使われている介護サービスの上位10種類は、通所介護が4万3,406事業所、居宅介護支援が4万127事業所、訪問介護が3万4,823事業所と、非常に多くの事業所数があります。


ふだんの介護で、事業所が多くてよく使われているのが訪問介護と通所介護だと言えるでしょう。


ちなみに、居宅介護支援とはケアマネがケアプランを作成するサービスで、これから介護を受ける人やその家族と相談し、ケアプランを作成していくもの。


訪問介護・通所介護の利用者と提供者の推移

介護サービスの利用者数はどんどん増えています。

介護保険のサービスが始まったのは2000年ですが、2014年度までに要介護者・要支援者の数は2.4倍に増えています。

高齢者そのものの数が増えたことや長寿化が影響して、体の具合があまり良くない高齢者が多くなってきたことが原因として挙げられます。

2000年には247万人だった要介護・要支援認定者ですが、2014年度には592万人にも増えています。


それに伴って、訪問介護・通所介護の利用者数も増えています。

2001年に62万人だった訪問介護が2015年には98万人、同じく2001年に60万人だったの通所介護が2015年には139万人と、それぞれ1.6倍、2.3倍に拡大。

利用者数は増加し続けている様がみてとれます。

2006年には、要介護1の人が要支援に切り替わった影響で利用者数が減っているように見えますが、それ以降は増え続けています。


一方、訪問介護・通所介護のサービス提供者はどうでしょうか。

2000年に1万事業所だった訪問介護が、2015年には3.5万事業所、2000年に0.8万事業所だった訪問介護が2015年には4.3万事業所と、それぞれ3.5倍、5.4倍に増えています。

 事業所数は介護を必要とする人の数を上回るペースで伸びているのです。


つまり、1事業所あたりの利用者数は減少しているということになります。

職員数を見てみましょう。

訪問介護は2000年に8万人の職員数でしたが、2015年には21万人、2000年に7万人だった通所介護は2015年に32万人まで増加しました。

それぞれ2.8倍、4.4倍という伸びを示しています。 

要介護者の増加とともに、訪問介護・通所介護事業所のサービスを提供するための人員も増加の一途をたどっているのです。



採算は取れているのか!?

では、訪問介護と通所介護の収益性事情はどうなっているのでしょうか。

訪問1回あたりの収入は、回数が増えれば減っていきます。

訪問介護は、お風呂や食事の介助などの身体介護が主となる場合と、掃除や洗濯などの生活援助が中心となるものがあります。

介護報酬で運営されている以上、身体介護のほうが生活援助よりも単価が高く、サービスあたりの収入は大きくなるのです。


そのため、小規模事業所では身体介護を行い、単価を高くもらっているケースが多いのです。
反対に、大規模な事業所では回数を増やして低単価を補うタイプの生活援助を行っていく傾向が見て取れます。
 

利用回数が少なくなれば、小規模事業所においては採算割れが起きてしまうのに対し、利用回数が多い大規模事業所では黒字になります。

やはり利用頻度が収益の明暗を分ける形になってくるでしょう。

こちらの調査は、事業所の立地別でもリサーチしています。

事業所の立地別に見れば、訪問介護において大都市の収益性が高いのです。

介護報酬の割増や、訪問回数なども多いことから大都市の収益性が高いものだと考えられます。

反対に、地方都市では収益性が低いのです。


それでは、通所介護の収益性の方も見ていきましょう。

通所介護における利用者1人あたりの収入は、利用者数が増えると減っていきます。

なぜなら、利用者数が多いほど介護報酬が下がる仕組みになっているから。

ところが、人件費や施設にかかる減価償却費などがそれ以上に減っていくので、利用者数が多ければ収益性は高くなるのです。


こちらにも事業所の立地別の調査があり、高い収益性を示しているのは大都市よりも地方都市のほうであることがわかります。

通所介護は、訪問介護に比べて人件費の比率が低いのです。

それは、施設などの費用がかかることにも関係しています。


人件費率が低いため、地域ごとの割増率があまり関係なく、収入にあまり差はありません。

ですが、支出の方は送迎委託費や施設の清掃委託費などの関係で人件費がかさみ、大都市のほうがよりコストのかかる結果になっています。 

こちらは、地方都市のほうが収益性は高いという逆転の結果となりました。



ヘルパーや介護員の働きがい、賃金事情は?


介護職員の賃金は、全職種に比べて著しく低く、20歳~50歳にかけての賃金上昇も見られません。

通常は、50代になるにつれ、一般的な職業だとマネジャーなどに昇給することで給与が伸びます。


それに対して、ホームヘルパーや福祉施設介護員の場合は賃金が上昇していません。

現在も生活そのものが厳しく、将来設計も立てられないということが推測できます。 

特に、介護職員に比べて訪問介護の職員では非正規職員の割合が高くなっており、こちらも同じく賃金の上昇が見られず、厳しい状況にあることが見て取れます。


労働条件への不満もアンケートに出ています。

「仕事内容のわりに賃金が低い」、

「有給休暇が取りにくい」

「身体的負担が大きい」

「業務に対する社会的評価が低い」

「精神的にきつい」

などが挙げられました。 

労働環境が厳しい上に、社会的評価が低いなどの不満が年々高まっていると言えるでしょう。


ニーズ拡大の一方で、適切な事業戦略が必要

訪問介護・通所介護のニーズは高まる一方です。

その中で待遇を改善していくためには、利用者数、利用回数双方の頻度を高めていくことが重要だと考えられます。

大都市では訪問介護、地方都市では通所介護と、それぞれの特性を踏まえてサービスを展開していくことが大切です。


しかし、介護職員の待遇を改善しないことなしに、問題の解決は始まりません。

労働条件およびキャリア形成など、根本的に考え直して行く必要があります。

労働環境は年々厳しくなっていくことがアンケートの結果からもわかっており、それに係る不満も高まっています。

介護職に就く際に持っている高い職業意識を就職後も持ち続けられるように促していくことも、定着率の維持には欠かせません。

正規化なども含め、総合的に進めていく必要があるでしょう。

介護に関する社会的評価は「社会全体」で考えていかなければならないのではないでしょうか。



Kim Jong Kook (김종국) - One Man (한 남자)


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