#尊厳死宣言急増!!! #介護現場では終末期ケア研修受入整備が課題に...

尊厳死宣言が半年で1,000件近く急増...

2018年9月、日本公証人連合会(日公連)は、「#延命治療を終末期に望まない」という意思を #公正証書で示す「尊厳死宣言」の件数が、2018年1~7月で計978件に上ったことを明らかにした。


相続に備えて公正証書遺言を作成する際、尊厳死宣言も同時に行うケースが多かったとのこと。

近年「病院で辛い治療を受けるよりも自宅で最期を迎えたい」と考え、病院に入院せずに在宅介護を選ぶ高齢者や、老人ホームで延命治療を望まず最期を迎える高齢者が増えている。

しかし延命治療に関する判断は医師でも困難。

もし延命措置を施さなかった場合、現行法では医師の免責要件が明らかでないため、患者が亡くなった後、治療の義務を怠ったとして家族などから告訴される恐れがある。



ですが書面によって本人の意思表示が明確にされていれば、医療行為に反映されやすくなります。

#日本尊厳死協会の調査によれば、終末期の医療に対する本人の事前指示書が医療者に受け入れられた割合は90%に上りました。


自分の意思を伝えられなくなる前に希望を残しておくことで、望まない延命治療を避けることができるのです。


尊厳死宣言は”公的”に本人の意思を反映できる

延命治療を受けないという自分の意思を「公正証書」という公的な文書によって残す書類のことを「#尊厳死宣言(尊厳死宣言公正証書)」と呼びます。


公正証書は全国285箇所の公証役場で作成、保管され、本人の意思を公的に証明する文書です。

尊厳死は法制化されていないので、尊厳死宣言そのものに法的な拘束力などはありません。

ただ、公正証書の写し(謄本)を病院など医療機関に示せば、本人の意思は尊重してもらいやすくなります。


生前に自分の意思を残しておく方法としては「#エンディングノート」もありますが、これはあくまで「私的」なもの。

「公的」な意味合いのある尊厳死宣言にまとめておくことで、よりはっきりと医師・家族に自分の意思を伝えることができるのです。


延命治療を望まない高齢者は9割を超えた

尊厳死宣言を行う人が増えた理由のひとつが、死生観への意識の変化です。

2013年の厚生労働省の『#人生の最終段階における医療に関する意識調査』によれば、終末期にどのような治療を受けたいか、受けたくないかを書いた事前指示書をあらかじめ作成しておくことに対して、一般国民の69.7%が「賛成である」と回答。

実に7割近くの人が、尊厳死に関する事前の指示書作成に賛成しているのです。

一方、

高齢者自身の延命治療の希望については、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい」と回答した人の割合は91.1%と9割を超えています。



出典:『人生の最終段階における医療に関する意識調査』(厚生労働省)

また、国側が尊厳死に理解を示すようになったことも、尊厳死宣言の件数増加に少なからず影響していると考えられます。

厚生労働省は2007年に終末期の延命治療に関する「#人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を公表。

このガイドラインの中には延命治療(終末期の医療)に関して、「患者本人の意思に基づき、本人の利益を最善なものにすることを指導基準とすべきである」「患者や家族、医療関係者らが話し合う」「決定に関しては担当医1人ではなく、多専門職種で構成される医療・ケアチームが関与する」ことなどが明記されています。

さらに、2012年には尊厳死法案(本人の意思に基づく尊厳死においては、治療を中止しても医師の責任を問わないことを規定した法案)が国会に提出されました。このように国・厚生労働省側でも、尊厳死を許容する動きが強まりつつあるのです。


2018年9月には、与党自民党が終末期医療のあり方について規定する新法作成の検討を開始しました。

2012年に国会に提出された法案を見直し、「本人の意思を継続的に確認する」といった手続きを重視する新しい法案への練り直しを行うとしています。

新法案は早ければ来年の通常国会に提出するとしています。


今後も法整備に向けた動きは活発化していく見込みですが、こうした尊厳死の法制化に対しては、反対の声も上がっています。
例えば2018年の11月、尊厳死の法制化に反対する全国脊髄損傷者連合会などの障害者団体・難病患者団体が東京都千代田区にある憲政記念会館で緊急集会を開き、「安易な法制化は行ってはいけない」と訴えを行いました。


同集会では、参加者から「尊厳死を認めることは、正当な治療を受ける権利を奪う恐れがある」との意見も出されました。尊厳死は生命倫理にも関わる難しい問題でもあるのです。


介護現場で問われはじめる「尊厳死」のあり方

本人の意思に反して延命措置が中止されてしまう可能性がある

尊厳死や安楽死の合法化が社会的弱者にリスクを強いることは、以前から国内外で繰りかえし指摘されてきました。


重要な論点のひとつは、もともと周囲の支援を得にくい高齢者や難病患者が、支援を得られないために延命を諦めることを合法化が後押しすることになるのではないかという問題です。


延命治療は、患者本人の家族などに介護負担や経済的負担にもなります。

また、患者本人の意思とは別に、家族・親族が「こんな状態で生き続けることは、本人のためにならないのではないか」と考えることもあり得ます。


尊厳死法が成立すると、本来は延命を希望するはずの人まで、周囲からのプレッシャーが強まることで「延命を諦めてしまう」のではないか、と懸念されているのです。


さらに書類作成後に本人の意向が変わることもあります。

当初は延命拒否を望んでいても、後に延命治療を受けたいと考え、そうした意思を伝えられない状態になることも考えられるでしょう。

また重度障碍者や認知症高齢者の場合、そもそも自分の意思を正確に示すこと自体が難しいのです。


認知症をはじめ、自分の意思を伝えられなくなる症状・病気の発症率が加齢と共に高まることを考えると、高齢者においてこそ意思表示の問題は深刻だと言えます。


介護職員からは終末期ケアへ戸惑いの声も

意識の変化はあるものの、尊厳死宣言のような事前指示書の作成はまだまだ一般的には浸透していません。

厚生労働省によれば、老人ホームで亡くなった人の数は2015年に8万1,680人となり、5年前から約2倍に増加しています。

高齢者施設が「終の棲家」になるにつれて看取り介護が増え、入居者の延命治療の問題に直面する施設も増えています。

すでに現場では、尊厳死との向き合い方が問われつつあるのです。


しかし、介護職員の3分の2が終末期のケアに関心を示したものの、「実際に提供したい」と考えている職員の割合は少ないとの調査結果もあり、終末ケアの今後の増加に不安を感じる職員は少なくありません。


これからも増加する高齢者の看取り介護を、実際の介護現場でどう受け入れるのか…研修や受け入れ態勢の早急な整備・強化が必要とされている。

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