変わる介護施設(8)!!! #総合事業のみなし指定原則終了! #介護難民増加の可能性…
#地域支援事業の新しい総合事業ルールが一部変更!!!
2018年4月から、地域支援事業である新しい「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」のルールが一部変わります。
要支援の高齢者に訪問介護、通所介護サービスを行ってきた事業者への「みなし指定」が3月31日をもって終了し、4月1日以降は、所定のプロセスに従って、総合事業の指定を受けるための更新手続きを行わなければならないのです。
総合事業とは2015年4月に施行された新たな介護サービスの形を指します。
市町村が中心となって多様なサービスを充実することで、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものです。
その中でも特に介護予防と生活支援サービスの見直しに力点が置かれています。
介護予防に関しては、それまで市町村など行政が主体的に介護予防サービスを実施していましたが、総合事業では地域福祉に関わる団体・機関(ボランティア、老人クラブ、NPOなど)が中心となって、高齢者の介護予防に取り組んでいくことが重視されます。
また、生活支援サービスに関しては、それまでは介護専門職が中心となってサービス提供が行われていましたが、総合事業では介護専門職は身体介護(中重度支援)中心とされ、生活支援は地域の中で確保することに主眼が置かれたのです。
ではこの総合事業に対する「みなし指定」とはどのようなものなのか、続けて見ていきましょう。
介護における「#みなし指定」とは?
総合事業の導入にあたって、要介護認定で「要支援」の認定を受けた高齢者への介護予防サービスのあり方に一部変更が行われました。
それまで介護予防給付の対象だった「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が、自治体の管轄する「介護予防・生活支援サービス事業」へと移管されたのです。
それに伴い、2015年3月31日時点で介護予防訪問介護、介護予防通所介護を提供していた事業者は、制度上、新たに自治体の総合事業における「指定事業者」として認定される必要性が生じました。
しかし介護予防サービスを提供する事業者にとっては、人手不足が続く中、日常業務の時間を割いて申請作業を行うことは大きな負担となります。
また自治体の側としても、相当数に及ぶ事業者の申請を一度に処理するのは大変なことです。
そこで、厚労省が設けたのが総合事業における「みなし指定」。
2015年3月31日までに介護予防訪問介護、介護予防通所介護の指定を受けていた事業者は、2015年4月1日から、自治体の総合事業における指定を受けたものと「みなす」ことが認められたのです。
いわば、事業者、自治体双方の負担を軽くするために行われたのが、「みなし指定」であると言えるでしょう。
そもそも総合事業へ移行した背景って?
#地域包括ケアシステムの構築を進めるため
総合事業への移行の背景にあるのが地域包括ケアシステムです。
地域包括ケアシステムは、高齢者に対する介護・医療・予防(介護予防)・生活支援・住まいに関わるサービスを一体的に提供することを目的として、現在全国の自治体で導入が進められています。
地域包括ケアシステムの構築にあたっては、医療分野(病院・リハビリ病院など)や介護分野(在宅系サービス、施設・居住系サービスなど)や生活支援・介護予防分野(老人クラブ・自治会・ボランティア・NPOなど)、住まいの分野(サービス付き高齢者向け住宅など)に関わる組織、機関、団体が連携することが重要となり、その仲介役として位置づけられているのが地域包括支援センターやケアマネジャーです。
各自治体は3年ごとに行われる介護保険事業計画の策定・実施を通して体制作りを進めており、その中で総合事業は、地域包括ケアシステムにおける介護予防・生活支援サービスを支える事業として位置づけられています。
重度な要介護者の増加によるニーズの変化
また、要介護認定を受ける危険性のある後期高齢者(75歳以上)世代が増加し続けていることも総合事業への移行化が進められた理由の一つです。
平成29年版高齢社会白書によれば、75歳以上の人口数は介護保険制度が始まった2000年時には900万人でしたが、2015年には1,613万人にまで増えています。
こうした後期高齢者世代の人口増に伴い、要介護認定を受ける高齢者数も年々増え続けており、2003年当時の認定者数は370.4万人ほどでしたが、2005年には400万人、2011年には500万人を突破し、2014年には591.8万人と600万人に迫る人数となりました。
介護保険制度は介護予防や自立支援を視野に入れて開始された制度でしたが、今では重介護度の認定者数も年々増え続けています。
2000年時点での要介護3以上の認定者数は、要介護3が46.6万人、要介護4が45.7万人、要介護5が43.2万人だったのに対し、2014年には要介護3が77.1万人、要介護4が71万人、要介護5が58.4万人まで増加。
増大化する社会保障費を抑えるためにも、より効果のある介護予防に取り組める体制作りが必要となり、そのために制度化が進められたのが総合事業だったわけです。
みなし指定の終了における悪影響
#介護業界のさらなる人材不足
2018年3月末でみなし指定が終了するということで、各事業所は必要に応じて総合事業の指定を受けるための更新手続きが必要になるわけですが、先ほども論じた通りこの手続きは大きな壁となっている実態があります。
厚労省が全国の自治体に対して「更新手続きを行わず、要支援者向けの訪問介護、通所介護サービスから退く意向を持っている事業者はいるか」を問うアンケート調査(2018年1月実施)を行った結果、250もの市町村が「いる」との回答を示したのです。
なぜ更新手続きを行わずに撤退する判断を下してしまう事業者が多いのでしょうか。
その理由の一つが、介護分野における深刻な人手不足。
更新手続きは日常業務の合間に行わなければなりませんが、介護現場は人手が足りない状況が続いており、その余裕の無い事業所が非常に多いのです。
また更新前後で得られる介護報酬にどのような変化が起こるかを検討し、その結果撤退する決断を下した事業者も相当数いるとみられています。
今回のみなし指定の終了に対して厚労省が行ったアンケート調査では「事業者の撤退に伴い、他の事業者にサービス利用者を上手く引き継がないと、希望する介護予防サービスを受けられないリスクが生じる」と回答した市町村が50近くに上りました。
この結果を踏まえ、高齢者が自分の望む介護サービスを受けられない「介護難民」の発生を懸念する声が高まりつつあります。
#介護難民の増加
高齢化が進む中、今後大きな問題に発展すると考えられているのが、本人の望む適切な介護サービスを受けられない「介護難民」の問題です。
民間の有識者会議である「日本創成会議」の試算では、2025年には全国で約43万人、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)だけで約13万人の介護難民が発生すると予測されています。
ただ現状においても既に介護難民の問題は起こりつつあり、特に2015年の介護保険制度改正によって、特養の入居基準が「原則要介護3以上」とされたことで、要介護1~2の高齢者が行き場を無くしているという現状があります。
特養への入居希望者は年々増加し、待機者数も多数発生していたため入居条件が厳しくされたのですが、そのことで軽度の要介護者を受け入れることができなくなり、介護難民をさらに増加させるのではないかと指摘されているのです。
総合事業におけるみなし指定の終了においても、更新手続きをせずにサービス提供を止める事業者がいる場合、行政側がしっかりと支援を行って介護難民を発生させないように万全を期する必要があるでしょう。
Park Boram 박보람 – 거짓말이라도 해줘요 (Please Say Something, Even Though It is a Lie)
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