#逝き方(11)... #高級納骨堂がステータスとなる時代に!!! #葬式ゼロ円も… #遺骨捨てる人増加... #墓地は霊園か納骨堂か...

実家のお墓が維持できない「#無縁墓問題」や、都心で入るお墓が見つからない「#お墓不足問題」が顕在化している。

そうした中、いま人気を集めているのが「#納骨堂」という選択肢だ。

かつては「身寄りのないお骨が辿り着く場所」というネガティブな印象を持たれがちだったが、そのイメージはガラリと変化しているという。

 近頃、新聞をめくっていると「納骨堂」の広告をやたら見かけるようになった。

〈〇〇駅から徒歩〇分〉
〈天候に左右されず、手ぶらでお参りができる〉

 などのキャッチコピーが目にとまる。この5~6年の間に、都心に新しいスタイルの納骨堂が急増している。

どうして納骨堂なのか。いくつかの納骨堂に足を運ぶことにした。

 2014年に完成した「新宿瑠璃光院白蓮華堂」は、新宿駅南口から徒歩3分の好立地。

高層ビルを背景に建つ白亜のビルだ。館内に入り、受付横にあるパネルにICカードをかざすと、8か所ある「参拝ブース」の中から空室が表示される。

 参拝ブースを選び移動すると、「厨子」(骨壺を入れた箱)がベルトコンベアで保管庫から運ばれ、自動で参拝ブースの墓石にセットされる。

供花や、火のいらない「電子線香」も用意されているので、手ぶらでお墓参りができる。

こうした、機械でお骨を運ぶスタイルの納骨堂は、「#自動搬送式」と呼ばれる。

東京都内でこの5年間のうちに約5倍、30か所に増えたという。

今年1月にも東京・目黒区に、9500基のお墓と38か所の参拝スペースを持つ「目黒御廟」がオープンしたばかりだ。


 なぜ「自動搬送式」を選んだのか、新宿瑠璃光院の利用者に尋ねた。

「夫が亡くなった時に娘と相談して、家から電車で一本で通えるここを選びました」(調布市在住・69歳女性)

「最初は『室内のお墓なんて』と思っていました。

でも、ここは内装も何もかもハイグレードで、亡くなった夫の美的センスにも合うので、喜んでくれていると思います」(世田谷区在住・85歳女性)

 かつては「ベルトコンベアで運ぶなんて故人に申し訳ない」と抵抗感を持つ人が多かったが、利用者の意識は変化しているようだ。

 自動搬送式の相場は80万~130万円程度。前述の目黒御廟の場合、販売価格は85万円、108万円、136万円の3タイプだ。

 新宿瑠璃光院の場合、一般的なサイズの骨壺が2つ入る家族用で180万円(すでに完売)、もしくは200万円。株式会社鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査」(2017年)によれば、外墓の平均購入価格は174万1000円なので価格はほぼ変わらない。

 新宿瑠璃光院には500万円の「特別個室」もある。

購入者専用のひときわ豪華な個室が用意された、いわば“スイートルーム”だ。

外墓における青山霊園のように、富裕層にとっても「高級納骨堂こそステータス」という時代が来ているのかもしれない。

遺骨を移動させる自動搬送式に対して、「軽々しい」と否定的な人々も確かにいた。

そうした中で、“外墓との間を取った形”と人気を集めるのが、「#仏壇型」「#ロッカー型」の納骨堂だ。


 両タイプを有する「立正寺」(渋谷区代々木)を訪ねた。

 3階建ての納骨堂に入ると、幅広い通路の両側に仏壇型が60基、ロッカー型が160基並ぶ。

どちらも黒の本塗りが施され、同じ高さだが、ロッカー型は天地に5基重なっている。

率直に言うと、「仏壇は家に置くものでしょう」という思いがあった。

しかし、同行したカメラマンの「何百人もの方がこの中に眠っていると思うと身が引き締まるね」という一言でハッとした。

自動搬送式では、目の前にして祈るのは先祖の遺骨のみだが、ここでは室内全域に故人の気配を感じ、凛として張りつめた空気があった。

供花や線香も実物で、意外と従来のお墓参りに近い感覚だ。

 価格は、仏壇型が使用期間33年で180万円、ロッカー型は13年と33年があり、最も安いものは60万円だ。


 使用期間の限定はやや気になったが、更新することも可能で、使用期間が終われば永代供養墓に合祀される。

「子供の代までお参りに来てくれればいい」という理由で期間限定の形態を選ぶ利用者もいるという。

 なかには驚くべき価格の仏壇型納骨堂もあった。東京・青山にある実相寺「青山霊廟」の「特別壇」は、何と600万円。

 幅62センチ、高さ2メートル弱の特別壇は、木製部分に天然漆より高品質のカシュー塗りが施され、手彫りの薬師如来まで安置されている。

仏壇のひとつひとつが、小さな寺のようだ。青山霊廟の販売担当者が語る。

「自動搬送式はご先祖がほとんどの時間を暗い保管庫で過ごさなければなりません。ここなら常に明るい場所にいることができます」


 一方、新宿区早稲田にある龍善寺の「早稲田墓陵」は、「家族用で48万円」のリーズナブルな価格設定だ。

特徴は、参拝スペースに「お骨がない」こと。

地下の参拝室に墓石はなく、台の上に阿弥陀如来があり、その手前に花立と焼香台があるが、お骨は別室の棚に保管されているという。住職の平松浄心さんがいう。

「お墓は亡くなった方のためではなく、お参りに来る方のもの。遺骨に向かって手を合わせても意味がありません。遺骨を持ってきてほしいという方には、納骨室の棚から係の者がお運びしますが、お申し付けになる方は稀です」

 壁には大型モニターが設置され、法名や遺影、思い出の写真などが表示される。

遺族が仏像の前で拝む行為を重視しているのだ。

「誰のためにお参りするのか」──様々なタイプの納骨堂はそうした問いを投げかける。利用者の答えに合ったものを選ぶ必要があるだろう。



墓地は霊園か納骨堂か それぞれにかかる費用は?

高齢化が急激に進む中、社会問題となりつつあるのが「墓地」だ。

かつては地元の家の墓を守ることが当然とされたが、核家族化や東京への人口移動で“墓を守れない”という事態も多くなっている。

都心に墓を新たに買う場合、選択肢は多様化している。


昔ながらの墓にこだわる場合、費用は小さくない。

介護情報・終活のアドバイザーである横井孝治氏が解説する。

「都内だと、お墓の土地代だけで200万~300万円といわれます。墓石まで入れると500万円ほどかかることもあり、負担が非常に重くなる。父親を亡くした息子が無理をして霊園に500万円を支払い、母親を介護する費用に窮した例もあります」


そうしたこともあって、近年は納骨堂が人気だ。

横井氏自身、父親の遺骨をタワー型の納骨堂に納めたと言う。

「都内なら数十万円から百万円程度で受け入れてくれます。ただし、こうした納骨堂では納骨から数十年経過したら合祀墓にお骨を移動して、他の方々と一緒に埋葬されるのが一般的。合祀の時期などは、納骨時の契約によります。

 また、都内の霊園では『樹木葬』などと銘打ち、園内の樹木の下に大型のカロート(納骨棺)をつくって、そこに合祀するスタイルも出始めています。

こうした納骨堂ならば、数万円から20万円ほどの費用でお骨を受け入れてもらえます」(横井氏)


伝統的な墓を買い、自分の死後はその前で手を合わせてもらいたい──その願望に「500万円の価値」があると考えるか。それ次第で、答えは変わってくる。


葬式「ゼロ円」も… 葬送の形で異なる「弔いのお値段」一覧

簡素で格安な葬儀が人気となっている。

「墓はいらない」という人も少なくない。葬送の形によって、どれくらい必要な費用は異なるのか。


【「葬式がゼロ円」のパターン】

●ゼロ葬──火葬後、遺骨のすべてを火葬場の処理に任せ、引き取らないこと。

宗教学者の島田裕巳氏が著書で提唱して話題に。

火葬費は住民であれば無料の自治体があるので、その場合、遺体の搬送を自ら行えれば、業者に支払う費用はゼロに抑えられる。


●献体──医大の解剖教室などに遺体を提供する。

本人が生前に大学や関連団体に登録する。

遺体の搬送や火葬は各団体が行うため費用はかからない。


●生活保護葬──「ゼロ円葬」と言われることもある。

生活保護法において定められた葬祭扶助のこと。

執り行えるのは、火葬のみ。

葬式の喪主が生活保護受給者であるか、故人が生活保護受給者で身寄りがない場合に支給される。

最大で20万円前後が、葬式を執り行った葬儀社に支給される。


【「墓が不要」のパターン】

●送骨──「ゆうパック」で送骨を受け付けているお寺や霊園に遺骨を送り、供養してもらう。

納骨堂により個別、合葬などの違いがある。

納骨先はお寺や霊園の永代供養墓が多い。

3万~5万円が相場。全国で約70か寺以上が受け入れている。


●骨仏──納めた遺骨を粉末にしたもので仏像をつくり、弔う。

出来上がった骨仏は、寺院で永代供養する。

大阪にある一心寺が有名で、年間約1万5000人が納骨に訪れる。

全国で10数か寺が行っており、費用は1万~3万円が多い。


●散骨──海や霊園指定されている山林、土中などに粉末状にした遺骨を撒くこと。

海洋散骨の費用は概ね10万~30万円前後。遺族が乗船しない委託散骨は5万円前後~。




遺骨捨てる人増加 永代供養墓の3万円さえ払う余裕がない

火葬した後、墓に納骨せず遺骨を「置き去り」にする事例が増加している。

遺骨をしかるべき保管場所以外に放置すると「死体遺棄」にあたり、3年以下の懲役に処されるが、経済的な事情などもあり、「忘れ物」という形で放置される例が後を絶たないのだ。

放置される場所は、電車の網棚の上や神社等の施設内など様々だ。

関東在住の住職は、自身の経験をこう話す。


「檀家でない男性が訪れてきて『お墓を買う費用もなく、遺骨をどうしたらいいかわからない』という相談を受けました。

冬場なのに着ているのは穴の開いたシャツ1枚で生活費もままならない様子でしたので、通常は身元保証人がいないとやらないのですが、一時的に遺骨を預かることにしたんです。

ところがその後、男性から電話で『ごめんなさい』とだけ告げられた後に連絡が取れなくなってしまって……結局遺骨はこちらで弔いました」


 遺骨の埋葬先の相談・支援を引き受けるNPO法人「#終の棲家なき遺骨を救う会」の柿崎裕治・理事長はこう話す。

「多くの遺骨は布や風呂敷で丁寧に包まれ、目立つところに置かれるのが特徴です。せめて見つけてくれた人に丁重に弔ってほしいという、切なる思いが込められているのでしょう。悪意や憎しみを持って捨てていく例ばかりではありません」


 親や兄弟の遺骨を捨てる──行為自体は咎められて然るべきだが、捨てる人々の事情や思いを考えると、やりきれない気持ちになる。

 やむにやまれず遺骨を捨てる大きな理由には、前出の例のように「経済的困窮」がある。

日本エンディングサポート協会理事長・佐々木悦子氏の話。

「都内でお墓を買うとすれば、標準的なものでも130万円から140万円、それに年間維持費で数千円から1万円程度かかります。最も安価な永代供養墓だと3万円から5万円程度で維持費もかからないのですが、実はそれすら払う余裕がないという方が増えています」


そのためか、遺骨を自宅などで保管している人は意外に多い。

首都圏だけでも100万柱あるといわれており、墓に納められないまま時が経過し続けている“放置予備群”は年々増加している。

老人ホームなど施設に入居する際に遺骨を持ち込めなくて困っている、といった相談も少なくない。

何らかの契機で保管者に金銭的余裕がなくなり「下流老人」化すれば、それらの遺骨が「忘れ物」と化すおそれがあるのだ。


「ビル型納骨堂」は完売で100億円も

宗教法人は宗教行為に関わることであれば、法人税をはじめ、固定資産税などが非課税になる。

しかし、どこからどこまでが宗教行為か線引きは難しく、常に税務当局とのバトルが起きる。

そんな中、寺院界隈で新たな「坊主丸儲け」ブームが到来している。

季刊『宗教問題』編集長の小川寛大氏がレポートする。

 * * *

いま、お寺業界から熱い注目を浴びる、「ビル型納骨堂」というものがある。

その名の通り、巨大なビルの中に骨壺をビッシリと詰め込んだ大規模納骨堂である。

昨年5月、“ビル型納骨堂ブーム“に沸くお寺業界を震撼させる判決が、東京地裁で出された。

東京・赤坂でビル型納骨堂「赤坂浄苑」を運営する寺院・伝燈院が、東京都から「建物が本来の宗教目的で専ら使用されていない」として固定資産税などの支払いを求められ、それに反発した寺側が取消しを求めて裁判所に訴えていたのだが、東京地裁は都の主張を支持。

寺の敗訴となったのである(寺は控訴せず判決確定)。


 2013年にできた赤坂浄苑は地上5階建てのビルに約3700基を収容可能で、都心ビル型納骨堂の先駆的な存在。

日常の販売業務は納骨堂の受託販売で近年名を上げている株式会社はせがわ(「お仏壇のはせがわ」)が担っていた。

経営母体の伝燈院は曹洞宗だが赤坂浄苑は「宗派不問」を謳っており、他宗派の僧侶が入り込んで法要を行うなどの姿が日常的にあったという。

 また伝燈院自体は石川県にある寺で、赤坂へ進出する際に資金調達などもはせがわが協力していた。

「副住職が常駐して日常的に座禅教室を開くなど、宗教的にはきちんとしていた」とする関係者の声もあるが、「宗教法人の名義貸しによる、単なるビジネス」との見方も当然あろう。

実際、東京地裁は赤坂浄苑の5階本堂や1階寺務所部分以外で、他宗派の供養が実施されていると認定。

それが非課税となる「宗教法人が専らその本来の用に供する(中略)境内建物及び境内地」にはあたらないとし、課税を是とした。

 これは赤坂浄苑が特に悪質だったという話ではなく、ビル型納骨堂のほとんどは「宗派不問」だ。

地方の寺院が民間企業と組んで、納骨堂を都心に建てる光景も日常化している。

伝燈院との訴訟で勝った東京都は、それらにも今後同様の課税をしていく方針を匂わせているという。

 従来、納骨堂といえば寺院に付属するコインロッカーのようなものが主流で、いわば“廉価版の墓地”のような扱いであった。

遺族は小さなロッカーの扉を開けて、わずか数十センチ四方の空間に納められた故人の遺骨に慎ましやかに手を合わせる。

それが納骨堂に遺骨を納める人々の先祖参りの光景だった。

しかしビル型納骨堂はそのあり方を覆す。

一棟のビルに数千から1万もの骨壺を収容し、高級マンションを思わせる1階エントランスを通ると、まるで宮殿のような“参拝スペース”が現れる。

 そこに遺族がICカードをかざすと、ベルトコンベアなどで遺骨が祭壇中央に運ばれてきて、「自分たちだけの豪華な墓所」が一瞬にしてできあがる。

 参拝を終えて遺族が立ち去ると、遺骨は再び収納スペースに戻される。

祭壇は引き続いてやってきた別の遺族のICカードからまた別の遺骨を中央に据え、次から次へと「別の家族の墓」に姿を変えて、多くの人々のお墓参りを受け付けるのだ。

「このビル型納骨堂がいま、飛ぶような勢いで売れている」

 と証言するのは、東京都内のある寺院住職だ。

「普通の墓地より圧倒的に(売れ行きの)動きがいい。ましてや従来のコインロッカーのような納骨堂なんてお話にならない。どこも高級マンションか宮殿のように豪華な設備で、『お墓=暗い』というイメージを払拭している。

また遺族たち自身でお墓の掃除をしたりする手間も発生せず、この手軽さも人気の要因。交通アクセスの便利な、都心にある施設だと完売も珍しくない」(同前)

こうしたビル型納骨堂の価格相場は、一等地に立地するものだとおおむね1基80万円~150万円程度。

ビル型納骨堂は大規模なもので1万もの骨壺を収容することが可能なので、“完売“となれば100億円超ものカネが入ってくることとなる。

ちなみに現在の日本において、民間の営利企業が墓地や納骨堂を経営することは違法である。

霊園の経営は地方自治体や公益法人(宗教法人や公益社団法人など)にのみ認められている特権で、実際に民間霊園の大半は宗教法人によって運営されている。

 つまり、墓地や納骨堂などの大半は宗教法人の“宗教行為”として運営されており、その収入は基本的に課税されない。

「完売すれば100億円」のビル型納骨堂も、まったく事情は同じである。

 ところが最新式のビル型納骨堂とは、すでに“普通のお寺”の手に負えるものではない。

高度なITシステムによって制御されたもので、日常のメンテナンスも必須。

もはや“お坊さん”の扱える範疇にはないものだ。

 ビル型納骨堂とてそのほとんどすべては寺院などの宗教法人が経営母体なのだが、その寺院が日常のメンテナンス管理にまで直接タッチしているような事例は極めて少ない。

ビル型納骨堂の技術的な実態とは、完全IT化された物流倉庫のようなシステムを要求するもので、ノウハウを持つ民間営利企業が宗教法人と提携し、実務を担っているのが一般的な姿なのだ。

日本の高齢化社会とは、「毎年大量の死者が出る社会」をも意味する。

早稲田大学の研究チームの推計によると、日本では2030年ごろまで、毎年約50万基の墓や納骨堂の新規需要が発生するという。

 霊園をほぼ独占的に運営できる特権を持つ宗教法人が、当面はこの市場の「うま味」から簡単に手を引く理由はない、と見るのが自然だ。

 まさに現在、“丸儲け”の中心地は、これら巨大な納骨堂である。


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