#発達障害支援の「#虎の巻」

発達障害は「#自閉症スペクトラム障害」や「#学習障害」などの総称で、生まれつき脳機能の一部が通常とは異なる働き方をする人に生じます。


発達障害支援の「虎の巻」 どの職場でも“あるある”と反響

2017年4月8日

他人とのコミュニケーションを苦手とする発達障害。気付かぬまま大人になり、職場で対人関係などに悩みを抱える人たちもいる中で、上司や同僚に障害の特性を理解してもらうための冊子がツイッター上で紹介され、大きな反響を呼んでいます。

発達障害への理解の助けになるだけでなく、「内容の多くは誰にでも当てはまる」といった声が目立っています。何が共感を呼んでいるのでしょうか。


4万回近くリツイート

反響を呼んでいるのは、発達障害のある人への理解を促すための『職場で使える「虎の巻」』という冊子です。

コミュニケーションや対人関係を作るのが苦手で、その行動や態度から「変わった人」「困った人」と思われ、職場や学校でトラブルになることも少なくありません。


このため札幌市では、発達障害のある人たちの就労を支援しようと、「虎の巻」を作成したのです。

作られたのは7年も前ですが、今月2日からの「発達障害啓発週間」に合わせて、冊子を紹介するツイートが投稿されるやいなや、「すごく分かりやすい」などと瞬く間に拡散。4日間で、リツイートが4万回近くにも上りました。


冊子では、発達障害の人たちが職場で上司や同僚とトラブルになりがちな8つの事例を取り上げ、原因と解決策を説明しています。


例えば、パン屋で働く自閉症の男性が「パンに適当にクリームを塗っておいて」と言われ、塗りすぎて注意されてしまうという場面。

「あんなに塗るなんて、普通ありえない」と怒る上司と、「どれぐらい塗るか教えてくれなかったのに」と戸惑う男性との間には、認識のギャップが生じています。

ところが、実際に塗り方の手本を見せると、男性はきれいに正確に塗ることができます。


これは、発達障害の人は、「適当に」「きちんと」など、あいまいな言葉から相手の意図を読み取ることが苦手な一方で、情報を目で見て理解することは得意な人が多いためです。

こうした特性を踏まえた対応のしかたが、イラストによって分かりやすく示されています。


ほかにも、「ふだんからよく使う鉄板なので当然、早くやってくれるだろう」と内心思いながら、漠然と「洗っておいて」と指示すると、一向に洗っくれないが、「今すぐ使うので先に洗っておいて」と優先順位をはっきりさせると、的確に仕事をこなしてくれることや、対人ストレスが大きく雑談が苦手なので、休憩時間は1人で過ごせるよう配慮することなど、支援のポイントがまとめられています。


強い確信が強い確信が

冊子作りに参加し、札幌市内のパン工房で障害者の就労支援に当たっている「#さっぽろひかり福祉会」の高井賢二さんによると、障害者と周囲の人たちとの認識のズレを知ってもらう、言わば“通訳本”を作ろうと考えたということです。


その際、1つの強い確信があったと言います。

発達障害の人たちは勤勉で、規則的に行動し、反復することが得意な人が多いので、周囲が接し方を配慮すれば、仕事で高い能力を発揮できるはずだという思いです。


こうして生まれた冊子は、市民や企業関係者から「理解しやすい」と大きな反響を呼びました。

札幌市は企業向け以外にも、学校編や子育て編の「虎の巻」も相次いで作成。毎年のように増刷し、これまでに8万部余りを発行したということです。

冊子作りに関わった高井さんは、「数年たって再びネットで話題になっているのには驚きですが、これを機に理解が広がればうれしい」と話しています。


“誰にでも当てはまる”

ネットでの反響の中で目立つのが、発達障害の人に限らず、多くの職場に当てはまるという声です。

「内容の多くは誰にでも当てはまると感じた」「発達障害のある人に限らず 曖昧な対応や みんながそうだろう的な扱いが受け取りにくい人はいると思うんだ」などと投稿されています。


実は、これは狙いどおりで、高井さんによると、障害の有無にかかわらず、誰にも共通することだと思ってもらえるようなコミュニケーションツールを目指したということです。


高井さんは「そもそも人の受け取り方や感じ方は多様で、多数派が正しいというものではない。誰にとっても分かりやすいコミュニケーションを意識することが、発達障害の人にとっても働きやすい職場につながると思う」と話しています。


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