変わる介護施設(2)!!! 2018年4月以降、#介護療養型医療施設は形態転換を迫られるが ...
介護療養型医療施設の廃止が延長!?厚生労働省が計画している新類型の中身を検証する
2017/01/10 17:00
厚生労働省は2006年に「療養病床」を、2011年度末をもって廃止すると決定しました。
しかし、療養病床を有する介護療養型医療施設は介護老人保健施設などへ思うように転換されず、その期限を2017年度末まで延長していました。
こうしたなか、厚生労働省は2016年12月、高齢者が長期入院する介護療養型医療施設を介護施設などに転換する計画をまとめました。
受け皿となる新しい施設は、高齢者の容態に応じて3つに分けられ、2018年4月から移行を促す方針です。
介護は必要だが医療の必要性は低い高齢者が入所している
まず「介護療養型医療施設」の現状を整理します。
「介護療養型医療施設」とは、長期の介護および医療のケアを必要とする高齢者のための介護施設です。
厚生労働省の「病院報告」によると、療養病床は約33.2万床。
療養病床は、医療保険を根拠とする医療療養病床と介護保険を根拠とする介護療養病床に大別されます。
このたび、約33.2万床のうち介護療養病床約6.1万床が2017年度末をもって転換期限を迎えます。
介護療養型医療施設に入所ししているのは、病状が安定期にあるものの、長期間にわたる療養や介護が必要な高齢者。
介護老人保健施設などと比較して、要介護度の高い高齢者が入所していることが特徴のひとつ。
公益財団法人全日本病院協会の調査によると、介護療養型医療施設(病院)においては、要介護度5の高齢者は約半数にも上ります。
介護老人保健施設では、要介護5の高齢者は約2割に過ぎず、重篤な症状を抱える高齢者が多いとわかります。
入所者の「ADL区分(自立度を表すもの。
ADL区分は1~3まであり、数字が大きくなるほど自立度が低くなる)」を見ていくと、介護療養型医療施設(病院)は「ADL区分3」の者が約半数を占めていることから自立度が低いことがわかります。
一方、医療区分(医療の必要性を表したもの。医療区分は1~3まであり、数字が大きくなるほど医療が必要になる)に目を転じると、介護療養型医療施設(病院)においては、「医療区分1(医療の必要性が低い)」の高齢者が8割を占めます。
このように介護療養型医療施設には、自立度が低く(介護が必要)かつ医療の必要性も低い高齢者が入所しています。
そのため、介護療養型医療施設は、介護サービスを中心とした介護老人保健施設などへ転換すべきという声が上がっているのです。
介護療養型医療施設に高齢者がいる場合、医療へのアクセスが簡単であるため、不必要な医療も受けているという厳しい声もあります。
これが国民医療費の膨張を招いているという意見もあり、療養病床の転換が急務となっています。
独居や老老介護により、自宅に戻れない高齢者が介護療養型医療施設に留まっている
前段で介護療養型医療施設には、医療の必要性が低い高齢者が多数入所していることがわかりました。
介護療養型医療施設は基本的に病院であり、医療の必要性が高い高齢者が入所している状況が望ましいものの、高齢者が退院できない理由はどこにあるのでしょうか。
厚生労働省が行った「入院医療等の調査(2014年)」によると、
「家族等による介護は困難であり、入所先の施設の確保ができていないため」がトップ。
次いで「家族の希望に適わないため」「在宅介護(訪問介護など)の確保ができていないため」などが続きます。
たとえ急性期を過ぎても、独居高齢者や老老介護などが問題となるなか、結局、施設に居続けたほうが安心であると考えている高齢者やその家族が多いことが見てとれます。
2018年4月以降、介護療養型医療施設は形態転換を迫られることに
厚生労働省は先月7日、先に書いた通り、高齢者が長期入院する介護療養型医療施設を介護施設などに転換する計画をまとめました。
ここからは、その内容を紹介しつつ、介護療養型医療施設の課題について見ていきましょう。
受け皿となる新しい施設は、「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」に大別されます。
「医療機能を内包した施設系サービス」は、さらに下記の表の通り二分されます。
「Ⅰ型」の利用者像は、重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者など。
2015年度介護報酬改定において新設された「療養機能強化型A・B(Aは入所者4人に対し介護職員1人を、Bは入所者5人に対し介護職員1人以上を配置した施設)」は、看取りやターミナルケアを中心とした長期療養の機能や啖呵吸引、経管栄養などの医療処置を実施する施設としての機能を有しています。
「Ⅰ型」での医師および看護職員、介護職員の配置基準は現行の介護療養病床と同程度となる見込みです。
一方、「Ⅱ型」の利用者像は、容体が比較的安定している高齢者です。
医師および看護職員、介護職員の配置基準は、介護老人保健施設並になる予定です。
どちらの形態も要介護高齢者の長期療養に配慮したもので、生活施設としての機能重視を介護保険法のなかで明確化するとしています。
「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」は、介護サービス経営者の多様な選択肢を用意する観点に立ち、居住スペースと医療機関の併設型を推奨したもの。
「居住スペース」とは、特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホーム等を想定されており、この施設の利用者像は、容体が比較的安定した高齢者。
医師および看護職員、介護職員の配置基準は現行の特定施設入居者生活介護と同程度となる見込みです。
2018年4月以降、介護療養型医療施設は「Ⅰ型」「Ⅱ型」または有料老人ホーム等を想定した「医療外付け型」のいずれかに転換を迫られることになります。
医療機関など関係者との利害調整が課題のひとつ
厚生労働省は今回の療養病床の特別部会で「Ⅰ型」「Ⅱ型」および「医療外付け型」を提案したわけですが、名称を変えただけで内容は現状と変わらないと考える向きもあります。
国民医療費を削減するために行っているものであるにもかかわらず、内容が変わらないとなれば「骨抜きの計画」と批判されても仕方ないでしょう。
療養病床には、医療機関など厚生労働省の利害関係者が多く絡んでいるため、配慮が行き過ぎているという声も上がっています。
こうした新たな施設類型を創設する場合には、所要の法整備が必要であることは言うまでもありません。
そのため、療養病床の転換期限は2018年4月以降にずれ込む見通しです。
現在、国は地域包括ケアシステムを推進するため、医療の必要性の低い高齢者を「施設から在宅へ」転換しようとしています。
しかし現状では、先に見たように「家族による介護は難しい」「在宅介護の確保ができない」といった困難を抱えた人が少なくありません。
今後の課題としては介護療養型医療施設のような医療施設から退院後の生活に困難を感じている要介護度の高い高齢者であっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らせるような社会基盤の整備を進めていかなければなりません。
国民医療費削減と地域包括ケアシステム構築を意図とした療養病床の削減が今度こそうまくいくのか、注視する必要があるでしょう。
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