変わる公的制度(2) !!! 【 #配偶者控除 #配偶者特別控除 】
■専業主夫世帯は地獄
配偶者控除は配偶者がいる世帯の課税所得を減らし、所得税や住民税の負担を軽くする仕組み。
妻の年収が103万円以下であれば、その世帯が払う所得税額を決める夫の所得から38万円を差し引くことができる。
配偶者控除をなくし、いわゆる「 #103万円の壁 」を取り払うことで、女性の働き手を増やす狙いがあるという。が、これは増税のための口実だ。
元静岡大教授で税理士の湖東京至氏が言う。
「配偶者控除の廃止は、財務省の新たな財源探しから出てきたシロモノです。自民党税調は、専業主婦世帯でも共働き世帯でも
一定の控除が受けられる『夫婦控除』の創設を想定しているそうですが期待すると痛い目に遭うと思います。
新しい控除がどうなるのか、まだ具体的に示されていない。世帯全体の控除を下げ、結果的に増税に持っていくのは目に見えています」
配偶者控除がなくなると一体、どれくらいの増税になるのか。
配偶者控除額は所得税38万円、住民税33万円。
これらの控除額に5~45%の所得税率をかけたものが増税額となる。
夫の年収が500万円の専業主婦世帯は、約7万円の負担増だ。
現在、配偶者控除の適用を受けている納税者は約1500万人。
廃止により、全体で1兆円以上の増税になる計算だ。
配偶者控除の改正案、誰が減税になり、誰が増税になるのか?
2017年度以降、税の制度をどのように変えるのかをまとめた自民、公明両党の税制改正大綱が12月8日、発表された。
改正案では、「配偶者控除」の廃止は見送られ、18年1月から満額の控除が適用される年収の上限を103万円以下から150万円以下に引き上げることが盛り込まれた。
専業主婦を優遇し、女性の働く意欲を奪うとも長年指摘されてきた「 #103万円の壁 」はこの改正案でどう変わり、家計・社会にはどんな影響があるのだろうか。
大和総研金融調査部研究員の是枝俊悟さんに聞いた。
(※典型例として、以後、夫婦のうち年収の多い方を夫、少ない方を妻と表記していますが、逆の場合もあります。)
■どんな制度になるのか?
そもそも配偶者控除とは、夫婦の一方(主に夫)が働き、もう一方(主に妻)が家事を担う家庭を想定し、その世帯では夫の所得税を減らすという仕組みだ。
現在の制度では、妻の年収が103万円以下であれば、夫の所得から、所得税などが課される分が38万円差し引かれ(控除され)、税金が安くなる。
また、妻の年収が103万円〜141万円の間は「 #配偶者特別控除 」という仕組みがあり、夫の控除額は段階的に減る。
つまり税金が段階的に増えていく。141万円に達すると控除はなくなる。
改正案では、配偶者特別控除の仕組みを変更する。
変更では、これまで控除が適用される上限だった103万円が150万円に変わる。
控除が受けられなくなる妻の年収額は、141万円から201万円に変わる。
つまり、改正後の配偶者控除制度はこうなる。
1:妻の年収150万円までは夫の配偶者控除が満額適用され、所得税などが減った状態に。
2:妻の年収150〜201万円までは段階的に夫の控除額が減り、所得税などが段階的に増える。
3:201万円を超えると、夫には一般と同じ所得税などが課せられる。
配偶者特別控除の改正案(妻の年収で見る場合)
是枝さんの試算では、今回の改正案によって、約300万世帯が新たに減税の恩恵を受ける。
■年収が高い世帯は、改正で増税になる場合もある
一方で、年収が高い世帯では、これまで受けられていた減税の措置がなくなる場合もある。
改正では、夫の年収が1120万円を超えた場合、控除額を減らすという仕組みが新たに設けられた。
1120万円〜1220万円までは段階的に控除額が縮小し(税金が増えていき)、1220万円を超えると控除の対象外(一般と同じ)となる。
配偶者控除の改正案(夫の年収で見た場合)
是枝さんの試算では約95万世帯が該当し、増税となる。
今回の改正でどう家計に影響があるのか、夫と妻の年収別に、全てのパターンを網羅した図がこちら。
誰が減税になり、誰が増税になるのか?まとめ
■改正は「働き方改革」につながるのか?
今回の税制改正について、安倍晋三首相は9月9日の第1回税制調査会で2つの目的を語っていた。
1つは女性が就業抑制をせずに済むようにすること、
2つめは結婚や子育てを支援することだった。
そのため、一時は配偶者控除を廃止して「 #夫婦控除 」とする案も浮上していた。
しかし結局は、廃止に反対する専業主婦層などに配慮した結果、廃止は見送られることになった。
その代わりに決定されたのが今回の改正案だ。
NHKニュースによると、自民党の宮沢洋一税制調査会長は「これによって、女性が就業調整を意識しなくてもすむようになる。今後数年かけて実現を目指す所得税改革に向けて、いいスタートが切れた」と述べた。
しかし、是枝さんは「今の制度においても、実は『103万円の壁』は税制の問題ではない。
妻の年収が103万円を超えても、税の負担は徐々に増えるだけで、あえて年収を103万円以下に抑える必要性は乏しいからだ。
このため、税制改正だけで、女性が働きやすくなる効果はほぼゼロ」と指摘する。
そしてさらに、「税制改正後も、150万円まで制約なしに働けるようになるわけではなく、『別の壁』の手前で働くのをやめてしまう動機は残る」と話す。
別の壁とは何だろうか。
■「企業の制度」「社会保険」がもう一つの高い壁
是枝さんによると、「103万円の壁」には、現在の配偶者控除の制度以外にも、もう一つの側面がある。
それは、税ではなく、夫が勤務する企業が支給する手当の存在。
多くの企業は、配偶者控除の適用を条件に、社員に対して配偶者手当を支給している。
人事院の調査では、調査対象企業の40%が、年収103万円を基準に、手当を支給していることがわかった。
企業における配偶者手当支給の有無と支給基準
企業が支給する手当のほうが、所得税の負担減分よりも大きいという世帯は多い。
しかも、年収が103万円を超えても段階的に控除が減っていく税制と異なり、多くの企業は妻の年収が103万円を超えたら手当は一気にゼロになるものとみられる。
そのため、実は、税以上に問題になり得るのが夫の勤務先の「壁」なのだ。
税制改正大綱には、配偶者手当について「労使の真摯な話し合いの下、就業調整問題を解消する観点からの見直しを行うことを強く要請する」と記された。
税制改正をきっかけに企業の「配偶者手当」を変えることができれば、税と手当の両方の意味での「103万円の壁」が崩れて、これを理由に妻が年収103万円以下に抑えようとする動機はなくなる。
加えて、企業の配偶者手当がなくなっても、なお妻の社会保険料(年金と健康保険)を自己負担せずに済むか否かの基準である「106万円の壁」あるいは「130万円の壁」(どちらに該当するかは勤め先の企業規模などで異なる)の問題は残る。
こちらの「壁」問題の改革も急務だ。
是枝さんは、「抜本的な税の改正は実現できなかったのは残念。
しかし、当初の目的である女性の活躍推進や若年層支援のため、企業や(社会保険を担当する)厚生労働省が、改正にどう反応していくかが今後の焦点になる。
妻の家事負担を増やす夫の長時間労働の解消なども含めて、他の組織も考えていくことが求められている」と話している。
Hyorin(SISTAR) - Fate, 효린(씨스타) -인연 @ I Am a Singer 3
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