#高齢の認知症患者は再入院リスクが1.5倍に上昇!#退院退所加算がリスク抑制のポイントに!?
認知症患者の再入院リスク概して高い
再入院しやすい病気・怪我は多岐にわたる
高齢の認知症患者は退院してすぐに、病気やけがで再入院するリスクが飛躍的に高まる――。
そんなデータが2月の「#米国老年医学会雑誌電子版」にて発表されました。
これは医療経済研究機構や国立がん研究センターなどのチームが約180万人のデータを分析したもので、再入院リスクは実に1.5倍にも達します。
誤嚥(ごえん)性肺炎で1.23倍、脳梗塞で1.30倍、そして大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折では1.46倍もの再入院リスクがあるのです。
ちなみに、この数字は2014年4月から2015年9月、全国987の病院に入院した65歳以上の患者183万人のデータを活用。
日常生活の自立度や薬剤の種類から認知症の有無を推定し、認知症に罹患した27万人と罹患していない156万人を対象に、退院後30日以内の再入院割合を比べたものです。
認知症の症状は中核症状とBPSDに分けられる
このようにさまざまな病気を併発させる認知症、ここではその症状について掘り下げていきます。
認知症の症状は、大きく分けて中核症状とBPSD(行動・心理症状)に分けられます。
これについて、島根大学医学部精神医学講座の長濱道治氏と堀口敦氏がわかりやすく説明しているので、引用してみます。
中核症状について
「中核症状としては、記憶障害をはじめとして、失行、失認、失語、実行機能障害などの症状があげられる。
アルツハイマー型認知症(AD)では、まず短期記憶が障害され、聞いたことを忘れて何度も繰り返し訪ねるようになる。
この時期では、古い記憶は比較的保たれるが、病期の進行とともに全般的に高度の記憶障害を呈する。
記憶障害に加えて、理解力・判断力の低下もみられ、物事を順序立てて計画したり、実行したりすることが困難となる。」
BPSDについて
「BPSDには、”不安、抑うつ、不眠、焦燥感、易怒性亢進(いどせいこうしん)、興奮”など、認知症以外の精神疾患でもみられる精神症状がある。
ほかにも、幻覚・妄想、攻撃的言動、食行動異常、性的逸脱行為などの症状も比較的多くみられ、介護・看護を困難にする要因となっている。
BPSDによって、患者は日常生活に大きな支障をきたし、介護する家族(介護者)は負担が増大するため、両者にとって深刻な問題となる。」
また、中核症状の進行に応じて発症するさまざまなBPSDについては「実際には、BPSDは認知を発症すれば必ずみられる症状ではなく、出現する人と出現しない人がいる。
また、BPSDが単独の症状で現れる人もいれば、複数のBPSDが同時に現れる人や、BPSDの内容が中核症状の進行に伴って変化していく人など、BPSDの出現もさまざまである」としています。
先の統計と掲載のグラフに話を戻すと、特に股関節の骨折や脳梗塞、肺炎などでの再入院が目立ちますが、その原因としては、入院による身体機能の低下や退院後の服薬の難しさが考えられているようです。
認知症患者の再入院要因を探る
不当な身体拘束による身体機能の低下
2016年6月、全日本病院協会(東京)から高齢者の身体拘束の状況について発表がありました。
それによると、回答があった約680軒の病院・介護施設のうち約6割が、厚生労働省が原則禁止としている行為を過去に行ったと回答しているのです。
厚労省は原則として「身体拘束や行動を制限する行為」を禁止としており、11の行為を例示。
具体的には「徘徊(はいかい)しないよう車いすやベッドに体を縛る」「点滴チューブを抜かないよう手足をひもで縛る」「行動を落ち着かせるため向精神薬を過剰に服用させる」「自分の意思で開けることのできない居室などに隔離する」といった内容です。
また、身体拘束はその内容もさることながら、それによって引き起こされるによる弊害についても看過することはできません。
ここで改めて確認することにしましょう。
NPO全国抑制廃止研究会「身体拘束廃止のための標準ケアマニュアル」によると、身体拘束の弊害は「身体的弊害」と「精神的弊害」「施設内弊害」「社会的弊害」に大別されます。
中でも最も深刻なのが「身体的弊害」と「精神的弊害」。同マニュアルでは、この2つが次のように分類されています。
身体的弊害
関節拘縮
筋力低下
褥瘡の発生
食欲低下
心肺機能や感染症への抵抗力低下
転倒事故を誘発し、抑制具による窒息死を招く恐れ
精神的弊害
不安や怒り、屈辱、諦めなど精神的苦痛を与える
痴呆が進行し、せん妄を頻発させる
拘束によって高齢者の身体機能は低下。
昂じて全身衰弱となり、一ヵ所に縛り付けられることで感染症に罹患しやすくなるのです。
拘束されることで、患者がせん妄状態に陥りやすくなるのは言うまでもありません。
2016年3月には、入居者に対し不要な身体拘束を行ったとして、埼玉県熊谷市の特養が行政処分(新規入所者の受け入れ停止と介護報酬請求を20%減額)を受けています。
とはいえ、服薬でこうした症状を抑えようにも、服薬管理の難しさという壁が介護現場では大きな問題に。
例えば、認知機能の低下によって患者が薬を飲んだのか覚えていないというのはよくある話のようです。
介助者が必要以上に巻き込まれてしまう状態を考えると、拘束もやむなしと考える事業所、家族が多いことにも一定数理解の声があることもまた自然なのでしょうか。
退院後、医療・介護間の連携は必須となる
介護施設と病院の連携
こうした認知症による二次被害を起こさないためには、介護施設と病院の連携による情報の共有が必要不可欠と言われている現在。
その連携強化は、以下のグラフからも増加が予想される認知症への施策としても採用されるようになっています。
中でも、2018年度の介護報酬改訂において、医療と介護施設の連携に対する加算に重点が置かれていることは、特筆すべきことなのではないでしょうか。
現行制度では、入院時に利用者の情報を医療機関側へ提供することで算定される「入院時情報連携加算」は入院後7日以内に”医療機関を訪問して情報提供した場合”が月200単位、”訪問以外の方法で情報提供した場合”が月100単位となっていました。
一方で改定後は、方法を問わず”入院後3日以内に情報提供した場合に200単位、入院後7日以内に情報提供した場合に100単位と、情報提供によって単位が取りやすくなります。
また、退院時に利用者の心身状態を知るための情報収集をした場合、収集のために医療機関の職員と何回連携・連絡を取ったのかや、退院時カンファレンスへの参加いかんによって算定される「退院・退所加算」が一部大幅に報酬アップとなりました。
例えば、現行制度では”連携回数1回、カンファレンス参加あり”の場合は300単位ですが、改定後は2倍の600単位となっています。
さらに、今回の改定ではケアマネジャーに日頃から医療機関との連携を進めてもらうべく、「特定事業所加算Ⅳ(月125単位)」も新設。この改定内容の算定要件として以下の3つが必要です。
特定事業所加算Ⅳの改定内容における算定条件
ターミナルケアマネジメント加算を年に5回以上算定されていること
「退院・退所加算」の算定に関係する「医療機関との連携」を年間35回以上行っていること
特定事業所加算Ⅰ~Ⅲのどれか1つを取得していること
ちなみに特定事業所加算Ⅰ~Ⅲとは、事業所の人員配置の体制(ケアマネジャー、主任ケアマネジャーの配置数など)や利用者との24時間連絡体制の有無、地域包括支援センターとの連携などを基準にして算定される介護報酬のことを指します。
また、2018年に実施されるケアマネジャーの「退院・退所加算」に関する介護報酬改定によって、医療機関側も大きな恩恵を受けます。
というのも、退院後の療養生活をサポートするケアマネジャーなど3者以上と協力し、退院後の説明や指導を患者に行うことで得られる「退院時共同指導料2」の加算条件を満たしやすくなるからです。
「退院時共同指導料2」の診療報酬は2,000点ですから、医療機関側にとっても大きなメリットとなることは明白です。
こうして介護と医療がwin-winの関係を築くことで、今後、拘束に対する介護現場の意識が改善できるかもしれません。
既に到来した超高齢化社会のただ中にあって、国の政策が現実に起こっている問題に対して100%の対応を行うことは困難を極める話。多くの制約の中で拘束なしの介助を実現することもまた、現実的ではないという向きもあります。
しかし、認知症の人に対する拘束を減らすことで再入院が減り、それが医療介護費の削減に繋がることを理解すれば、その方向を目指していく価値が低いと言い切ることは、必ずしも適切とは言えないでしょう。
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