#国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」!!!
すべての国民が公的な医療保険に加入している現在の国民皆保険について、医師の半数が「維持できない」と考えていることが29日、日本経済新聞社などが実施したアンケート調査で分かった。
高齢化や医療技術の進歩で治療費が高額になっていることに医療現場で働く医師の多くが強い危機感を抱えている。
医療の効率化の必要性を挙げる医師も目立った。
2017/6/30
調査は日本の医師数の3分の1に当たる約10万人が登録する医師向け情報サイトを運営するメドピアの協力を得て6月中旬にインターネットを通じて実施。
全国1030人の医師から回答を得た。日本の医師数は勤務医が約19万人、開業医が約10万人だが、回答者は勤務医81%、開業医19%で、勤務医が多かった。
国民医療費は1990年度に20兆円を超え、2015年度は概算で41.5兆円。
政府の推計では25年度には54兆円に達する見込みだ。
こうした状況について「現状の皆保険制度に基づく医療は今後も持続可能と思うか」と尋ねたところ、「そうは思わない」との回答が539人(52%)に達した。
勤務医と開業医による傾向の違いはなかった。
自由回答で理由を聞いたところ、「高齢者の医療費が増大しすぎている」「医療が高度化して薬剤などが高額になっている」などのコメントが目立った。
持続可能と答えた医師は261人(25%)。
だが「患者負担の増加が必要」「消費増税があれば」など持続するための条件を付けており、現状のままでは維持が難しいとの認識が大半を占めた。
「持続不能」と答えたのは年代別で30代が58%と6割に近く、40代も54%で、若い世代の危機感が強い傾向があった。
「持続不能」と答えた東京都の勤務医男性(63)は「支払い能力のある人にもっと払ってもらわないと維持できない」と回答。
日本医師会も「皆保険を維持するため、国は増え続ける医療費に対応できる財源を確保すべきだ」としているが、長野県の勤務医男性(59)は「過剰診療も大きな問題。医師の意識改革も必要」と医療界の対応を促す声もあった。
海外では大病院の受診はかかりつけ医の紹介状が不可欠など受診制限があるが、日本では患者は自由に医療機関を受診できるフリーアクセスが認められている。
このため日本の通院回数は海外の1.5~3倍程度と多く、医療費増加の一因になっている。
今回の調査では長野県の勤務医男性(38)のように「フリーアクセスに一定の制限」を挙げる声もあった。
高齢者や患者の負担増については改革案が検討されてきたが、「これ以上の負担は厳しい」などの反対意見で見送られてきた。
フリーアクセスの見直しも日医などの反対で進んでいない。
負担増や増税がなければ薬価だけでなく、医師の診療費も削減対象になる。
今回の調査では負担増のほか、医療の効率化の必要性を認める声もあった。
医療保険財政に詳しい小黒一正・法政大教授は「医療費抑制のために診療費が削られることを心配しているのだろう」と指摘している。
75歳以上の1人当たり医療費、市区町村で格差2.6倍
75歳以上の1人当たり医療費が市区町村で最大2.6倍の格差があることが日本経済新聞社の全国調査で分かった。
同じ県の市区町村でも2倍を超える格差があるケースもあった。
1人当たり医療費が全国平均を大きく上回っていても、死亡率が高い市区町村がある。
逆に医療費が少なくても死亡率が低い市区町村もある。
「なぜ格差が生じているのか」。
医療費が年々増加する中、調査を通じて、対策どころか原因の分析さえできていない現状が浮かび上がった。
2016/12/19
政府は75歳以上の医療費については2008年度から「後期高齢者医療制度」を導入し、47都道府県ごとに市区町村で構成する「広域連合」が運営している。
今回の調査では制度を導入した08年度以降の市区町村別の1人当たり医療費について、日本経済新聞社が47都道府県の各広域連合から入手した。
都道府県単位では厚生労働省が集計しているが、市区町村単位で明らかになるのは初めて。
全市区町村(約1740)のデータが入手できた14年度でみると、最も高かったのは福岡県宇美町で約133万4千円。
高知県土佐市、長崎市を含めて計3自治体が130万円を超えていた。
最も低いのは東京・御蔵島村の約47万6千円で、50万円台の市町村も長野県売木(うるぎ)村など15自治体あった。
都道府県別の自治体間の格差では、福島が2.35倍で最も多く、北海道(2.05倍)、東京(2.12倍)、長崎(2.19倍)の4都道県が2倍を超えた。
このほか14府県は1.5倍を超えており、格差が目立った。
こうした医療費の格差は死亡率とはほとんど関係がない。
厚労省は年齢構成が異なる自治体でも一定の期間の死亡率を比較できる「標準化死亡比」を算出しており、比較してみる。
全国平均ならば「100」だが、100を上回ると死亡率が高く、低いと死亡率が低いことになり、“長寿度”の物差しになる。
厚労省によると、14年度の75歳以上の1人当たり医療費は全国平均で93万2290円で、今回の調査では福岡県大任町は1人当たり医療費が約122万4千円で全国平均より約30万円高いが、標準化死亡比は男性が155.3で、女性は134.9といずれも高い。
医療費を無駄に使っている可能性がある。
逆に長野県売木村は1人当たり医療費は約51万円と約40万円低いが、死亡比は男性が68.2、女性が80.1と低く、医療費が低くても低い死亡率を実現しており、医療費と“長寿度”はあまり関係がないようにみえる。
こうした検証の結果、全国平均を上回っている約600自治体の1人当たり医療費を全国平均まで引き下げることができれば、年間で約14兆4千億円の後期高齢者の医療費を約8740億円削減できる計算になる。
人口が多い大都市ほど、1人当たり医療費の削減の効果は大きい。
例えば札幌市は約123万8千円で全国平均を約30万円上回っているが、全国平均まで引き下げることができれば約720億円(約24.7%)減らすことができる。
このほか全国平均を上回っている京都、大阪、高知、広島、福岡、北九州、熊本など13市が全国平均になれば合計で約4千億円の削減効果がある。
今後、1人当たり医療費が同じ水準を維持しても高齢化で75歳以上の高齢者が増えるため、2030年には後期高齢者の医療費は21兆2220億円と、約1.5倍に増える見込みだ。
実際には1人当たりの医療費は後期高齢者医療制度の導入後も増加が続いており、このままでは総額はさらに増える可能性が高い。
厚労省によると、1人当たりの平均医療費は生涯で約2600万円だが、70歳以上で半分を使っている。
後期高齢者医療制度の導入は費用と負担の関係を明確にするとともに、多額の医療費を使う高齢者の医療費を適正化する狙いもあった。
「高齢者を差別している」などとして、制度廃止を公約に掲げた民主党(当時)が09年に政権交代を実現したものの、抜本的な改革をしないまま存続。
市区町村で構成する広域連合は合議体で責任の所在が曖昧になっており、こうした市区町村別の1人当たり医療費の格差などを放置しており、税金だけでなく、現役世代からの保険料の約4割の支援金などを受けながら、保険者として機能不全に陥っている。
今回の調査でも「1人当たりの医療費格差のデータはまとめているが、原因分析や対策はしていない」という広域連合が多い。
最も1人当たりの医療費が高かった福岡県宇美町を抱える「福岡県後期高齢者医療広域連合」。
同県は14年度は県内の全市町村の1人当たり医療費が全国平均を上回っている。
広域連合の担当者に宇美町の医療費が高くなっている理由を尋ねても「数値を出しているだけで、細かい分析はしていない」と首を振る。
同町役場も「対策はしてきたつもりだが、なかなか効果が上がらなかった」といい、「後期高齢者の対策は、広域連合に頼ってしまっていた部分もある」と反省する。
今回取材した中には「市町村に了承を得ないと、データを公開できない」と市町村に配慮して、十分な対策を打ち出せない広域連合もあった。
政府の経済財政諮問会議の有識者委員の一部は16年10月、「メリハリをきかせた歳出改革」のため「医療・介護費の伸びの抑制」と「1人当たり医療費の地域差の半減」を提案した。
この提案は現役世代を含めた1人当たり医療費としている。
だが適正化を実現するためには、現役世代を大きく上回る医療費を後期高齢者について、標準化死亡比など「結果に結びついているのか」を市町村単位で分析し、対策を打ち出すことが求められている。
Heartstrings OST: Because I Miss You (Jung Yong Hwa of CN Blue)
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