#知的障がいを持つ人たちのビューティコンテスト, 日本初開催...

知的障がいを持つ人たちが出場するビューティー・コンテスト「スペシャル・ビューティー・ジャパン2017」が、東京・代々木の山野ホールで3月5日(日)に開催される。

2017年02月28日

知的障がいを持つ人たちが出場するビューティー・コンテスト「#スペシャルビューティージャパン2017」が、東京・代々木の山野ホールで3月5日(日)に開催される。

知的障がいを持つ人たちのビューティー・コンテストが開催されるのは、日本では初めて。

このイベントを企画したアメリカ・ネブラスカ州出身で、日本で俳優・タレントとしているジェイソン・ハンコックさんに、企画の背景や思いを聞いた。



■きっかけは障がいを持つ人との共演

ハンコックさんがこの企画を始めるきっかけとなったのは、母国で見たあるテレビ番組だった。

「2年前にアメリカで知的障がいを持つ人が出場するビューティー・コンテストのドキュメンタリー番組を見たんです。その映像を見て感動しました。出場している子たちの顔が輝いているんです」

ハンコックさんにとって特に印象的だったのは、出場者だけでなくその両親の顔も輝いていたことだった。

「お父さん、お母さんは、子どもを授かったときに、様々な将来の夢を抱いたことでしょう。でも生まれてきた子どもが障がいを持っていたとき、その夢の多くが叶えられない、と思い込んでしまったかもしれない」

「自分の子どもがドレスアップし、スポットライトを浴びながら笑顔でランウェイを歩き、みんなから拍手をもらう。それは彼らにとって失ったと思っていた夢を取り戻すことではないかと思いました」


■母への思い、そして日本への恩返し

ハンコックさんはアメリカでの大学生時代、ダンスサークルに所属していて、イベントで知的障がいのある人たちのチームと共演したこともあった。

日本でタレント活動をするようになってからも、ボランティアでダウン症がある子どもたちにダンスや演技を教える活動をしている。

「大学時代に共演した知的障がいを持つ人たちのダンスチームは、本当に真剣にダンスに取り組んでいた。その姿に、自分ももっともっと頑張らなければと思わされました。今ダンスを教えている子たちもみんな元気いっぱい。とても素敵です」

そんな背景もあって「日本にはまだない知的発達障がいを持つ人のビューティー・コンテストを実現するのは自分だ」という気持ちに駆られた。日本へ恩返しをしたい、という思いもあった。

「昨年亡くなった僕のお母さんが、唯一行ったことのある外国が日本でした。お母さんは日本で大勢の人に親切にしてもらって日本が大好きになったんです。天国にいるお母さんのためにも、何か日本のためになることをしたいと思った」


■様々な人との協働で深まった理解

しかし、なにしろ日本初の試み。実現までには苦労も多かった。

「自分ひとりではどうにもならないので、たくさんの人に相談しました。その中のひとりが、山野学苑の山野愛子ジェーンさんです。話を聞いて共感してくれたジェーンさんが、ヤマノホールを会場として提供してくださり、山野美容専門学校の生徒さんたちがボランティアとして参加してくれることになりました。とても大きな力でした。他にもたくさんの人の協力があって、ここまで来ることができました」


実現に向けて障がいを持つ当事者や保護者、団体と折衝する中で、改めて気づくことも多かったそうだ。


「たとえば出場者を紹介する時に“ダウン症の誰々さん”ではなく“ダウン症のある誰々さん”と言ったほうがいい、と指摘されて初めて気づきました」


たしかに「ダウン症の」と紹介したら、まるでダウン症がその人のパーソナリティのすべてのように聞こえてしまう。

障がいはあくまでその人の一部でしかなく、個性のひとつにすぎない――。

多様な個性を持つ人たちの協働はより深いお互いの理解をもたらした。


■自分はもっと輝いていいんだ、と気づいてほしい

嬉しい誤算もあった。

はじめは果たして参加者が集まってくれるのか少し不安だったというハンコックさん。しかし、蓋を開けてみたらそんな心配を吹きとばすたくさんのエントリーが殺到した。

「実は始めは女の子だけのコンテストにするつもりでした。でも、出たいという男の子がたくさんいて、男性の部も作ることになりました。結局、20名以上の男性出場者が集まりました」


もうすぐ迎えるコンテスト本番を前にハンコックさんは今の気持ちをこう語ってくれた。

「アメリカのスペシャル・ビューティー・コンテストを見て驚いたことがあるんです。普段、学校ではほとんど話さないような子どもがステージに立つと元気に自己紹介をしている。

僕は役者だから分かります。

メイクをして衣装を着て舞台に立つと、普段の自分とは違った存在になる。

そうして普段よりも魅力的になった自分を発見して“自分はもっと輝いていいんだ!”って気がつくんです。この大会が、みんなが美しく輝ける場所になればいいですね」



■企画に特別協賛する、山野学苑 理事長 山野愛子ジェーンさん

「このお話をハンコックさんから聞いたときにはとても嬉しくてぜひ協力したいと思いました。私たちの学校では美容福祉を教えています。学生たちは、高齢の方や障がいを持つ方に福祉施設や自宅などでサービスを提供するための技術を学びます。

学生たちは今回のコンテストにボランティアとして参加して、美容福祉と共通するスペシャルニーズについての理解を深めることが出来るでしょう。

実際に現場で経験したからこそハートにしっかり刻まれるものがあるはずです。美容を通して人を幸せにすることが私たちの使命だと考えます。そして、このイベントを通じて多くの皆さまに『誰にでも美しく、ハッピーに生きる権利がある』という思いを共有していただきたいです」


■出場者のみなさん

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