#10~44歳の男性の死因第1位が自殺という事実!!!

10~44歳までの男性の死因の第1位が「自殺」という事実を、ご存じでしょうか? 

がん(悪性新生物)でも心疾患でも交通事故でもないのです。

45~49歳でも2位ですし、50~54歳でも3位に入ります。

表は2015年のデータですが、すくなくとも2007年からはずっとこの傾向が続いています。

男性の年齢別死因順位(2015年) 


■2003年に独身男性が既婚男性の自殺者数を超える 


■40代独身男性の自殺は、なぜ多いのか? 

全体も40代も、自殺原因の1位は男女とも「健康問題」ですが、差は男女間で顕著です。

女性の場合は6割以上と圧倒的に「健康問題」で自殺する人が多いのに対し、男性は全体で約42%、40代では約36%程度です。

一方、男性で2位である「経済・生活問題」は女性だとかなり低い。

「勤務問題」についても、女性だと10%にも満たないのに対し、40代男性は16.1%と、構成比が高くなっています。

40代男性の自殺原因をさらに詳しく見ていきましょう。

「健康問題」では、「身体の病気の悩み」ではなく「うつ病などの悩み」が1位です。

構成比で50%弱を占めます。

ただここで注意したいのは、だからといって、この統計だけではうつ病と自殺に因果関係があるとは断言できないということです。

自殺者の多くがうつ病を患っていたのは事実ですが、うつ病だから自殺をするとは決め付けられません。

「経済・生活問題」では、「負債」が多く、続いて「生活苦」「失業」となります。

自殺者が3万人を超えたバブル崩壊後には、この「負債」を苦にした男性の自殺が圧倒的多数でした。

「勤務問題」では、「仕事疲れ」「職場の人間関係」の2つで過半数を超えます。

こうして見ると、40代男性の場合、「経済問題」「勤務問題」など仕事絡みのことが自殺の大きな原因になっていることがわかります。

「健康問題」にあるうつ病はそうした仕事に関する問題の結果生じたものとも考えられます。

逆に、女性の場合は、ほとんど「健康問題」一択といえます。

つまり、女性は「経済問題」ではほぼ自殺しないということです。


■男性が「結婚できない理由」と「自殺する理由」は似ている

この結果を見て素直に私が感じたのは、「未婚男性の結婚できない理由と似ている」ということ。

ただ、年収が低いほど男性の未婚率が高いことは周知の事実ですが、カネの問題だけが男の非婚化を推進しているわけでありません。

それは全体の一要素にすぎないのです。

自殺に関しても同様です。

ここで挙げられた男たちの自殺の原因動機は、あくまで自殺に至るプロセスの中の一要素にすぎません。

確かに不景気や失業率が上がると自殺が増えるという相関関係はあるでしょう。


しかし、好景気に沸いたバブル絶頂期の1989年の40代自殺者数は、2015年の実績よりもむしろ多いのです。


■40男は「男らしさ」の規範に殺されている

男たちの意識や行動を無意識のうちに規定してしまっている外的環境圧力とは何か??

それは、社会規範ではないかと私は考えます。

規範とは社会における常識であり、ルールです。


前回「独身を追い詰める『悪意なき結婚圧力』の正体」に書いた「結婚するべき」という結婚規範もその一種ですが、「男は男らしくあるべし」という性別規範もあります。


そして、この「男らしさ」の規範こそ、無意識のうち

「男は働くべき」「男は稼ぐべき」「男は家族を養うべき」そして「男は我慢すべき」……。

苦しいこと、言いたいこと、不満……。

それらをこらえていくのが男の修行である」とは、戦前の軍人山本五十六の言葉ですが、それは、男の美学として承認されてきたことでした。


しかし、皮肉にも、そんなあるべき男の姿という幻想によって、男は自殺へと導かれているのではないでしょうか。

そして、意外かもしれませんが、独身男性のほうがこの「男らしさ」規範に縛られていて、既婚男性の1.3倍多く存在します(2015年「ソロ男プロジェクト」調べ N=626)。


「働くべき」男が、何らかの理由で働けなくなることも、「養うべき」男が、何らかの理由で(負債を抱えずとも)カネを稼げないことも、男にとっては男であることの規範からの逸脱であり、男としてのアイデンティティの?奪を意味します。


「うつ病」になる要因も、仕事上において「あるべき男」になれなかったことに起因するのかもしれません。

自殺してしまった男たちは、ギリギリまで追い込まれて、心が傷だらけになっても、弱音を吐かず、最期まで必死で生きようとしていた、むしろ、誰よりも生きることに対してまじめでひたむきだったのではないでしょうか。


男らしさの規範とは、男はこうあるべき、というアイデンティティの押し付けです。

統一的な集団として安定が保証されていた時代はそれでよかったでしょう。


しかし、現代の液状化する不安定な社会の中で、マジョリティのレールからはみ出した者を、こうした規範こそが自己責任の名の下に切り捨ててしまってはいないでしょうか。

彼らの声を遮断し、苦しむ姿さえ透明化してはいないでしょうか。


これらは決して個人の内面の問題ではないのです。

「男も弱音を吐いていい」という言い方では解決しません。

弱音を吐くことすら許されないという規範からの解放が先決です。 



フランスの社会学者エミール・デュルケームは、

1897年に発表した『自殺論』の中で、「自殺の恒定性」に着目しています。

つまり、多少の変動はあれ、毎年のように同程度の自殺者が発生するというのです。

自殺してしまった人は翌年いないにもかかわらず、測ったように一定数の自殺者が新たに発生するというのは、よく考えると不思議な話です。

これこそが、自殺が個々人の動機や性格によって引き起こされるのではなく、社会環境の産物であることを示唆しています。

不景気や失業者増という単発的要因より、もっと恒常的で本質的な環境要因を忘れてはいけません。



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