働き方に影響する税制・控除!? 専業主婦がターゲット... #様々な壁
配偶者控除は、配偶者がいる人は税金が安くなる税法上の仕組み
配偶者控除でいくら引かれるかは、配偶者の年収によって変わります。
「年収103万円のカベ」
「年収141万円のカベ」という言葉が配偶者控除とセットで語られることが多いのはそのためです。
配偶者控除は所得税、住民税、社会保険(健康保険&厚生年金)に適用
ところで「配偶者控除」という言葉は、
税金や社会保険にまつわるさまざまな場面で登場します。
税と社会保険におのおの壁があります。
ここをごっちゃにしちゃうと混乱します。主に以下のとおりです。
配偶者控除は社会保険でも受けられます。
税法上の仕組みとは異なり厚生労働省の管轄になりますが、一定の条件をクリアした配偶者の社会保険や年金保険の支払いが免除されます。
2016年10月に法律が変わったこともあり、何かと話題ですので、
所得税、住民税に加えて、社会保険の配偶者控除についても解説します。
【所得税】配偶者控除の「年収103万円のカベ」とは?
所得税の配偶者控除は、
会社員の夫が世帯主(納税者)、パートで給与収入を得ている妻が配偶者という
前提で考えられていますので、このモデルケースで話を進めていきます。
ただし、最近では働き方が多様化していて、夫が会社員であれば、妻が自営業を営んでいても扶養控除の対象となります(自宅での開業、フリーランスでの働き方など)。
また、住民税も所得税と考え方はほぼ一緒です。
配偶者の年収が103万円までなら所得税免除
配偶者控除が適用されると、所得から38万円の控除を受けることができ、所得税が安くなります。
配偶者控除を受けるためには、控除の対象となる配偶者がその年の年末の時点で、以下の条件すべてにあてはまらなくてはなりません
出典:国税庁HP
(1) 民法の規定による配偶者であること。
(2) 納税者と生計を共にしていること。
(3) 給与収入が103万円以下であること(収入が給与のみの場合)。
年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと。
または白色申告者の事業専従者でないこと。
(1) 民法の規定による配偶者であること
婚姻届を提出した、法的な配偶者でなければいけません。事実婚や内縁関係は不可。
(2) 納税者と生計を共にしていること。
ただし必ずしも同居している必要はなく、単身赴任などで別居していても生活費が仕送りされていれば同一生計だと認められます。
(3) 給与収入が103万円以下であること(収入が給与のみの場合)。
年間の合計所得(※)金額が38万円以下であること(株や不動産など不労所得がある場合)。
妻がパートなどで給与を得ている場合、妻の年収が103万円以下なら配偶者控除が適用され、妻は所得税の支払いを免除されます。
さらに、夫の所得から38万円が控除されます。これがいわゆる「103万円のカベ」です。
一方、妻の収入が給与だけではなく、株式や不動産などの収入があるときは、年間の合計所得を38万円以下であれば配偶者控除が適用されます。
※所得とは、収入から必要経費を引いた金額のこと。給与所得のほか土地やマンションを貸した時に受け取れる不動産所得、株式などの配当所得など。
ちなみに住民税は、一般的に年収が100万円以下(給与収入のみの場合)、もしくは年間の合計所得金額が35万円以下だと妻の住民税が免除されます。
住民税については「年収100万円のカベ」があるといえるでしょう(ただし市区町村によって基準が異なる場合あり)。
(4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと。
または白色申告者の事業専従者でないこと。
会社員の場合はあてはまりませんが、夫が会社を経営していて、そこで働く家族従業員のことを「事業専従者」と呼びます。夫が確定申告(青色申告か白色申告)をしていて、妻がその会社で働き給与をもらっているときは、配偶者控除を受けられません。
企業が支払う家族手当の基準も年収103万にリンク
配偶者控除が適用されるとおトクなのは税金だけではありません。
配偶者控除は企業の「家族手当」の支給条件になっているケースが多いため、配偶者控除があるかないかで、家計への影響が大きくなります。
そのため、年末調整が控える年末が近づくと年収を103万円より少なくするため働き控えするケースが増えるのです。
これは年収に含む? 交通費、育休給付金、年金の扱いは?
配偶者控除を考えるとき、年収に加えた方がいいか悩みがちなものがあります。
ほんの数万円オーバーしたために配偶者控除が受けられなくなると残念です。
一覧にしました。
【妻の年収に含まない費用&給付金】
・交通費(1か月10万円を超えた分は、その分だけを年収に含む)
・出産育児一時金
・出産手当金
・育児休業給付金
・年金(雑所得扱いのため、ほかの所得との合計が38万円以下であれば配偶者控除の対象となる)
・雇用保険の求職者給付金
配偶者控除と扶養控除の違い!!!.......
配偶者控除と混同されがちなのが「扶養控除」です。
これは、配偶者控除の配偶者を扶養家族に置き換えたもの。
子供や高齢の父母など、養っている家族が多いほど所得税や住民税の負担を軽くする仕組みです。
配偶者控除と同じように養われている人の年収が一定額以下なら対象。扶養家族と同居していなくても仕送りなどをしていれば適用されます。
控除額は、主に養われている人の年齢で決まります。控除額は以下のとおり。
このなかでも、19~22歳を対象とする特定扶養控除は、最大の63万円が控除されます。
大学や専門学校に通う子供がいる世帯では教育費がかさむため、配慮されているようです。
一方、特定扶養控除を縮小して財源を確保し、返済不要な「#給付型奨学金」制度を新設することが議論されています。
親の所得が少なくても、大学などで学びたい子どもたちを支援するためです。
しかし、公平性を保ちながら制度を変化させるためにはさらなる議論が必要そうです。
【所得税】「年収141万円のカベ」の配偶者特別控除とは?
配偶者控除とまぎらわしいのが「配偶者特別控除」です。
「141万円のカベ」ともいわれる「配偶者特別控除」の仕組みは、何がどう違うのでしょうか。
年収103~141万円未満なら所得税はかかるが低税率の仕組み
妻の年収が配偶者控除の対象となる103万円を超えてしまっても、いきなり高額な所得税の支払い義務が発生するわけではありません。
年収141万円未満(所得額が38万円~76万円未満)なら、配偶者特別控除を受けられます。
控除額の一覧は以下をご参照ください。
注:配偶者特別控除は、夫の所得が1,000万円(給与収入が約1,231万円)を超える年は受けることができません。
【社会保険】「130万円」「106万円」2つの年収のカベとは?
ここからは、税法ではなく社会保険法における配偶者控除について解説していきます。
「年収130万円のカベ」は、配偶者でも健康保険&厚生年金を支払うライン
社会保険の配偶者控除は、妻の年収が130万円未満なら健康保険や年金保険の支払いが免除されるというもの。
正確には、夫の健康保険や厚生年金の「被扶養者」になり、各保険料を自己負担せず保障が受けられます。
ただし、週30時間以上働いた場合は、保険料の支払い義務が発生します。
この場合の収入とは、所得税の場合と違って給与収入のほか、失業給付金や年金収入なども含んだ合計額になります。
賞与や精皆勤手当、深夜勤務手当て、交通費は年収に含みません。
2016年10月から変更。大企業では年収106万円で支払い義務!
平成28年10月より、法が改正されて、年収106万円(月収8.8万円以上)でも社会保険料の支払い義務が発生するケースが出てきました。
これが新たに登場した「年収106万円のカベ」です。
ただし、年収に加えて以下のすべての条件にあてはまる方が対象となります。
【社会保険/年収106万円のカベに該当する条件】
・勤務時間が週20時間以上
・1ケ月の賃金が8.8万円以上(年収に換算すると106万円)
※1年間すべての月で月収8.8万円を超えると判明した時点で加入義務が発生
・勤務期間が1年以上
・勤務先の従業員が501人以上であること
総務省の就業構造基本調査によると、妻がパート勤務である共働き世帯において、妻の年収は「50万円以上100万円未満」が48%でもっとも高かったそうです。
さらに、年収150万円未満に9割が分布しているというデータも。
税金や社会保険の負担を避けるため、年収のカベを意識して仕事をセーブするという人も多いですが、せっかく世帯年収をアップできるチャンスを逃していないでしょうか。
【控除一覧】
基礎控除(すべての人が受けられる)年収から38万円引ける
配偶者控除(年収103万円以下の配偶者がいると)38万円
配偶者特別控除(年収141万円以下の配偶者がいると)38万円より少ない金額で変動
扶養控除(16歳以上の子供などがいると)38万円
特定扶養控除(19~22歳の子供1人あたり)63万円
給与所得控除(会社員であれば受けられる)収入に応じて金額は変動
社会保険料控除(健康保険&厚生年金を支払うと)支払額に応じて金額は変動
配偶者控除、これからどうなる?
「配偶者控除の廃止」「夫婦控除」など、たびたびニュースをにぎわすキーワード。
長い目でみるとさらに変化していきそうです。
浮上しているいくつかの変更案をピックアップします。
配偶者控除の廃止は見送り。今後は年収103万円→150万円に!?
ここ数年、政府の税制調査会では、所得税の配偶者控除を廃止しようという案がたびたび浮上しては見送られています。
満額の控除を受けようと、妻の年収をあえて103万円以下に抑えている世帯もあり、それが女性の就労を妨げる「壁」になっているという指摘もあるからです。
そこで、2017年度の税制改正では、妻が少しでも年収を増やしやすくするため、控除の年収制限を103万円から、150万円に引き上げようという案も検討されています。
ほかに年収130万円という案もあり、まだまだ流動的な状況といえます。
将来は夫婦の所得から一定額を控除する「夫婦控除」に移行?
配偶者控除が女性の働き方を妨げているとの声を受け、将来は「夫婦控除」に移行すべきだという意見も浮上しています。
夫婦控除とは、結婚していれば妻(配偶者)の働き方や年収にかかわらず一定の控除が受けられるというもの。
女性も自由に働く時間を増やせる一方、専業主婦世帯からは反対の意見も。
配偶者控除の見直しや夫婦控除の導入は、専業主婦世帯が増税になる可能性もあり、子育てや介護に専念していて働けない専業主婦にはとってはメリットが少なくなるということが原因のようです。
김보경(Kim Bo Kyung)_뭐해 (What Are You Doing)
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