#サ高住 #住宅型有料老人ホームの “ #囲い込み ”の実態は!?

サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)や住居型の有料老人ホームなどにおいて、入居している高齢者に対して介護サービスが過剰に行われている懸念があるとして、厚生労働省・老健局が審議を行いました。

そうした状況に対して決定打を打てずにいるのが現状ですが、厚生労働省や自治体が持っているツールを使って問題を整理、状況に応じて対策を講じるという指針が示された形です。

大阪府が公表した報告書によると、有料老人ホームの6割を占めるサ高住と住宅型有料老人ホームで、一部に“囲い込み“とよばれる過剰なサービスを提供していることがわかりました。

2017/05/02

特別養護老人ホーム(通称:特養)などの施設サービスとは違い、サ高住・住宅型有料老人ホームの運営事業者や介護サービスの事業者が異なることが多いゆえに起こっているようです。

保険者が入居者を特定できず介護保険の種類や金額を正確に把握できない、また外部からみたときに提供されている介護サービスがわかりにくいという問題点がありました。

特養とサ高住、要介護度が高い場合、どちらの介護費が高い!?

特養とサ高住では、どちらが介護費はかかっているのでしょうか。


大阪府が出した調査によると、要介護度3以上では特養以上の介護費がサ高住・住宅型有料老人ホームでかかっていることがわかります。

要介護度1と2では、サ高住・住宅型有料老人ホームよりも特養の方がお金がかかることがわかりました。

要介護度が高くなるほど、サ高住・住宅型有料老人ホームでは特養以上の介護費用が必要となっており「本当に適切なサービスが提供されているのか!?」ということを、厚生労働省が問題視しているということになります。


そもそも”囲い込みモデル”とは一体!?

サ高住の”囲い込みモデル”とはいったい何でしょうか?

サ高住は地域包括ケアシステムの中で、高齢者に住み慣れた地域で楽しく暮らしてほしいという思いを込めて作られたものです。

住まいに介護サービス事業者が通って介護を行うため、あくまで賃貸住宅という位置づけとなっており、サ高住は比較的要介護度が低い人を対象としています。

事業側としては、そうした介護度の低い人からの介護報酬を多くは見込めません。

そのような場合は売り上げが見込めないため、悪質な事業者ともなるとさまざまな手段を講じることになります。

入居者に必要のないより多くの介護サービスを受けさせる、低所得の入居者などに介護保険の限界までサービスを受けさせるなど、さまざまな対策を講じて売り上げをアップしようとします。

こうした「囲い込み」によって事業者が入居者を自社のサービスに張り付かせ、そこでのみサービスを受けられるようにします。

それが、サ高住の囲い込みです。


とはいえ、入居者がサ高住に入居するきっかけはさまざまですが、多くが「介護が必要となったから」です。


入居者にとっては安心して生活ができ、事業者にとっても介護報酬で売り上げがあがる、

一見するとWin-Win関係のように見えるこれらのサ高住の囲い込みですが、財源は多くが税金です。


また家賃や管理費・食費などの月額利用料を下げ、そのかわり並列の介護事業所を利用させ収益を上げていくというパターンもあります。


生活保護受給の高齢者は介護費も自治体が持ってくれるため、介護サービスを自己負担の限界まで受けさせるなど「貧困ビジネス」の様相も呈しています。

この貧困ビジネスは違法ではありません。

しかし、ケアプラン作成時には余裕を持って緊急時にも介護保険の範囲内で対応できるように作成していくのが一般的な考えです。

利用者本位という考え方を中心とし、貧困ビジネスの例のようなことは避けなければなりません。


実際問題として

いくら入居者がケアマネージャーを通じて自由に介護サービスを選べるといっても、実質的なサ高住の家賃を支払う相手である事業者から「こんな介護サービスがありますよ」と推薦されれば、それに従わざるを得ないというのが現状です。


また訪問診療医などは、こうした集合住宅でまとまった訪問診療を行うなどを経営の核心としているところもあり、サ高住を紹介してくれる業者に礼金を払っていたなどの事実も報告されています。


次期の介護報酬改定で、またもやマイナス改定の大ナタが振るわれる!?

日本医師会の常任理事は、こうした不適切な事例はどこかで是正しなければならないと意向を示しました。

次の介護報酬改定では、対策が取られるという見通しとなっています。

次の改定を逃すと、その次はさらに3年後ということになり、対策が遅れてしまいます。


増え続けるモラルに反した囲い込みは「悪貨が良貨を駆逐する」に言われるよう、良質のサ高住や利用者を混乱させ、また税金を支払うわれわれ一般の納税者にも多大なる負担を与えることになってしまいます。

厚生労働省も次の改定に向けて、やれるべきことはなにかを探っていくと同時に、介護報酬のマイナス改定も視野にいれているということです。


前回の介護報酬改定でメスが入った部分へさらなる追及の手が伸びることになります。


サ高住・住宅型有料老人ホームと訪問介護事業所を同時に運営している事業者にとっては、目が離せない話題です。



善良な介護事業者が、悪質な事業者のために割を食うことに!?

併設事業所への介護報酬の減算が行われると、囲い込みモデルや貧困ビジネスなどは手出しできなくなります。

暮らしとケアが切り離される事態は、果たして入居者のためになるのでしょうか。

そもそもサ高住は日常の見守りと生活相談を受け持っています。

介護事業所や看護事業所を併設しないサ高住の事業者がでてきたとき、介護サービスの受給者である高齢者の容態が急変した場合、どこで緊急のサービスを受ければいいのでしょうか


綿密なケアプランや事業者への外部アセスメント(評価)を丁寧に行ったとしても、想定外の事態へ迅速・適切な対応ができばければ意味がないのです。

緊急時に排泄介助などを行ってくれる人がいないとしたら、高齢者は排泄をしたままの状態で放置されることになってしまいます。


介護が必要であるからサ高住に入居しているのです。

それだけニーズがあるのですから訪問介護事業所を併設し、しかるべきサービスを受けてもらおうと考える事業者がいるのは当然です。

それを、“囲い込み”という聞こえの悪い言葉でくくられるのは心外だという事業者もいて当然です。

一概に囲い込みが悪いとはいえません。

介護報酬という保険制度が根幹となっている介護保険制度ですが、利用者本位を保ちつつ事業者のモラルの問題にまで踏み込んでいかなければならない段階に来ているのではないでしょうか。


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