変わる弔いの形(5) ... #葬儀費用の見積書!!! 「#住職が副業…」困窮するお寺が増えている!!!
子どもたちに経済的な負担をかけたくないと思うなら、あらかじめ費用を把握し、準備しておくことです。
葬式費用は、規模や形態はもちろん、棺や祭壇のランクひとつで変わってきます。
鎌倉新書「いい葬儀/第2回お葬式に関する全国調査」(2015年)の結果を見ると、葬式にかかった費用の平均額は約119万円、ボリュームゾーンは100万~120万円未満となっています。
ただし、この金額はあくまでも葬儀社に払う葬式自体の費用で、ほかに寺院へのお布施や飲食・接待代、関係者への心付けなどが発生します。
会葬者(弔問客)の数にも左右されますが、こうした費用も含めたトータルの金額で考えるのが賢明です。
お葬式の予算は先に総額でいくらまで出せるかを決め、見当をつけておくといいでしょう。
ちなみに、葬儀社、お布施、飲食・接待代という各費用に3分の1ずつ割り当てるとバランスが取れるといわれています。
ただし、祭壇を設けなかったり、告別式を行わなかったりする場合はこの限りではありません。
下表は一般的な葬式の見積書の例です。
葬儀社に見積もりを頼む際は、細かい内訳がわかる状態で出してもらい、できれば身内などを交えて検討しましょう。
「一式」「セット」としてまとめられている場合は、何がどこまで含まれるのか、不要なものは削れるのかなど説明を求めます。
この例では葬儀に関わる「基本プラン」と会葬者の人数により変動する「変動費」に分かれています。
だいたいの人数を想定して出してもらい、追加分の対応も聞いておきましょう。
変更が出た場合は、口頭の約束だけでは後でトラブルになりがちなので、再度見積もりを出してもらったほうが安心です。
<葬儀費用>
・祭壇、棺、火葬など、葬儀・告別式自体に関わる費用
・斎場ホール使用料、設備費、人件費
・遺体搬送・保管料など
・返礼品、香典返しなど外注品代
<お布施>
・通夜勤行、式勤行
・火葬場同行、炉前勤行、初七日勤行
・戒名料
・車代などの経費
<飲食・接待>
・通夜振る舞い
・火葬場での軽食
・葬儀後の精進落とし
<その他>
・親族などの宿泊代
・特別なお礼
・関係者への不祝儀、心付け
・飲料など、その他の雑費
【葬儀費用の見積書の例】
<A基本的なプラン>
セレモニー関連、式場料、車両代、立て替え金などに分かれている。
このほか、住職紹介を依頼した場合、読経・戒名料などがかかる
(1)棺の仕様は各種あり、値段が変わるので、希望を伝える
(2)会員登録制の葬儀社では会員向けの割引制度も
(3)立て替え金は葬儀社がいったん業者に支払い、その分を後から請求
※見積書例提供:葬想空間スペースアデュー
葬儀費用の見積書の例】
<B変動費>
会葬者の数や遺族の要望に応じて変わる変動費は、花飾り(祭壇)、料理、会葬返礼品、宿泊料など。人数追加への対応も確認しておこう
(4)花飾りもボリュームによって費用が変動する
(5)飲食代や返礼品などは人数や内容により費用が変動する
※見積書例提供:葬想空間スペースアデュー
■戒名についてはどう考えればいい?
「戒名」は宗派によって呼称(法名・法号など)や考え方も違います。
仏式葬儀では菩提(ぼだい)寺から授与されるのが原則。
最近は院号や位号(居士・信士など)にこだわることなく、自分の希望する文字や、生前に自分自身が考えた戒名を住職と相談することもあります。
いずれにしても戒名を授かることは、同時に供養責任を住職に委ねる証しでもあるので、お布施は命名の御礼ということではありません。
その後の供養をお願いするという気持ちをもって、お寺と直接相談するのがベストです。
読経や戒名はオプション 安っぽくない「小さなお葬式」が話題...
ユニクエスト・オンラインが2009年から始めた「#小さなお葬式」は、通夜と告別式を行わない直葬(火葬のみ)プランを選べば、わずか17万8千円だ。
読経や戒名はオプションで、例えば、炉前で読経してもらい、戒名を授与された場合は、葬儀料金と別に5万5千円がかかる。
火葬だけでは忍びないという顧客には、「火葬+告別式」で33万8千円、
「火葬+通夜+告別式」で49万8千円というプランも用意されている。
全国平均120万円と言われる葬儀料金と比べると、圧倒的な安さである。
「本当に葬儀に必要なものだけに絞った」と同社は自信を見せる。
「小さなお葬式」は、コールセンターに電話をかけてきた顧客に、「特約店契約」を結んでいる全国の葬儀社を紹介する仕組みだ。
全国800社の葬儀社と提携し、すでに年間1万件以上を手がけている。09年から開始してたった4年で、飛躍的な成長を遂げている。
さて、どうして、これほど伸びたのか。
理由の一つは、これまでの葬儀料金が不透明すぎたことだ。身内の突然の死で混乱しているときに、法外な料金を請求する葬儀社が少なくなかった。
葬儀料金は基本的に「言い値」であり、口約束で契約書は交わさない。
見積もりと請求額の差が大きいことは当然だった。
とはいえ、喪主がクレームをつければ、「お金にこだわってばかりで人の死を悲しみ悼んでいない」と、周りに冷ややかな目で見られかねない可能性もある。
「『小さなお葬式』は、セットプランで追加料金なし、という明朗会計が受け入れられたんだと考えています」(広報担当者)
二つめの理由は、「子どもや親戚に経済的な負担をかけたくない」と、自ら質素な葬儀を望む人が増えたことがある。
特に菩提寺(ぼだいじ)を持たない都市部にそうした考えの人が多いそうだ。
また、死亡する年齢や喪主の高齢化に伴って、葬儀に参列する人が少なくなった。
同社が用意するプランが家族葬が中心なのも、そんな社会の変化がある。
同社の田中智也社長(34)は、葬儀業界をバッサリ切る。
「4千円、5千円で仕入れた棺をこれまで10倍近い値段で葬儀屋は売ってきた。そんな不明瞭な業界はあり得ないですよ」
そして、こう続ける。
「人は平等に死んでいくんです。しかし、死ぬときの経済状況はそれぞれ違う。借金をかかえた人もいれば、貯蓄が1億円の人もいる。しかし、葬儀屋が提供するのは高価なモノしかなかった。最低限のものでいいという人もいるのに。自動車にはレクサスがあれば、ワゴンRもある。我々はワゴンRを作り、そして売る」
価格のカラクリすべて話します、葬儀社社長の匿名誌上座談会...
──近年、手ごろな価格のプランで葬儀社を紹介する“ネット葬儀社”が増えています。
業界にはどのような変化が?
A:単価が確実に下がりましたね。10年ほど前までは200万~300万円かけてお通夜と告別式をやるのが一般的でしたが、あるネット葬儀社の調べでは最近の平均単価は120万円前後。
ウチもネット葬儀社から仕事をもらってるんですけど、ここ5、6年で、1日で告別式だけやる“一日葬”や、火葬だけの“火葬式”が非常に多くなっています。
単価にすると50万円未満の葬儀がほとんどですね。
C:病院と契約している業者は特に大変みたいですね。私が某都立病院の関係者に聞いた話では、2、3年前までは病院で亡くなった方の葬儀をその“病院付き”の葬儀社が行う比率は4~5割だったそうです。ところが、今は1~2割。
「病院と契約している葬儀社は高い」という情報がメディアを通じて知れ渡ってしまったので、敬遠される遺族が増えたようです。
●契約料は2千万円
──病院と葬儀社の関係はよく耳にします。なぜ、そうした葬儀社は、高くなるのでしょう?
C:大半の病院は特定の葬儀社と契約を結んでいます。その病院で患者さんが亡くなると、病院付きの葬儀社が病室から霊安室に運び、ご遺族の方と今後について打ち合わせます。このような病院付きの葬儀社は莫大な経費がかかるため、高くなりがち。当社の近くの民間病院ですと、年間2千万~3千万円積まないと契約できないと聞いてます。病院に泊まり込む当直の人間も置かなくてはなりません。
B:霊安室の賃料を支払うかたちの契約もありますよ。月20万~30万円とか。その場合も、霊安室のカギをもらって、その部屋の隅に机を置いて電話線を引っ張って、と諸々かかります。
──病院にはどういう名目でお金を払うのですか?
A:病院への寄付だったり、救急車の寄贈だったりと様々。なかには病院の改装費用を出して入り込む葬儀社もある。改装現場の立て看板を見てみたら、施主が葬儀社だったっていうことはザラにあります(笑)。
B:それでも、やっぱり病院付きの葬儀社に頼むお客さんは一定層必ずいるんですよね。お世話になった院長や婦長さんに紹介されたから、むげに断るのも悪いと思ってしまう遺族もいる。
●法外なキャンセル料
A:葬儀社の人間が医者と同じ白衣を着ていることもありますね。だから本当は葬儀社の人間なのに遺族が勘違いして、「病院の方が言うなら」と言われるがまま、契約してしまうこともある。
B:ほかの患者さんの目を気にして白衣を身に着けているという面もあると思います。スーツ姿の人間が病院内でご遺体を運ぶと目立ちますので(笑)。
──契約を途中でキャンセルしてもいいわけですよね?
C:もちろん、病院付きの葬儀社に搬送してもらってからでも、キャンセルは可能です。ただ、そのときも用心が必要。法外なキャンセル料をふっかける葬儀社も少なくないですから。葬儀3日前にキャンセルして、キャンセル料を約65万円も取られた人を知ってます。花なんて前日に飾るのに「発注したから」とその分も請求されてましたよ。
B:通常ならドライアイスが1日5千円×日数分で、遺体を包むポリマーシーツが5千円、病院から安置所への搬送料が3万円程度ですから、5万~6万円のキャンセル料が妥当なところ。
C:それにしても、病院に入り込むのに、どこも本当によく努力されてますよ。都立だと抽選で複数の葬儀社との契約を決めるので、実態は同じなのに異なる葬儀社名で抽選に申し込むのが常套手段。「アエラ葬祭」が「AERAセレモニー」というグループ会社をつくって抽選に申し込んで、確率を上げようとする。
B:でも正直、お役所の営業に比べたら、病院なんて楽なものだと思いますよ。私が以前勤めていた葬儀社は、生活保護受給者の葬儀が9割を占めていたんです。そのような方たちが亡くなった場合は、自治体から20万6千円の葬祭扶助が出るから、契約上は遺族の依頼を受けて葬儀を行うにしても、事実上、役所から受注することが多いんです。ただ文字通りお役所仕事だから、営業に行っても新規の業者は入り込めない。かといって、顔を出し続けないと仕事がもらえない。当時は、ある役所の依頼でご遺体を引き取りにいったら、遺体をのせた寝台車であちこち役所に顔を出すということを繰り返していました。そうやって3年間顔を出し続けて、1件しか仕事をくれなかった役所もあります……。
C:まさか、役所の駐車場に遺体がのった寝台車が止まっているとは誰も思っていなかったでしょうね(笑)。
A:似たような話で、遺体を預かる民間の安置の専門会社が、トラックに遺体を安置していて騒ぎになったことがありましたね。都内ですと、斎場を持たず、マンションの一室で葬祭業を行っている小さな会社も少なくない。そういう会社は公営の斎場や火葬場を利用して葬儀を行うのですが、安置所がいっぱいだと、民間の専門会社を利用せざるを得ない。けど、その専門会社もマンションの一室でやったりしているので、トラブルも起こるんですよね。
●葬儀を斡旋する坊さん
A:葬儀業界にはまだまだ悪いヤツがいっぱいいますよ。私は、初対面のお寺のお坊さんから、「金持ちの檀家を紹介するからキックバックしてくれ」と、接待されたこともあります。待ち合わせは帝国ホテルのバーで、なぜか銀座のクラブ嬢らしき女性も一緒でした(笑)。そこで一杯飲んだ後、銀座のてんぷら屋で食事して、クラブに行くというフルコース。銀座では、道行く人が「先生、先生」と頭を下げるんで、ビックリしました。不愉快な態度を取られたので、付き合いはそれっきりですけど。
C:町内会長が亡くなった町内会員に対して、特定の葬儀社を紹介して、キックバックをもらうという話もあります。その癒着ぶりを目の当たりにした町内会の関係者が「会長に知られないように葬儀をやってほしい」とウチに駆け込んできたこともある(笑)。
A:あとは、“ネット葬儀社”にも評判の悪いところはありますね……。その典型は、某流通グループのネット葬儀社。彼らはお客さんの要望に合わせて葬儀社を紹介する仲介業的ポジションなのに、なまじブランド力があるから、我々を下請けのように使おうとする。紹介先の葬儀社はランク付けされていて、「A」から優先的にお客さんを紹介してもらえるんですけど、これは数万円を払って講習を受ければ簡単にランクが上がります。各葬儀社にはそれぞれの仕入れルートがあるのに、そのネット葬儀社は自社で仕入れた棺などを、提携先に購入させるかたちで、業者から搾り取ろうとする。私はあまりにも腹が立ったんで仕事をするのを辞めました。
●家族葬の落とし穴
──結局、あくどい葬儀社に騙されないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
C:今は事前相談が一般的になっているので、亡くなる前に複数の葬儀社に相談に行ってみるのがいいでしょうね。見積もりを断ってくるようならば、悪質な業者。相見積もりを取られて、他社と比較されるとボロが出ると考えているのがみえみえです。
A:流行の「家族葬」だと、金額を抑えられると思っているお客さんが多いですね。お客さんとしては、ぼったくられないように予防線を張っているつもりなんでしょうけど、実際には「家族葬○○万円」と謳っていても、斎場費用が含まれていないことが多い。個人経営の葬儀社ですと、依頼に応じて公営の斎場を押さえるので別建てにしているんです。さらに、通常なら安置する日にちを考えると、最低でも3日分のドライアイスが必要なのに、最低限のセットプランでは1日分しか含まれていなかったりする。加えて、多いのがそのセットプランに戒名料やお布施が含まれていると勘違いしてしまうケース。そうした積み重ねで、5、6人の小規模葬儀にもかかわらず、100万円以上請求してくる葬儀社はまだまだある。言葉に踊らされず、見積もりの項目を細かくチェックすることが重要ですね。
今、お坊さんは本業で生活が成り立たくなり、副業に走るのが当たり前といった厳しい立場に置かれている。
背景には、檀家の信仰心が影響しているという見方もある。
一方、寺の困窮の理由は信仰心の希薄化ではない、と指摘するのは、僧籍を持ち、お寺事情に詳しい専門家だ。
「信仰心が薄れている、とよく言われますが、実際には日本人は信仰心が強いんです。
仏壇や神棚への礼拝は変わらず行われていますし、流行の『終活』は死後の見えない恐怖から逃れるためのものです」
統計数理研究所の「日本人の国民性調査」では、「宗教を信じるか」を1958(昭和33)年から5年おきに調査しているが、数字に大きな変動は見られない。
そのほかの調査でも仏壇への礼拝や、お盆やお彼岸の墓参り、初詣といった数に大きな変動は見られていない。
ではなぜ寺は困窮するのか。
「寺の困窮は、首都圏と地方で圧倒的に格差があります。首都圏のお寺で経済的に困っているところはそこまで多くない。大きな原因はやはり“過疎化”です。村が消滅すれば、寺も消滅します」(前出の専門家)
同様の指摘をするのは寺院デザイン代表として、お寺のあり方など数多くの講演を手がける薄井秀夫氏だ。
「寺というのはそもそも、人の住む中心に建てられたものであって、寺ができてから人が集まったわけではありません。寺がコミュニティーを作ったわけではないので、人が移動してコミュニティーが崩壊、地縁がなくなれば、寺を支えるメリットがなくなるんです」
人口の一極集中、核家族化など、お寺が抱える問題は多いが、そういった現代の事情に適応できていないという。
文化庁の「宗教関連統計に関する資料集」(2015年)によれば、寺院数は明治時代からほとんど変わっていないにもかかわらず、お坊さんの数は約7倍に膨れ上がっている。
薄井氏は続ける。
「お坊さんの数が爆発的に増えたのは、高度経済成長の時代に寺が潤ったからです。みんながお金を持っていたから、お布施でも寄付でも住職が望む額を“忖度”して払っていたんです。でも同時に人口の一極集中化が進んでいき、地方の寺は取り残されていく。人口が偏る今の状況は目に見えていたのに、檀家制度に胡坐(あぐら)をかいていたという側面は少なからずあるのではないでしょうか」
過疎化は喫緊の課題だ。
和歌山県に総本山がある高野山真言宗は、過疎対策に乗り出した。
きっかけは、日本創成会議が14年に発表した「#消滅可能性都市」。
全国の自治体のうち約半数が40年までに消滅する可能性があると指摘するものだ。
全国に約3500ある高野山真言宗の宗教法人のうち、45.5%の寺が「消滅可能性都市」にあることから危機感を持った。
対策として、四つ提言されている。
一つ目は高野山真言宗全寺院のうち約3分の1を占める兼務寺院の解消だ。
檀家の減少や後継者探しの停滞などの要因から兼務住職が増えている。
兼務住職は行事や法務といった日ごろの活動が鈍り、本来の寺院活動に支障が出かねない。
日常的に先祖祭祀ができる住職が求められていて、僻地でもくじけない志を持つ僧侶確保のために、一般人にまで門戸を広げることも考えている。
二つ目は僧侶の育成。
寺院後継者ではない在家出身の僧侶が還俗(げんぞく)してしまう実態を変え、脱サラや定年退職などの社会人経験が豊富な人材が過疎地域の住職として受け入れてもらえるような制度設計を巡らせている。
三つ目は寺院の活性化。
寺と檀家のつながりが希薄となり、寺離れは僧侶不信が原因とも考えている。
地域住民や自治体、観光業などと連携し、寺を身近に感じてもらうことが重要だ。
四つ目が都市部に寺院同士の情報集約や相談対応などの窓口を担う情報センターを設置することだ。
檀家の移住によって進む離檀を把握し、経済基盤が弱体化した地方寺院のリスク低減の機能を期待できる。
活動を知る山梨県内の40代の住職は言う。
「60代や70代の団塊の世代が亡くなったら、寺のあり方は様変わりします。特に地方はそれが顕著にあらわれるはずです。今以上に檀家さんからの固定収入は計算できなくなり、お坊さんは食べていけなくなるでしょう。現時点ですでに寺の収入はどんどん減っています」
寺の大事な収入の一つ、法事でのお布施もすでに収入として計算できなくなっている。
かつては当たり前に行われてきた十三回忌や十七回忌といった、2桁数字の年忌法要は減少している、とこの住職は言う。
「これまでは暗黙の了解で行われてきたものに説得力がなくなってきたんだと思います。寄付や護寺会費にしても、納得してもらえないと『抜けるよ』と言われることも増えてきました」
別の関東地方の過疎の村にある寺の住職(36)は、
「寄付やお布施のお願いは言いづらいです。護寺会費は月1千円いただくことにしています。私が独り身なら、寺の維持管理も含めて生活する分には大丈夫ですが、家族を養うとなると兼業しなければやっていけません」
8年前にこの寺にやってきたこの住職は当時独身だったが、結婚して子どもが生まれると、仕事を増やさざるを得なくなった。
「高野山の東京別院で職員をしています。収入は寺と比べて倍ほど違う。週に4、5日は東京へ出て働いているので、もはや住職が副業なのだろうかと……」
寺の未来のために何が必要なのか。
「何よりも営業努力だと考えています。お葬式やお墓に対する考え方も変わってきている今、お寺、仏教を改めて理解してもらわなくてはいけません。たとえば、難しいお経を読んで誰がわかるのか。わかりやすく伝えることが一番大事で、『お経は短く、説法は長く』が肝心です」(前出の山梨県内の住職)
一方、前出の薄井氏は手厳しい。
「食えない寺は潰すか、合併するしかないと思います。お寺の規模が今の時代に見合わなくなっている。この先、仏事収入は確実に先細りになる。寺と檀家の結びつきに疑問符がついているのに、檀家制度にしがみついていては、先はありません」
周囲の顔色をうかがい、食っていくために副業をし、寺の存続を巡り頭を抱える、悩めるお坊さんたち。寺との付き合い方に答えが出る日は、果たして来るのだろうか。
ちゃんとした寺ほど食べていけない...葬儀業界の裏側
いまだ値段の仕組みに謎が多く、不透明で高額な"葬儀"。
ライターの朝山実氏は、実父の葬儀の喪主を務めてから葬儀業界に興味を持ち、お坊さんたちを取材した。
すると、葬儀業界の知られざる裏側、そして今生まれている新しい流れを聞くことができたという。
* * *
40歳を目前にして剃髪、霊柩車の運転手から、高野山真言宗の僧侶となった山本栄光さんは、大阪府内で師僧とともに修行寺を建設中だ。
護摩修行を中心に布教活動を行ってきた山本さんたちは昨年、知り合いの葬儀会社にこんな案内を出した。
「枕経、通夜式、葬儀告別式、火葬場、還骨法要、初七日、四字戒名を含めてお布施を18万円で勤めさせて頂きます」
私がお坊さんたちから直に話を聞いてみたいと思ったのは、昨年早春の父の葬儀の喪主を務めたのが発端だった。
檀那寺の住職に、「自分で考えている戒名があるんですが」と話しはじめるや、住職は「そんなバカなことは聞いたことがない。
あんた、どんなビジネスにも口出ししてはいけない領分がある。
お父さんはお墓に入れないよ」とまくしたてられた。
葬儀は、檀那寺の住職のお参りはお断りし、葬儀屋さんが紹介するお寺さんにお願いした。
自作の戒名をみてもらった上で、葬式一切のお布施は50万円ほどをお包みした。
慎ましい家族葬ではあったが、意を尽くした見送りはできたと思っている。
それでも「あれでよかったのかどうか」と考えはするもので、何人かのお坊さんに、話を聞いたりしてきた。
「うちの父が亡くなった時と較べても、一式18万円は安いと思うんですけど」というと、山本さんは、「お布施は、布を施すと書くように、お気持ちなんです。だから、お坊さんが決めるものではない」
案内で金額を明記したのは、「うちはお金がないから、火葬場で拝んでくれるだけでいい」と言う依頼を頻々と耳にするようになったからという。
なかには3万円、5万円しか出せないということもある。
そんなときにも、山本さんは「一生懸命供養させていただきます」と、枕経から初七日まで勤めた。
山本さんの寺院が異色なのは、もうひとつある。
業界では暗黙のしきたりとなっている葬儀社へのキックバックをしないということである。
「領収書をいただけるなら構わないですが、そうでないと法律に触れますから」
葬儀社にお布施の3割から半額を戻すのが、業界の隠然たる慣例だといわれる。
"裏金なし"となると、紹介してもらえる葬儀屋さんの数は限られてくる。
葬儀業界関係者はいう。
「だから、ちゃんとしたお寺さんほど、食べていけないんです」
Taeyeon & Yuna Kim - Can you hear me , Jan01.2009 2/2 GIRLS' GENERATION 720p HD
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