昨今の経済状況下で「#結婚」は“損”か“得”か !!!
● 過去5年で男女ともに 生涯未婚率が3%以上上昇
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、
2015年で「#生涯未婚率」の対象になる日本人は、男性が23.37%、女性が14.06%にのぼったという。
同推計は国勢調査を分析して行われるとのことだが、5年前と比較すると、男性で3.37%、女性で3.45%増加しているとのことだ。
生涯未婚率は、満50歳までに一度も結婚しない人の比率。
近年、男女共に寿命が延びて、高齢でも元気なので、「50歳まで未婚」を「生涯未婚」と同一視していいのかについては、少々疑問があり、対象者から抗議の声(?)が上がるかもしれないが、特に50歳以降は女性が妊娠・出産するケースがごく少ないので、人口動態を考える上では、この辺を区切りにしておくことに、一応の意味がありそうだ。
それにしても、生涯未婚率の上昇ペースは速い。
ここ5年で3%以上増えたとは、社会の変化としていかにも急激だ。
「ここ5年で3%以上増えた」と言うと、つい昨今の経済状況に関連付けて説明したくなる。
近年の勤労者所得の伸び悩みなどを見ると、結婚適齢期の世代の経済的困窮が結婚を妨げているようにも思えるが、それは、必ずしも適切ではない。
過去のデータを見ると、男性では1970年代から一貫して、女性も1980年代後半からずっと「生涯未婚率」は上昇を続けている。
もっとも、女性の生涯未婚率の上昇カーブが男性並みの傾きになるのは、2000年代前半からなので、勤労者所得の伸び悩みが、未婚率の上昇につながった可能性はあるだろう。
女性側から見て「私を養ってくれる甲斐性のある男になかなか出会えない」という状況は進んでいるはずなので、女性側には強い経済要因があるかもしれないし、か弱き男性側にも女性側の心理を忖度することが遠慮につながっている可能性がある。
● 結婚したいと思う男性が 適齢期男性の5%以上余っている
国立社会保障・人口問題研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、「いずれは結婚したい」と考える18歳~34歳の未婚者の割合は、男性85.7%、女性89.3%であるという。
これらの調査対象は、生涯未婚率の計測対象になっている世代と世代が異なるが、「結婚したい」と思っていても、結婚に至っていない男女が少なからずいることは、事実のようだ。
ケインズ以後の経済学では失業を自発的失業と非自発的失業に分ける考え方があるが、結婚を希望していながら独身にとどまる人を、「#非自発的独身」と名付けることができようか。
データの扱い方として乱暴だが、先の生涯未婚率の数字と、結婚したいという回答の比率を合計してから100%を引いて非自発的独身の多寡を推定すると、
男性が+9.07、女性が+3.36%と、男性の方でより結婚希望の未達成者が多い(実際の非自発的独身率は離婚経験者が入るので、もっと大きな数字になるだろう)。
単純に「需給」の問題として解釈すると、結婚したいと思う男性が適齢期男性人口の5%以上余っていると想像できる。
一つの可能性としては、何度も結婚する、結婚市場において積極的でかつ競争力の強い男性が、複数の女性との結婚経験を持っている結果、こうした状況になっているのかもしれない。
● 結婚は出来高がほとんどない 株式に投資するような意思決定
結婚を希望する割には現実に結婚する事が少ない(結婚適齢期の)男性の側から見ると、「結婚」には経済的なメリットが必ずしも多くない。
「結婚」という形に自分を落とし込んだ場合に、失う自由が多い割に、得るメリットが少ないと感じる男性が多いのではないか。
もちろん、女性の側から見ても、「結婚」で制約される自由は小さくない。
「結婚している方が、安定感があって信用されやすい」という世間体や、税金(配偶者所得控除)、あるいはサラリーマンの場合なら国民年金の第3号被保険者になることができる妻の年金面での有利さも総合的に勘案して、結婚を目指す人が多少はいるかもしれないが、これらの「お金のメリット」は、それほど大きなものではない。
つまり、純粋に男女二人が「自発的に」恋愛関係にあるというだけなら、それだけで二人の関係を結婚の形にまとめる必然性はない。
恋愛が続く限り、好きなだけ仲良くしていればいいだけのことだ。
だが、その恋愛がいつまで続くのかは、両当事者にとってよく分からない。
そこで、一方が他方を、将来にわたって「確保」したいと考えた場合に、そこで「自分は、将来、相手を変えるつもりはありません」という意味の手形を振り出して「結婚」というカードを切るのが、いわゆる「プロポーズ」だ。
その最大のコストは、将来にわたる自分の「独身としての自由」だ。
お互いが純粋な恋愛関係にあり、将来にわたってお互いの愛情を信じているなら、本来、「結婚」という形態に大きな意味はない。
しかも、将来、「離婚」する場合には相当のエネルギーが必要だ。
「結婚」は、出来高がほとんどない株式に投資するような意思決定である。
● 子どもの養育、共働き… 経済的なプラスとマイナス
お互いの恋愛感情を重視する恋愛至上主義的な価値観だけでは、「結婚」に至る積極的な理由は説明しにくい。
結婚が必要と思える重要な理由の一つとして、子どもを養育するに当たって結婚している方が好都合だからということはあるだろう。
様々な理由によって、片方の親だけが子どもを育てている家庭はあるが、男性でも女性でも、自分の子どもを持ちたいと思った場合に、子どもにとって両親が結婚している状況が望ましいと考えて結婚を選ぶケースはあるだろう(筆者が結婚した理由はこれに近い)。
一方、子どもを育てる経済的なコストは、高騰を続ける一人当たりの教育費に加えて、出産・幼少時の母親の離職期間のコストなども含めて考えると、平均並みかそれ以下の所得の勤労世帯にとって非常に大きい。
子どもを育て上げる経済的負担を選びたくない(あるいは負担に自信がない)ことが理由で、「子どもを持たないなら、結婚を選ぶ理由はない」と考える、少子化を憂う社会にとっては残念だが、本人にとしては合理的で冷静な独身者も、生涯未婚者の中には少なくあるまい。
加えて、一方が他方を経済的に「養う」のは大変だと考えて、独身を選ぶ人もいるだろう。
これらの、直接的あるいは間接的に「経済的に余裕がないことが理由で結婚を選ばない人たち」をどこまで「自発的独身」と考えていいのかは判断に迷う。
ただし、経済的に余裕のある所得・資産の持ち主であっても、配偶者や子どもを養うことの負担(金銭的負担だけでなく家事・育児の労働負担もある)を嫌う、自発的独身者もいることだろう。
一方、「共稼ぎ」を前提とすると、結婚することの経済的なプラス・マイナスは、大きくプラスに転換する。
2人で暮らすとしても、生活コストは2倍にはならない。
貧困率の計算をする際に、世帯人数の平方根で世帯の所得を割り算することを参考にするなら、1.4倍強ということになる。2人であっても、規模の経済効果が働くということだ。
加えて言うなら、共稼ぎには、病気や失業のリスクに備える「保険」の機能もある。
生活に規模の経済が働くことについては、生活の実感としても、「そうだ」と思う。
外食や気晴らしのための無駄遣いが減って、「共稼ぎではなくても、一人暮らしよりも苦しくならなかった」という経験をお持ちの既婚者は少なくないのではないか。
読者の中に、経済的な自信がないから結婚に踏み切れないという方がいるなら、「大丈夫。結婚してしまえば、案外何とかなる」と申し上げたいところだ。
しかし、共稼ぎでも、共稼ぎではなくても、有力な反論がある。
「同棲でもいいではないですか」と言われた場合には、返す言葉がない。
「同棲」は、生活における規模の経済と、将来の自由との両取りができる都合のいい形態だ。
● 結婚は非合理なもの 恋愛のバブルである
配偶者控除や国民年金の第3号被保険者のような、社会的公平性の点で問題を含む既婚者のメリットを除くと、経済的なロジックでは、「是非、結婚した方がいい」という積極的な理由が見いだせない。
特に、「子どもは持たなくてもいい」と思う人が増える場合には、ますますその状況が顕在化するのではないか。
つまり、生涯未婚率の上昇は、合理的なのだろうし、今後も続くのではないかと予想される。
こう考えると、むしろ「結婚」の方が非合理的で、それは恋愛がこうじた一種の「バブル」の結果だと考える方が実態に合っているのかもしれない。
結婚は恋愛のバブルだ。
そして、恋愛感情がバブルの水準で永続することはなく、やがて、「生活の現実」がやって来る、というのが、多くの夫婦がたどる道筋だ。
一方、社会的には、急激な少子化は不都合だと考えられており、この観点からは未婚率の上昇が望ましくない。
さりとて、独身であることや、同棲という形態が経済合理的であることとの調和をどう考えたらいいのだろうか。
一つの方向性としては、結婚を奨励するのではなく、同棲・事実婚あるいは両親が共に独身であっても、子どもを生み育てることが心配なくできるような社会設計が望ましいのかもしれない。
もちろん、両親が共に自分の子どもの養育に責任を持つように仕向ける制度は重要だが、配偶者控除や国民年金の第3号被保険者のような、結婚を奨励する制度を廃止する代わりに、大学まで含めた教育費の全面無償化(少なくとも国公立については)をはじめとする手厚い育児支援を行い、結婚と子どもを持つこととを切り離すような施策がいいのかもしれない。
生涯未婚率の上昇は今後も続くだろう。
社会としては、これを阻止するよりも、この状況に適応した仕組みを考えていくことが重要なのではないだろうか。
4/12(水)
夫に知ってほしい!「結婚した方が幸せ」と思う妻がたった26%な理由
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