特養、4分の1で空床…「職員不足」など理由
全国の特別養護老人ホームの4分の1で、空床が生じていることが、厚生労働省の委託調査でわかった。
読売新聞 2017/3/6
職員不足から、高齢者を受け入れられない一部施設の現状が浮かび上がった。
調査は、みずほ情報総研が2016年11~12月、開設から10年以内の1151施設に行い、550施設から回答を得た。
1床でも空いていたのは26%に当たる143施設。
東京23区や政令市などの都市部は31.1%で、それ以外の地方(24.4%)と比べて高い傾向がみられた。
うち74施設は「職員採用が困難」「離職が多い」などを理由に挙げた。
複数回答で72施設(74施設中)が選び、人材の枯渇が受け入れに支障をきたしている実態が明らかにされた。
「医療的ケアに対応できない」との声も目立っている。
54施設では「申込者数が少ない」を理由とした。
空床があったところの37.8%、全体の9.8%にあたる54施設が答えている。
考えられているのは、すでに高齢化のピークを過ぎた地域が出てきていること。
54施設の内訳をみると、約8割の43施設が東京23区や政令市などを除いた地方にある。
このほか、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどの建設が進んだこと、原則として要介護3以上に利用が限定されたことなども影響しているとみられる。
この調査は、厚生労働省が費用を助成する「老健事業」の一環。約52万人の待機者がいる(2014年3月集計)と報告された特養の現状を把握し、今後の施策に活かしていくことが目的だ。
ただ、ベッド数に占める入所者数の割合「稼働率」は、平均約96%だった。
調査の座長を務めた結城康博・淑徳大教授は「特養を増設する自治体は、地域の介護人材が足りているかどうかに配慮しながら、整備を進めるべきだ」と指摘する。
“老人ホーム”が空いている!?
2017年3月16日(木)
介護施設不足が問題とされてきた日本。
しかし、今月発表された調査で「特別養護老人ホーム」に“空き”があることが明らかになった。
さらに、施設不足の受け皿として期待されるのが「サービス付き高齢者住宅(通称・サ高住)」国は「目標60万戸」を掲げ、多額の補助金を出して建設を促している。
しかし建設ラッシュの裏で、倒産するサ高住も出始めている。
多くの人が入居を待ち、入れないはずの老人ホームで何が起きているのか。その矛盾を検証する。
特別養護老人ホームの内部留保 3割超が必要以上の蓄え
2013年8月27日 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20130827-OYTEW62054/
事業活動で生じた黒字の「蓄え」を、内部留保と呼ぶ。
厚生労働省が5月に公表した調査結果によると、全国の特養(事業開始3年以内と公立を除く)の「実在内部留保」は2011年度末時点で、1施設当たり平均1億5563万円だった。
実在内部留保は、現金・預金や有価証券などを合計し、1年以内に返済する借入金や未払い代金などを差し引いた額で、「これから使うことができるお金」を表す。
調査対象の特養は約6100施設で、単純計算で総額9500億円が余剰資金としてプールされていることになる。
すでに建物改修などに使われた分も含めた「過去に発生した内部留保の総額」では、平均3億1373万円に上る。
特養の大半は社会福祉法人の運営で、営利目的の企業とは違い、黒字が生じても株式配当のように外部に流出させることが禁じられている。
このため、内部留保が蓄積する。
特養の内部留保を巡っては、待遇改善が課題となっている介護職の給与アップや、入居者の利用料引き下げの原資に活用すべきだとの声も出ている。
これに対し、施設側は、多額の費用負担が発生する施設の建て替えなどに備える必要があるとの立場だ。
ただ、実在内部留保の額の分布をみてみると、ばらつきが大きい。
最も多いのは0~1億5000万円未満の48%だが、3億~4億5000万円未満が9%など、平均の2倍以上ある施設も多い。
同省では、建て替えの建設費や借入金の返済に必要な額などをもとに、各施設の維持に必要な「必要内部留保額」を算定。
それぞれの実在内部留保額と比較した結果、32・8%が「多い」と判定された。
一方で、「少ない」とされた施設が52・5%に上った。
必要内部留保額は一つの目安に過ぎないが、一概に「特養が過大な蓄えを抱えている」とは言えないようだ。
今回の調査で、内部留保額を調べられる財務諸表を公表していない施設が1割以上に上ることも明らかになった。
ホームページで公表しているのは全体の3割未満。
「黒字を不必要にため込んでいる」という疑念を払拭するためには、より積極的な情報公開が求められる。
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