変わる介護施設(4)!!! #サ高住増加し囲い込み問題も深刻に!!!

サ高住の区分としては賃貸住宅にあたり、有料老人ホームとよく似て混同してしまいがちですが、特養などの施設に空きがない昨今、民間によって提供される要介護者の受け皿として期待されています。 


現在のサ高住は、ニーズの高まりや、1戸あたり最大100万円の補助金が下りることもあり、開設は増え続け、2017年には21万8,851戸を突破しています。


サ高住には介護サービスが安否確認や生活相談などしか付帯されていないため、要介護が進んで体が動かなくなった場合は外部の介護サービスを頼む必要があります。

しかし、サ高住は賃貸住宅なのでそうしたサービスはついていないのです。

囲い込みによって介護費用が悪化?

そこで、サ高住の運営者は、訪問介護やデイサービスの業者を指定して過剰なサービスを利用者に受けさせ、不当に報酬を獲得するのです。

これが今問題となっている「囲い込み」の正体です。


囲い込みが起こってしまうと、利用者の選択の自由を妨げることになるので、似たようなサービスの過剰提供が発生。

必要のない介護サービスを受けたりすることで、費用も余計にかかってしまいます。


過剰介護による売上アップの源泉は税金です。

利用者にとっては数千円でも、税金の負担は数万円というケースもあります。

そのため、サ高住の囲い込みは介護が必要ない現役世代にとっても、他人事ではないのです。


その費用を無駄遣いすればするほど、全体の質が低下。自分の施設だけなら大丈夫だろうという思いがまわりまわって大きな損失を招いてしまい、全員が損するという事態にもなりかねません。


囲い込みの問題点とは

社会保障費の削減に国も躍起になっている中、無駄遣いは厳禁です。

介護というサービスを充実させるためにも、適正な規制が必要だといえるでしょう。


その足がかりとして、厚生労働省と国土交通省は「高齢者居住安定確保計画」に通知を盛り込み、サ高住の登録を認める際の基準として明確に次の2点を位置づけることにしました。


ひとつは「入居者が必要とする在宅介護のサービスについて、提供できる事業所が近隣にある」こと、もう一つは「地域のサービス情報を網羅的に広く紹介し、事業所を限定しない」こと、つまり入居者に選択の自由があるということです。


サ高住の適切な運営の仕方としては、自由に選択ができる状態で、訪問介護やデイサービス事業所が、みずから選ばれるためにサービスの質を向上させ、より良い介護を提供していくという形になるでしょう。

先程も少し触れましたが、介護費用も年々増加している今、無駄にサービスを受けさせる余裕が国にはもうありません。

しかし、そのようなことは運営者が一番理解しているでしょう。

それでもなぜ囲い込みは起きてしまうのでしょうか?背景に迫ります。


囲い込みが起きる背景とは?

囲い込みの背景として、サ高住は民間業者が運営しているので行政の監督が行き届いていないという問題があります。

また、介護事業は自由競争の側面と介護保険などの公的資金が入った福祉事業という両方の側面があります。


そのため、民間事業者だけに任せていると不正が起こる可能性があるのです。

利用者は、介護保険で割安にて利用でき、事業者側は保険料で取りはぐれることがないよう不正競争を予防する仕組みづくりが大切です。


さらにサ高住は、基本的に要介護度の低い人を中心に受け入れるので、介護報酬による売上が少なくなりがちです。

また、改定によって介護報酬が減額された事によりサ高住の経営は以前より厳しくなっています。


その結果、低所得者用の介護保険の限度額まで使用し、入居費用を低く抑えて介護サービスの利用で利益をあげようという業者が現れました。

それでも、ニーズの高まりを受けて、サ高住は増え続けています。


サービス付き高齢者向け住宅が増加する訳

以下が、サ高住の増加に関する主な理由です。


建設・改修費に対して民間事業・医療法人・社会福祉法人・NPO法人に国から補助
所得税・法人税・固定資産税・不動産所得税の減額(条件による)
住宅金融支援機構から賃貸住宅の建設に必要な資金の融資


サ高住が増加する要因のひとつとして、補助金制度があります。


都道府県にサ高住の登録をすると、一戸の上限100万円として建設費の約1割が交付されるので、介護業界にあまり明るくない事業者も参入しやすく、サ高住の建設が増加するのです。


また、所得税と法人税などが、5年を限度として割増償却できことも要因のひとつでしょう。

固定資産税や不動産取得税なども減税されるため、かなりの建設後押しを国がしている状況です。


こうして見ると、サ高住の増加が悪いことのように思えますが、事業者として都道府県に登録しているとさまざまな恩恵が受けられるため、違法業者が少なく安心して使用できるという良い面もあるのです。


囲い込みをなくすには国の介入が必要?

サ高住は特養の手前の選択肢としてニーズがあり、数自体も2011年から右肩上がりで増え続けています。

特養に待機者が約52万人いるため、介護が必要となっても急に施設に入るのは非常に困難です。


しかし、サ高住なら少しの介護にとどまるレベルであれば、デイサービスや訪問介護などの支援を受けながら賃貸住宅に入居することができるのです。


今回は囲い込みが起こっている現状や背景などを見てきました。

業者間の生存競争が激化した結果、不適切な囲い込みを行ってまで事業の延命を図ろうとする事業者や、原資が税金であることを良いことに、過剰なサービスで売上を増やそうという事業者の存在があります。


健全な市場競争を実現し、利用者に快適かつ適度なサービスを受けてもらうには、国などが適切に規制していく必要があります。

介護保険の大部分が税金で賄われている以上、不正が発生しない適切な運営を行っていくには、ある程度の介入は必要です。

一部のサ高住も囲い込みから脱却して、正当なサービス対価を受け取っていく必要があります。

知られざる“老人ホーム経営”の実態――本当に怖いのは「悪徳業者」よりも「素人業者」

2017.10.


老後のための住まい探しについて、きちんと向き合ったことがあるだろうか。70歳くらいになったら考える? 

パートナーに先立たれたら考える? 

「マイホームがあるから気にしたこともない」という人も多いかもしれない。


実はこの〈老後〉には確固たる定義はない。

だから40代や50代のうちから「老後はどこで暮らすのか」を具体的にイメージし、老後の住まい探しと真剣に向き合うことは簡単ではない。

そんな老後のための住まいについて、高齢者住宅の経営コンサルタントであり、『「老人ホーム大倒産時代」の備え方 高齢者住宅を正しく見極める』の著者、濱田孝一氏は大きな警鐘を鳴らす。


「老後のための住まいを甘く見てはいけません。一年一年、誰もが絶対に年を取ります。期間の差こそあれ、ほとんどの人は足腰が立たなくなり、判断力が低下し、いずれは自活できなくなります。ですから、タブー視することなく、心身ともに健康である40代、50代のうちに、老後はどこでどうやって暮らすのかを家族で話し合い、その準備や心構えをしておく必要があります」


 このように濱田氏が指摘するのには理由がある。

それは、素人による事業者が急増し、制度上の不備などとも相まって、口先だけの劣悪な老人ホーム・高齢者住宅が増加しているからだ。


「2016年度の介護サービス事業者の倒産件数は100件を超えます。2011年に高齢者住まい法で新設されたサービス付き高齢者向け住宅に至っては、263件もの廃業や登録取り消しの申請があったことが一部メディアによって報告されています。

超高齢化社会のいま、安泰と言われてきた高齢者向け事業で、なぜこのような事態に陥っているのか。

その理由の一つが、素人事業者による参入が多いことです。

儲かるからと安易に高齢者住宅事業に手を出した。

でも、やはり現実はそんなに甘いものではなかった──そんな事業者が少なくないのです」


もし自分や自分の親が住んでいる高齢者住宅が青天の霹靂の如く倒産してしまったら……路頭に迷ってしまうことは想像に固くない。

だからこそ、プロの事業者による高齢者住宅か、素人事業者によるものかをきちんと見極める必要がある。では、どのように見極めればいいのだろうか。


「大手ならば大丈夫だろうという人もいますが、それは誤った認識です。全国展開しているようなところでも素人事業者はいますし、逆に単独で頑張っている有料老人ホームやサ高住でも、質の高い業者はたくさんあります。

大切なことは、◯◯だから大丈夫と拙速に判断するのではなく、きちんと時間と労力をかけて調べることです。

たとえば、多くの人が“流し読み”をしてしまう重要事項説明書。これをきちんと読み、必要箇所を見比べるだけでも、どの業者が優れていて、どの業者が素人なのかが見えてきます」


 この重要事項説明書の中で、特にわかりやすいものが次の3点だ。

・「全体の人数・常勤換算でのスタッフ数」……これを見ることで、適切な人員配置がされているかがわかる。
・「管理者の資格・専任の有無」……これを見ることで、管理者の資格や経験が十分にあるかがわかり、さらに、専任か兼務かによって、その管理者のスタンスを判断することもできる。
・「前年度の採用者数・退職者数」……これを見ることで、スタッフの熟練度を推し量ることができる。人材の流動性が高いほど、ノウハウは蓄積されていないと判断できる。


そのほかにも、たくさんの項目があり、事業者やサービスの質を探る手がかりが数多くあると濱田氏は話す。


「ほとんどの人にとって、高齢者住宅選びは初めての経験です。ですから、何を聞けばいいかわからないし、何がわからないのかですらわからないという人がたくさんいます。

そうしたみなさんに言いたいのは、『わからないままにしておいてはいけない』ということです。

特に先のような重要事項説明書を読んでいくと、わからないことがたくさん出てきます。

それらを一つひとつ理解していくことです。

これが老後に安心して暮らせる住まいを見つける最短ルートなのです」


 高齢者ビジネスで一儲けしてやろうという素人事業者の美辞麗句に惑わされずに、質の高い高齢者住宅で安心・快適に過ごすためにも、40代、50代のうちから真剣に向き合わなければいけない。




Shin Jae - It Hurts So Bad (Eng Sub)


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