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厚生労働省の認知症施策に90億円を投入!「認知症高齢者700万人を地域で支える」施策
2016/11/11 20:00
昨年1月27日に厚生労働省が発表した「 #新オレンジプラン ( #認知症施策推進総合戦略 )」。
資料によると、2025年には認知症高齢者は700万人にも上る見込み。
なんと、高齢者の約5人に1人が認知症またはその予備軍という計算です。
高齢化の進展により、認知症高齢者は今後もますます増えていくでしょう。
新オレンジプランが目指しているのは「認知症の人が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会」。医療、介護、生活支援などが一体となって提供され、認知症を患っても無理なく生活できる社会基盤の構築が急がれます。
厚生労働省は「新オレンジプラン」のさらなる推進のため、来年度は90億円を投じる方針。
今回は、「新オレンジプラン」に盛り込まれている認知症高齢者を地域で支えるための重要施策のひとつである「 #認知症サポーターの活躍 」「 #認知症初期集中支援チーム 」「 #認知症疾患医療センター 」について解説します。
「認知症サポーター」の人数は右肩上がりだが…。
「認知症サポーター」のフォロー策が求められている
地域の認知症高齢者を支えるうえで大きな役割を果たしているのが「認知症サポーター」。認知症サポーターとは「認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者」です(厚生労働省ホームページより)。
今年6月末時点で「認知症サポーター」は773万人を突破しました。
厚生労働省が2017年度末までに認知症サポーターの目標人数としていたのは800万人。
この調子でいけば達成は確実。
認知症サポーターの概要については「第116回「認知症サポーター」が700万人を突破!認知症高齢者の強い味方…ではあるものの、今後に向けて課題もたくさん!?」をご参照ください。
認知症サポーターになるには「 #認知症サポーター養成講座 」を受講する必要があります。
受講時間は概ね60~90分(内容によって異なる)で認知症の症状や認知症予防、認知症高齢者との接し方などを学びます。
人数は順調に増えているものの、「積極的に活動している認知症サポーターが少ない」「知識を生かせる場がそもそもない」などの指摘があります。
せっかく認知症について学んでも実践できる場がないのはもったいないことです。
受講をきっかけにして認知症に興味を持っても、実践しなければいずれ忘れてしまうでしょう。
つまり、受けっ放しではなく、受講者をフォローする仕組みの構築が求められているのです。
また、「認知症サポーター」のうち活動意欲の高い人がさらにステップアップできる仕組みも必要でしょう。
京都府綾部市は、「認知症サポーター」の養成に注力している自治体のひとつ。
講座を3段階に分け、活動意欲に応じた講座を用意しています。
最上級の「ゴールドサポーター」は、介護福祉士ほか専門職を講師とする20時間の講義(内容:対人援助、事例検討など)を受けた者。
「ゴールドサポーター」は、「生活・介護支援サポーター」と呼ばれ、第二次綾部市地域福祉活動計画に位置付けられ、地域福祉の推進に重要な役割を担うことになります。
厚生労働省は、こうした認知症高齢者の支援に意欲を持つ「上級サポーター」の養成を図る方針。
上級講座を開設する自治体などに補助金を支給することも検討中です。
認知症の早期発見、予防に寄与する「認知症初期集中支援チーム」と「認知症疾患医療センター」
認知症高齢者を早期に発見できれば然るべき対処も可能になります。
「認知症初期集中支援チーム」は「認知症疾患医療センター」と連携して認知症の疑いのある高齢者を支援する仕組み。
家族などから認知症について相談があった場合、直接自宅を訪問し、介護福祉士ほか専門職から構成されるチーム員会議を開催します。
専門医受診の必要の有無を判断するだけでなく、受診方法の検討などを行います。
このチームが有効に機能すれば、早期に認知症の鑑別判断を行い、速やかに適切な医療・介護につなげることが可能になります。
厚生労働省の「 #認知症初期集中支援チームの実態に関する調査研究事業 」によると、支援開始時に認知症治療を受けていなかった高齢者の35%は通院につながったそうです。
「認知症初期集中支援チーム」は、2018年までに全市区町村に設置されるものです。
しかし、2015年度末で設置されているのは287市区町村に留まっており、今後の展開が待たれます。
「 #認知症地域支援推進員 」は、「認知症初期集中支援チーム」と連携しつつ、地域の実情に応じた認知症施策を推進する者。
認知症の医療や介護の専門知識および経験を有する医師、保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士などの有資格者が対象で、地域包括支援センターや市区町村に配置されます。
「認知症地域支援推進員」も「認知症初期集中支援チーム」と同様、全市区町村に配置されるものですが、2015年度末現在864市区町村に留まっています。
「 #認知症疾患医療センター 」は、地域の認知症医療の提供拠点で医療機関からの申し出に基づき、都道府県が指定します。
「認知症疾患医療センター」は、「基幹型」「地域型」「診療所型」の3つに大別され、設置数は364か所(2016年5月31日現在)。
いずれの型においても、専門医や専任の臨床心理技術者および専任の精神保健福祉士などの人員配置が必須となります。
「認知症疾患医療センター」の主な活動は以下の通りです。
専門医療相談(初診前医療相談)
患者家族の電話、面談対応
医療機関紹介
介護、福祉、行政への紹介
認知症の鑑別診断と初期対応
初期診断、鑑別診断
治療方針の選定(入院、外来通院先など)
合併症、周辺症状の対応については、必要に応じて他医療機関と連携して対応
地域連携の推進
関係医療機関、地域包括支援センター、行政担当部署などとの連絡調整
情報の提供、共有
研修会の開催、情報発信
かかりつけ医をはじめとする各関係医療機関などへ認知症の知識習得を目指した研修、講習会を実施
一般市民を対象とした認知症医療に関する講演会の実施
地域の医療、福祉、介護、行政、そのほか有識者で構成された協議会(認知症疾患医療連携協議会)を年に一度開催
認知症の鑑別診断だけでなくかかりつけ医への認知症に関する知識の普及・啓蒙、一般市民への情報発信など多様な役割を担っていることに気づくでしょう。
厚生労働省は来年度中には「認知症疾患医療センター」を500か所にまで広げる計画で、必要に応じて指定要件の緩和を検討しています。
施策の重複が目立つ、役割が不明確etc.認知症施策の絞り込み、再考も必要?
高齢者が住み慣れた地域でいつまでも暮らし続けるためには、認知症の重症化を避けることが必要です。
「認知症初期集中支援チーム」や「認知症疾患医療センター」は認知症の早期発見、予防に不可欠なもの。
「認知症サポーター」は、認知症高齢者の日常生活をサポートする市民ボランティア。単身高齢者が急増するなか、地域のつながりを生かし、彼らを支えることも必要でしょう
「 #認知症カフェ 」と「 #認とも 」。
「認とも」「家族向け介護教室の開催」の2業務増…。認知症地域支援推進員の負担も増すばかり
施設から在宅へ、国の介護政策が変わりつつあるなか、認知症高齢者を地域でどのように支えるかが課題になっています。最もきめ細かなサービスが提供できるのは市町村でしょう。市町村は介護保険の保険者でもあり、認知症高齢者にとって身近な存在です。
厚生労働省の「市町村認知症支援施策推進事業」では、医療機関、介護サービス事業所や地域の支援機関をつなぐコーディネーターの役割を担う「 #認知症地域支援推進員 」の配置について記述があります。
認知症地域支援推進員は、認知症の医療や介護における専門的知識および経験を持つ医師や看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士などのほか、認知症介護指導者養成研修修了者などが該当し、市町村は地域の実情に応じて一人以上配置することができます。
下記の通り、認知症地域支援推進員の業務は多岐に渡ります。
2016年4月1日より、『「認とも」の育成・支援』と「家族向け介護教室の開催」が業務に加わりました。
認知症の人にその状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、介護・医療・地域サポートなどの各サービスの連携支援
・地元医師会や認知症サポート医などとのネットワークの形成
・情報交換や支援事例の共有などを目的とした連絡会議の設置
地域の認知症支援体制を構築し、地域の実情に応じて認知症の人やその家族を支援する事業の実施
・在宅介護サービス従業者に対する認知症研修の実施
・認知症高齢者を介護する家族に対するネットワーク構築を目的とした交流会の実施
4事業の実施に関する企画及び調整
・病院・介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業
・地域密着型サービス事業所・介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業
・認知症の人の家族に対する支援事業(認知症カフェの設置・開催、「認とも」の育成・支援、家族向け介護教室の開催)
・認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業
「認とも」は認知症カフェ運営のボランティアから選ばれる
2016年4月1日に認知症地域支援推進員の新たな業務となった『「認とも」の育成・支援』と「家族向け介護教室の開催」について説明しておきましょう。
「認とも」とは、「認知症カフェなどを通じて顔なじみになったボランティアで一定の資質を有する者(例えば、認知症サポーターの上乗せ講座を修了した者)が、認知症地域支援推進員の企画・調整の下、認知症の人の居宅を訪問して、一緒に過ごす取り組み」(厚生労働省資料より抜粋)のことです。
簡単に書くと、認知症地域支援推進員が認知症カフェの運営に携わるボランティアから「認とも」を選び、認知症高齢者宅に話し相手として派遣するという内容です。
家族の仕事の都合や地理的事情からカフェに頻繁に通えない人の家を「認とも」が訪ね、高齢者本人と家族を支援します。
現状、認知症サポーターや学生、地域住民、元気な高齢者らが「認とも」を務める見込み。
厚生労働省は自宅訪問を実施する市町村に対し、活動費を助成するため、本年度予算に26億円を計上しています。
「家族向け介護教室の開催」においては、認知症に関する基本的な知識や介護技術の習得、関係制度の理解などを目的に勉強会などを行います。
約6割の認知症カフェが、ボランティアの自己負担、または認知症高齢者本人や家族の負担で運営されているのが現状
「認とも」を選ぶと言っても、認知症カフェが機能していなければ絵に描いた餅。
認知症カフェでは、認知症高齢者本人はもちろん、その家族や関係者、医師、看護師、ケアマネジャーなど認知症に関わるさまざまな人が参加し、介護に関して情報交換を行っています。
カフェでは、お茶を飲みながら、日頃の介護の悩みについて相談したり、雑談に興じる姿があちこちで見られます。
室内には和気あいあいとした空気が流れていますが、その運営事情は厳しいと言わざるを得ません。
公益財団法人認知症の人と家族の会によると、支援スタッフの約4分の1は市民ボランティア。
運営費は200万円未満が約4割を占め、資金難に苦しんでいます。
運営費の財源は自己負担または本人負担が約6割を占めています。
認知症カフェは公益性の高い事業にもかかわらず、助成金を受けているのは約2割に過ぎません。
主な収入源は利用料ですが、1回の利用料は200~300円の認知症カフェが一般的で、大した収入にはなりません。
無料のところもあり、ボランティア色が濃いものだと言えるでしょう。
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2016/11/17 14:00
[MV] Davichi(다비치) _ The Letter(편지) (Lip ver.)
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