#相続税改正による影響は? 都心に一戸建持つ高齢者は!!!

2015年1月1日から相続税の制度が変更になっています。

ひとことで言ってしまえば厳格化。

「相続税?それってすごいお金持ちの人が気にする話でしょ?一般市民には関係ない」などと思っている人も、実は関係してくる話になってきます。

財務省の試算によれば、これまでの相続税のルールでは、年間の死亡者のうち4万6000人が課税の対象になっていたのが、改正後は7万人台に。

それに伴って、相続税を納めなければならなくなる人も約11万5000人から約17万5000人へと6万人も増えることに。

特に、東京都内をはじめ大都市圏に土地付き一戸建てを持っているような人が死亡した場合、その財産を相続する人の大多数に相続税がかかるように。

税理士など有識者の間では「都心部の住んでいる人が亡くなれば、相続人の2人に1人は課税対象になる」とも言われています。

なぜ、それほどまでに厳しくなってしまうのか?

相続税の基礎控除が40%減!  

都心部に土地付き一戸建てを持つ人は、そのほとんどが相続税の対象に

そもそも、どうして相続税を納める人が増えることになるのかと言うと、「基礎控除」と呼ばれる項目が変更されるから。

簡単に言うと「すべての相続財産の額から一定の額を差し引いて(=基礎控除)計算しますよ」ということ。


ご覧の通り、これまでのルールでは差し引ける金額が「5000万円+1000万円×相続人の数」だったのが、それぞれが40%も減額となり、「3000万円+600万円+相続人の数」となります。

つまり、最低でも3600万円の財産を相続する場合には相続税がかかるようになるのです。

差し引ける金額が減るということは、それだけ課税対象となる財産が増えるということになります。

例えば8000万円の財産を持つ人が亡くなったとして、それを配偶者と子ども2人で相続するとします。

これまでのルールで基礎控除を計算すると、5000万円+1000万円×3=8000万円となり、財産のすべてが非課税となります。

しかしルール改正となる来年1月1日からは、3000万円+600万円×3=4800万円しか控除されないため、8000万円-4800万円=3200万円が課税対象に。

8000万円と言えば、東京23区内に土地付き一戸建てを持ち、老後資金として現金の預貯金や株式などの蓄えを持っている人であればゆうに超える額です。


逆に、「財産がいくらまでなら相続税がかからないのか?」と考えると、相続人が1人だとしても、3600万円以下の財産には相続税がかかりません。

しかし、東京都内で20坪ほどの土地を持っていれば、それだけで2000~3000万円の相場ですし、そこに上モノとなる家の価値を加えれば、これまたゆうに3600万円も超えてしまうでしょう。

こうした観点から、多くの人に相続税がかかることになると見られているのです。

ちなみに、以下は改正の前と後の相続税の税率。

ご覧の通り、相続税の税率に大きな変更はありませんが、注意が必要なのは億を超える財産を持っている人。

2~3億の財産を持っている人で40%→45%に、6億円を超える人では50%→55%へと、それぞれ税率が上がることになります。


それほど多くの人ではないと思いますが、いわゆる富裕層にとって税率アップは頭の痛い問題となりそうです。


東京オリンピックの開催によって相続税も上がることに!?     地価の上昇が土地持ちにとって厳しい現実...


当然ですが、相続税は国に納めなければなりません。

しかし、相続した時点で納税資金がなく、泣く泣く土地を売り払うというケースも珍しくありません。

その際、これまでのルールでも土地の売却時に「譲渡所得税」と「住民税」が課せられてきましたが、この課税額に関しても算出の基準が厳しくなります。

今までは相続するすべての土地にかかる相続税額を差し引くことができたのですが、制度改正後は売却した土地にかかる相続税額しか差し引くことができなくなります。

つまり、控除してもらえる額が少なくなるため、相続税が上がることになります。

土地ありきの話なので、ここで地価の話題にも触れておきましょう。

今年9月に国土交通省が発表した資料によると、全国平均で1.2%下落しており、数年の下落傾向をなぞる形で推移しています。

しかし、5年連続で下落幅は縮まっており、特に東京・大阪・名古屋の三大都市圏を合わせると0.8%増で、これは2年連続の上昇となっています。


アベノミクスの効果なのか、緩やかではありますが地価は上昇傾向にあり、また2020年に東京オリンピックを控えるだけに、今後も地価は上昇していくものと考えられます。


土地の評価が上がるということは、当然ですが相続税も上がるということ。

特に都市部に不動産をお持ちの方は、相続に関わる問題として、ご自分がお持ちの土地の価格について調べておくと良いでしょう(試算法については、国税庁のホームページを参考にするか、税理士など専門家に相談してください)。


相続人が子どもだけの場合、相続税が重くのしかかる!? 相続税一覧をぜひご覧ください!

では実際、財産額に対してどれくらいの相続税がかかってくるのでしょうか。

税率を考慮して算出した、家族構成別の相続税を一覧にしてみました。

ひと目で見て分かると思いますが、

相続は「1次相続」と「2次相続」とに分かれています。

前者は配偶者と子どもを残して亡くなった場合、後者は子どもだけが相続人となっている場合です。


1次相続では、配偶者は「1億6000万円か、法律で定められた金額のどちらか」までは相続税がかからないように優遇されています。

妻であれ夫であれ、残された配偶者としては一安心です。


逆に言えば、2次相続、つまり子どもだけが相続人となっている場合は、相続税がかなり高額になることを覚悟しておいた方が良いでしょう。

さて、ここまで「相続税が重くなる」と強調して進めてきましたが、もちろん節税することは可能です。


そのポイントは3つ。

①「小規模宅地等の特例」を活用する
②教育資金として「生前贈与」という形にする
③現金としての貯蓄は生命保険にしておく


以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。


「小規模宅地等の特例」を活用すれば、土地の相続をする場合にも相続税がゼロになる!?

小規模宅地等の特例を活用すれば土地の評価額の8割が減額になる

財産の多くを占める自宅の土地については、これまでも「小規模宅地等の特例」が適用となり、土地の評価額の80%が減額になっていましたが、その広さについて緩和されることになります。

具体的には、これまでは240㎡までが減額の対象だったのですが、それが330㎡に。


例えばですが、評価額が4000万円で60坪(=約200㎡)の土地を子ども1人が相続する場合、相続税が40万円かかることになりますが、特例を活用すれば相続税がゼロに。

もっと言えば、評価額が1億5000万円で60坪の家を同様の条件で相続するにあたっても、特例を使えば同じくゼロになります。特例を使わなければ2800万円以上の相続税が発生することになるので、「小規模宅地等の特例」を活用しない手はありません。

ただし、この特例を活用するにあたってはいくつかの条件が必要に。

その条件とは、

「亡くなった人と同居していた」

「過去3年の間に持ち家に住んでいない」など。

つまり、実家を離れて別に自宅を購入しているような人は、特例が適用になりません。

こうして特例を活用できないと、「実家を相続するにあたって相続税を支払えないので、泣く泣く持ち家を売ることに…」というケースも珍しくないので注意が必要です。


生前贈与も名目次第!?      例えば「孫のピアノレッスンのため」の贈与でも、1500万円までは非課税に!

生前贈与でも孫の教育資金のためなら1500万円までが非課税に

土地以外の現金にも、もちろん相続税がかかります。

この現金についても、もちろん節税が可能です。

そこでキーワードになるのが「生前贈与」、つまり親が生きている間に現金をもらっておいて、亡くなった時に相続税の対象になる額を減らしておく、ということです。

単なる「贈与」では、1年あたり110万円を超えると贈与税がかかるのが現行法。

例えば1年で1000万円が親から子へと贈与される場合、231万円もの贈与税がかかります(2015年1月1日以降は177万円)。

それをゼロにしてしまうのが、“教育資金として贈与する”という節税方法です。

具体的には、30歳未満の子どもや孫、ひ孫に教育資金としてお金を贈与する場合、1500万円までは非課税にするという特例があるのです。

この教育資金とは、学校や塾に入るため・通うための費用としてはもちろん、例えば英会話学校やピアノレッスン、スイミングスクール、はたまたゴルフスクールの資金として使ってもOKです。


例えば3000万円の預貯金がある高齢者が、相続税対策として3人の孫に1000万円ずつ“教育資金として”贈与することも可能。

すると、その高齢者が亡くなって子ども(=孫の親)が相続することになった場合、預貯金に対する課税はなくなるのです。

ただし、この特例は平成27年12月31日までに贈与が完了していること、という条件があるので、対策を考えている人は早めに取り掛かった方が良いですよ。


相続税の節税対策として現金を生命保険に変えておくというアイデア

そして3つ目が、当面の間使うアテのないお金であれば、生命保険に変えておく、というもの。

遺族が受け取る保険金に関しては、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となり、例えば死亡時に1000万円の受取金額となる保険に入っておくと、妻子がそれぞれ1人ずつだったとして均等に分割する場合は非課税になるのです。

もしくは、10年にわたって年に100万円ずつ親から子へと贈与を続け(110万円以内なら贈与税がかからないため)、そのお金を元に子どもが父に生命保険をかけ、死亡時に保険金を受け取るというのもひとつの手でしょう。>

いずれにせよ、「どうせ相続税として納税することになるくらいなら、生きているうちに孫のために贈与しておこう」「現役時代に行けなかった旅行に行こう」など、“生きたお金”として使うのも良いのでは?

もちろん、老人ホームの入居資金に充てるのも良いでしょう。


切り出しにくい話題ではあるけれど…。遺産相続の節税対策は親子関係を円滑にする良いチャンス!?

さて、ここまで簡単にではありますが節税対策についてご紹介してきましたが、これらを実行するにあたってハードルとなるのが、“子世代から、高齢の親にいつ相続の話を切り出すか”という問題です。


相続は、当て字として“争続”ともされるほど、家族間の争いに発展しかねない大問題。

「相続税を払えるかどうか心配だから、生命保険に入って欲しい」などと本音では思っていても、相続や遺言書の有無について子どもから親に話を切り出した途端に「早く死んで欲しいと思っているのか!?」など、親子関係に亀裂が生じるという話もよく聞きます。

親子なのですから、なるべく良い関係性のまま生活を続けていきたいですよね。

そこで、今回の法改正は良いタイミングとは考えられないでしょうか?


例えばですが、年末年始を一緒に過ごす際に「そういえば相続税が変わるらしいけど、ウチの場合、どうなってるんだっけ?」などとさりげなく切り出すのも良いでしょう。

そうするにしても、普段はあまり連絡を取らないのにいきなり相続の話を持ちかけては、相手となる親も良い気持ちはしないでしょう。

相続の話に限ったことではありませんが、なるべく普段からコミュニケーションを取るようにして、親子関係を円滑にするする努力をしてみてはいかがでしょうか。

[MV] Kim Jong Kook(김종국) _ How come You don't know?


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