#民生委員への調査で高齢者の”孤立”が浮き彫りに。 #地域共生社会

社会的孤立を抱えた高齢者が増えています。

データで見てみると、20万750人の民生委員の中において、孤立状態にあったり、課題や困りごとを抱えていたりする住民への支援を行った経験があると答えたのは、5万3,454人でした。

これは回答全体の26.6%にのぼります。

2017/06/26

つまり4人に1人の割合で、こうした困りごとを抱えた世帯への支援を行った経験があることがわかったのです。


社会的孤立を抱えた人への民生委員の状況

高齢者には支援が必要!?データから見る民生委員の支援

支援を行った経験がある民生委員に対して、課題を抱えた人の年齢層を聞いてみました。

すると、その多数が75歳以上の高齢者で占められていました。

一方で、40歳~59歳の層も7,000人を超えたのですが、60歳以上は3万4,148人に。

約6割が、60歳以上の高齢者となっているのです。


いかに、高齢者に支援が必要かということがわかります。

とくに、自治体別で見てみると、政令市や特別区などで75歳以上の後期高齢者に対しての支援が必要だということがわかります。


支援を受ける人は、高齢者に限ってみてみると、経済的困窮や認知症、引きこもりなどさまざまです。


直面している課題は複雑で、なかなかボランティアが主体である民生委員では対応しきれない課題も含まれていることがわかります。

こうした傾向は、今後も強まっていくものと考えられます。


調査は、2016年の7月から9月にかけて行われ、全国の民生委員23万1,551人が対象で、86.7%の人から、有効回答を得たものです。


独居高齢者に、困りごとを抱えている人が多い!?

困りごとを抱えている世帯の人数を見てみましょう。

当事者のみの単身者世帯・独居世帯が半数近くにのぼります。

その多くが、独居高齢者世帯でした。

1人で暮らしている人の割合は46.7%、65歳以上の独居の割合は34.1%となりました。


いかに独居高齢者が困っているものの、ヘルプを出せない状況なのかがわかります。 

当事者に独居高齢者が多いことから、働いている人のいない世帯も過半数を占めます。


年金受給者が1人以上いる世帯も半数を超えました。

働いていないので、社会との接点が少なく、孤立した状態になっていることがわかります。 

データを見ても、民生委員に対して独居の高齢者からのヘルプが多いことがわかります。


地域への居住年数から、住んでいる期間が長い人ほど困っていることがわかる

では、民生委員が支援に関わることになった時点での、社会的孤立状態にある人が、どのぐらいの期間その地域に住んでいるのかをたずねてみました。


すると、「10年以上住んでいる」という回答が最も多く、居住期間が長いことがわかりました。

自治体別はどうでしょうか。

政令市や特別区に関して町村部と比較してみると、居住期間が短い人の割合が高く、地方で長く住んでいる独居の人ほど、困っている割合が高い居住期間が短い人のことがわかります。

 政令市や特別区では、5年以上10年未満、10年以上の割合が多くなっていることから、その地域に長く住んでいる人への支援が多くなっていることがわかります。


これらを深読みすると、一定地域に長く住んでいる高齢者が徐々に社会的に孤立し、地域での支え合いではなく民生委員からの支援が必要な状況に陥っていると読み取れます。 


高齢者には住み慣れた地域の包括ケアシステム中で、お互いに支え合ってほしいというのが国の方針です。


ところが実際には孤立が進み、地域包括ケアシステムの手からこぼれ落ちている人が一定数いることがわかります。


孤立する高齢者世帯の抱える課題

では、孤立した高齢者は、いったいどのような問題点・課題点を抱えているのでしょうか。

高齢者世帯とその他の世帯で比較し、それぞれの抱える課題を集計してみました。

すると、高齢者世帯では「身体的な病気・けが」が40.0%、「認知症」が32.8%、「外出が困難」25.3%と、上位を占めていました。

体の具合が悪く認知症などの病気を抱えていることに加え、引きこもりなども困りごととして抱えていることがわかりました。


また、身体的な問題と同時に、いわゆるゴミ屋敷の問題を含めた近隣住民とのトラブルや、うつ病などの精神的な悩みを抱えている人が多く、結果として近隣から孤立してしまっていることもわかりました。


課題からみる支援の状況

緊急度と重要度の高い問題に対して、どのように対応していくべきかということがこれらのデータによって問われています。

身体的な病気・怪我に対してはヘルパーなどの派遣を行政にかけあう、認知症はしかるべき医療機関につなげる、外出できない引きこもりは地域のコミュニティなどに参加してもらうという支援が考えられます。


それでも自らそうした支援の依頼をすることができず、社会的孤立に陥ってしまっている高齢者に対しては、民生委員がヘルプをすることが必要となります。

民生委員がいかに地域で重要な役割を担っているのかがわかります。


課題は、複合的に発生している

しかし孤立した独居高齢者が抱えている課題はひとつではなく、複雑に絡む複合的な課題を抱えているということを調査は示しています。

社会的孤立にある状態の方は複数のトラブルを抱えやすく、それが状況をより困難なものにしています。


上記したような課題がどのような組み合わせで高い発生頻度を示すのか調査したところ、主に以下のような組み合わせが代表的なものでした。


身体的なけが・病気 × ひきこもり
身体的なけが・病気 × 刑務所等からの出所者
身体的なけが・病気 × 路上生活者
身体的なけが・病気、認知症 × 被災者
精神的疾患・精神面の不調(うつ等) × 自殺企図
身体的なけが・病気 × 依存症(アルコール、薬物等)
認知症 × 高齢者への虐待


この様に、さまざまな事象が相互に絡み合うことで、問題の根が更にややこしくなっています。こうした課題への取り組みが、喫緊の課題であることは明らかです。


「地域共生社会」はうまく機能するか!?

高齢者や生活困窮者などが当事者となって相互に地域で支え合い、住み慣れた地域で安心安全にして暮らしてもらうよう、政府は「地域共生社会」を地域包括ケアシステムとともに進めています。

しかし、現状ではいまだ不十分であることが明らかです。


この調査は独居高齢者に困窮状態の人が数多くいることを示しており、行政や専門機関と困窮者の架け橋として、民生委員には大きな期待が寄せられています。 

高齢者の生活を豊かで実りあるものにするためにも、それを支える介護職員や福祉に従事する方々、そして民生委員などへの支援も手厚いものとしていくべきではないでしょうか。


現状、民生委員は足りていませんし、地域で困っている人はまだまだたくさんいます。 

特に民生委員などはボランティアで構成されています。

交通費や通信費などの実費は出るものの、善意に頼らざるをえないというのが現状です。


こうした民生委員への報酬などもなんとか考えられるよう、法改正なども検討していく段階ではないでしょうか。



BoA 보아_Comeback Stage 'Fox'_KBS MUSIC BANK_2015.05.15


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