#空き家 16年後に2160万戸 住宅の約3割に!!!
人口減少を背景に全国的に増えている空き家について、今後、活用や解体が進まなければ、その数は16年後に2160万戸に達し、住宅のおよそ3割が空き家になるという予測を民間の研究所がまとめました。
6月25日
全国の空き家の数は、総務省の直近の調査では4年前の2013年に820万戸に上り、住宅に占める空き家の割合は13.5%となっていました。
こうした調査を基に「野村総合研究所」が行った予測によりますと、今後、空き家の活用や解体が進まなければ、空き家の数は16年後の2033年には2166万戸と2倍以上に増加し、住宅に占める空き家の割合もおよそ3割に達するとしています。
空き家が増える理由として研究所では、今後、人口減少に伴って世帯数も減少するのに対し、新たな住宅の建設は続いて住宅の戸数が今後も増え続けると見られるためだとしています。
空き家の増加は防災や防犯の面で問題があることから、研究所では、空き家の解体や住宅以外への転用を促す仕組みや、新築の住宅の建設を抑制する仕組みの導入が必要だと指摘しています。
2017年6月15日(木)
空き家が収益物件に!? 新時代の活用術
解体費用は高い、維持する手間もかかる。
人々を悩ませてきた空き家問題だが、新たな知恵が広がり“稼げる物件”に変わろうとしている。
商店街の空き家は建築家や地域の人々が知恵と資金と人手を出し合い、おしゃれなカフェや宿泊施設に変身。
農村の民家はワークライフバランス重視の都市のサラリーマンが週末を過ごすセカンドハウスとして人気に。
「うちの実家は無理」と諦めるのは早い。変わり始めた最新の空き家活用術を伝える。
築45年。
商店街の一角に残されていた古びた空き家が、今や、人々でにぎわうおしゃれなカフェに。
2階の狭い和室は、外国人観光客に人気の宿泊施設に生まれ変わりました。
こちらは、築90年のお荷物空き家だったんですが、シェアオフィスに大変身。
毎月45万円を稼ぎ出す収益物件に様変わりしました。
全国に820万戸もある空き家。
維持する手間もかかる、固定資産税もばかにならない、と多くの人を悩ませてきましたが、今、新たな知恵が広がりその空き家を借りたい、買いたいという人たちが次々と現れているのです。
「うちの実家は古いし地方だし」と諦めるのは、まだ早い。変わり始めた空き家活用の最前線をお伝えします。
鎌倉:うちの空き家なんて売れないし、貸せない。荒れ果てて、近所の迷惑にならないかしら。そう思っている皆さん、今、地方でも都市部でも、空き家や空き店舗が次々と収益物件に生まれ変わっているんです。
例えば鹿児島県の鹿屋市。空き店舗になっていた、築36年のスナックが、おしゃれなパン屋さんに生まれ変わりました。
さらに、和歌山市では、賃貸マンションの空き部屋が、学生用のシェアハウスに。
オフィスビルの空きテナントは、屋台が並んで、このにぎわいです。
和歌山市内だけで、空き家から16もの新事業が次々に誕生。
日本各地で活気が戻り、空き家の所有者はもちろんのこと、地域にとってもプラスになっています。
諦めていたあなたの空き家にも、活用のヒントが見つかるかもしれません。
空き家が収益物件に! 驚きの活用術
長年、空き家の問題を抱え思い悩んできた片岡慶一さんです。
両親から受け継いだ実家の維持・管理に困り果てていました。
実家は人通りがまばらな路地から、さらに奥へ入った先に建っています。
戦前に建てられた築90年の木造住宅。
空き家になってから10年以上がたっていました。
「瓦の心配も、雨漏りの心配もしないといけない。見にこないとなりませんし、空き家に。かなりしんどいんですよね。」
片岡さんが助けを求めたのが、建設業や不動産業を営む、西村孝平さんです。
400軒以上の空き家を再生させてきました。
西村さんが注目したのが、空き家から歩いて10分ほどの場所にオフィス街があることです。
空き家を片岡さんから借り受けると、思い切って3,000万円かけて働く場に改修することにしました。
そして去年(2016年)、完成したのが、この新たなシェアオフィスです。
1階は、ビジネスマンが気軽に利用できるスペースに。
会員になると、2時間500円で机が借りられます。
2階は、起業家などのためのオフィスに。
自分専用の空間を、ひとつき2万7,000円から借りられます。
すでに会員数は30人を超え、お荷物空き家は月に45万円を売り上げる収益物件に大変身。
家主の片岡さんは、維持・管理の手間からも固定資産税からも解放されました。
「僕の考えつく範囲ではなかったんで、こんないい場所にされているんで、よかったなと思います。こんな家だったら、僕ももう1回住みたいなと思います。」
今回、シェアオフィスを手がけた会社では、空き家を宿泊施設やシェアハウスなどにも造り替えています。
「町家がここまで、いろいろな使い道ができるということの提案を、私たちが実践して、皆さんにお見せすることで、こんな使い方ができるんだと、わかっていただける。可能性としては、まだあると思う。」
さらに、地域ぐるみで知恵を出し合って、空き家問題を解決する新たな手法が注目を集めています。
その試みが行われたのが、東京都・豊島区。
都内とはいえ、消滅可能性都市に挙げられ、空き家率は全国平均を上回っています。
この地域に空き家を抱えていた、山田由紀子さんです。
夫とその両親を亡くした後、家を受け継ぎました。
かつて両親が、とんかつ屋を営み、人生の大半を過ごした築45年の木造住宅。
毎年支払う10万円以上の固定資産税が負担に。
どうにか活用する方法はないか。
最初に考えたのは、子育て中のママをサポートする託児所。
しかし、区役所に連絡すると、建築基準を満たしていないと断られました。
では、高齢者のグループホームにしたらどうか。
これも、広さが足りないと告げられました。
やむなく家を解体して、駐車場や駐輪場にすることも考えたのですが…。
「業者さんに見ていただいたら、駐車場には間口が狭い。駐輪場だったら、税金に、ほとんどもっていかれる。びっくりして、がく然として。」
八方塞がりだった山田さんに2年前、転機が訪れました。
区が主催した街作りイベントです。
中古住宅の再生を得意とする建築家や、地元を元気にしたいと願う市民の有志などが参加。
全員で地域の空き家を生かす知恵を出し合います。
「とんかつ屋さんを、この地域で50年ずっと営んでいた、このお店の大将です。オーナー山田さんのお義父さんにあたる方です。」
山田さんの家について驚くようなアイデアが飛び出しました。
「大将の熱い魂が残る“とんかつ一平”の建物をよみがえらせます。」
1階は、地元の人が集うカフェに。
2階は、外国人観光客が利用する宿泊施設にしたいという提案です。
下町の風情を残す周囲の町並みが、ディープな日本を味わいたい外国人にとっては魅力で、十分利益を確保できると将来の事業計画まで示されました。
さらに、地元の有志が施設の運営も担いたいとアピール。
「オーナーの山田さん。この家を月15万で貸してください。」
手を挙げたのは、内装業を営む地元住民や建築、財務のプロなど5人。まちづくり会社という小さな組織を作り、山田さんと話し合いながら、リノベーションや経営の具体的なプランを練り上げました。
「山田さんがやりたかったことは、多世代がここで交わって、笑顔になって、この町全体が良くなっていくことだと思うので、その辺のことを、僕たちなりに解釈して。」
最終的にまとまった計画です。毎年の固定資産税に加えて、改修費用1,200万円もまちづくり会社が負担。
その代わり、経営が軌道に乗るまでの2年半は家賃を無料にしてもらうことになりました。
提案から1年。
とんかつ屋だった1階はおしゃれなカフェに生まれ変わりました。
ミシンを貸し出して、編み物教室が開かれるなど、地元の人が世代を超えて交流する場になっています。この日も、2階の宿泊施設に泊まろうと、アメリカから観光客がやって来ました。インターネットで高い評価を受けていることを知り、この宿に決めたといいます。
「気をつけて、狭いから。」
外国人観光客
「狭いのも、いいね。」
料金は1泊およそ1万円。去年1年間で、延べ900人が宿泊しています。
外国人観光客
「竹の香りが好きなんだ。サムライ映画みたいで、気に入ったよ。」
アイデア、お金、人手。地域のみんなで出し合って成し遂げた、空き家の再生です。
「携わっている方が努力と情熱で、あんな小さな家から皆さんに喜んでいただいて、本当に、いろんなアイデアが出てきて、頼もしいと思っているんです。亡くなった山田の両親も喜んでいると思うんですね。」
空き家が収益物件に!? 新時代の活用術
ゲスト 大島芳彦さん(建築家)
ゲスト 榊原渉さん(野村総合研究所部長)
とんかつ屋さんの事例に関わった、建築家の大島芳彦さん。
自分ではいらないと持て余していた住宅が、地域の中で役に立つようなものになっていくというのは、すばらしいですね。
大島さん:そうですね。空き家問題とはいいますけれども、空き家、家というものはそもそも社会的な存在ですよね。ですから、地域の社会資産として考え直しましょうということが、非常に大事な観点なんですね。
(自分で持っているだけではなく、社会のものだと?)
ですから、社会と周辺の地域そのものがどんどん変わってくるわけで、30年前、50年前、その時の地域社会と今は違うはずですよね。そんな時に、じゃあ、どういう役割をこれから見いだしていくべきか。空き家というのは、その地域社会において、役割を失ってしまっているということですから、役割を生み出す周りとの関係性ですね。
その周りにいろいろな兆しが眠っています。
今の「シーナと一平」という宿の話で言えば、そこには高齢の単身者がいるんだけれど、その人たちがお世話になっていた、なっている商店街には総菜屋さんがいっぱいあったり、お風呂屋さんが今でもあったり、おそば屋さんなど、いろんなものがあるんですね。ですから、そういう町に存在しているサービスを活用しうるような宿、つまり、そこに宿に泊まることによって、素材を買ってきて食べるとか、お風呂屋さんに行くとか、VTRにもあったような外国の方にとっては、それは日本の日常生活の中にどっぷりと浸って日常を楽しむような場になってたりする。
海外の方が増えているというのも、これからの需要でしょうし、変化ですね。変化を捉える。
そうはいっても、うちの実家はあんなにぎやかな商店街にあるわけでもないし、本当に何の魅力もない所にぽつんと建っていて、どうやったら、どんな考え方をしたらいいのだろうかと悩んでいる方もいると思うが?
大島さん:先ほどの事例は中心市街地なので、中心市街地はいろいろな方法がある。だけど住宅街というと、なかなか活用策というのは難しいかもしれないんですが、ただ、それも同じことで、当たり前のことだと思っているから、自分の家は普通の家だから活用策はないんだと思いがちなんですけど、実際に振り返ってみると、外から見た目がどう見るかというと、意外にそこに蓄積された日常というのは、外から来た人にとっては非常に刺激的、刺激的というよりは楽しめるものだったりするんですね。ですから、自分の日常生活をもう一度振り返って、その魅力は何なのかということを考えてみると。つい、建物のことを考えてしまいがちなんですが、そうではなくてということだと思うんです。
(日常を考える?)
日常ですね。
鎌倉:空き家問題を解消するため、国や自治体もさまざまな施策を取り始めています。国は今年(2017年)の4月、空き家活用のための新たな法律を成立させました。
空き家や空き部屋のオーナーに物件を登録してもらい、高齢者や低所得者などに利用してもらおうというものです。
物件を登録するとオーナーは、国や自治体から家賃を最大で4万円、耐震改修の費用を最大で200万円、補助を受けることができます。
また、住宅金融支援機構は、去年の10月から、中古住宅を購入して、省エネ性や耐震性、バリアフリー性などを高める工事を行う場合は、従来よりも金利を大幅に下げるプランを始めています。
さらに、耐震性などで一定の基準を満たした中古住宅に、国がお墨付きを与える制度も検討され始めています。
「安心R住宅」と呼ばれるこの制度、空き家を含む中古住宅の市場を活性化させる狙いで、早ければ夏ごろにも登録が始まる見込みです。
国もさまざまな施策を取っているが、これで空き家の問題は歯止めがかかるのか?
榊原さん:そう、なかなか簡単にはいかないと思いますけれども、ただ、先ほどの住宅ローンもありましたが、これまでは割と、新築住宅を購入するという意味での住宅ローンというのはかなり充実していたわけですけれども、最近では、こういった形で中古住宅ですとか、リフォームに対するローンの商品も整備されてきたということは、評価に値するのかなというふうに見ております。
今、日本の空き家というのは、最新の2013年の調査で820万戸、全体の住宅に占める割合としては13.5%あるというふうに言われているわけですけれども、私どもの試算によりますと、2033年には、空き家の率というのは30%を超えるんじゃないかというふうに見ております。空き家率が30%ということは3軒に1軒ということですから、自分の家を中心に考えますと、両隣のうちのどちらかは空き家と、こういうような状況ですから、防犯面、それから防災面で見ても、非常に深刻な状況になってくる。こういった状況を何とかして避けなければいけないという危機感の表れかなというふうに見ております。
そうすると、ますます自分の家だけの問題じゃなくて、地域全体でどうしようと考えていかなきゃいけないということですね。
こうした空き家の問題、取材を進めていきますと、地方に残された空き家にも意外なニーズがあることが分かってきました。
空き家でかなえる “豊かな”生き方
東京から車で2時間。野山に囲まれた千葉県南房総市です。
都市への人口流出が進み、空き家率はおよそ24%。空き家問題は住民の悩みの種になってきました。
地元住民
「うちの脇のこっちの家は、草ぼうぼうでしょ。不安なんです、火の元が。」
ところが最近、この町の空き家を購入する人たちが現れ始めたといいます。平日は都会で働き、週末になると、田舎で地元の人たちとの触れ合いを楽しむ会社員など。新たな空き家解消法として注目される、「二地域居住」を選んだ人たちです。
葛飾区から 菅原祐二さん
「本宅は東京で、週末は(近くの)上総湊に。こっちの方がおもしろくなってしまって。」
世田谷区から 馬場未織さん
「地域の人とのつながりができてから、こんなふうに支え合って生きていく。実は、とても楽しくて。」
空き家を購入した1人、成田剛史さんです。
空き家を購入 成田剛史さん
「マンボウって、うまいかも。」
成田さんは、平日は都内で働くサラリーマン。憧れていた田舎暮らしの夢をかなえるため、築60年の空き家を購入しました。もともと雑草が生い茂り、住めるような状態ではありませんでしたが、その分、値段は格安。600坪の土地付きでも自分の年収を下回る安さに、すぐに購入を決めました。以来、家族で楽しみながら家の改修を重ね、土日は田舎暮らしを満喫しています。妻の由美子さんは、広い庭で愛犬と遊ぶのが何よりの楽しみ。大学生のもも香さんは、都会では体験できない畑仕事に没頭しています。
娘 もも香さん
「こっちだと、やることがいっぱいあるので、退屈にならない。こっちの方が好きです。できるなら朝から晩まで、こういう仕事をしていたい。」
そして成田さんは、大好きなバンドの世界にどっぷり浸かり、日頃のストレスを洗い流しています。
空き家を購入 成田剛史さん
「自分の中に2つの生活があるので、サラリーマンとしての生活と、自由に遊んでいる自分と。気持ちの切り替えもそうだし、人生観も、違う考え方ができる。」
空き家問題 新時代の活用法とは?
二地域居住で空き家の数は減りそうだが、1軒家を持つだけでも大変。
これは、現実的な解決策なのか?
榊原さん:借りるという選択肢もあると思いますし、東京のお家をもう少しコンパクトな家にするという選択肢もありますから、いろんな考え方を取っていけば可能なんじゃないかなというふうに思いますね。それから、こういう選択をする方を支援するような社会の仕組み作りというのも、併せて必要かなと思います。例えば、1つのアイデアですけれども、東京のお家と、それから地方のお家と、それぞれ住んだ日数に合わせて、例えば住民税も分割して払えるようにするとか、こういった二地域居住を助ける、サポートするような仕組みづくりというのも今後、考えていくべきかなというふうに考えますね。
空き家の問題は、都市への一極集中や地方の過疎化、あるいは少子高齢化といった日本が抱える大きな問題が背景にある。
空き家をさらに活用していくためには、心構えとして、どんなことが必要?
大島さん:核家族化が非常に進んだということが、今の空き家問題の根底にはあるわけですね。1つの家族が1軒の家を持つと。先ほど申し上げたように、建物というのは、家は社会的な存在なので、個人が自分の家の空き家の問題を解決するということをいったん忘れて、社会問題として、社会環境の変化に対して、どう住みこなしていくか、活用していくか、つまり、周りとの関係性も含めて、使いこなし方を考えるということが大事なんじゃないかと。例えば空き家がいっぱいあるのであれば、自分はここの家に住んで、近くにある家を使って、親を呼んで、近居という関係を成立させるとか、例えば働き方改革という話であれば、そこを仕事場で使ってとか、収益のモデルを考えながら、そこで生活を自立させていくとか、さまざまな周りとの関係性を含めて暮らし方を変えていくと。家を変えるんじゃなくて、暮らし方をもう一度デザインし直していくという暮らし全般。
榊原さんは、どう考える?
榊原さん:これまでは、30代で結婚して、子どもが生まれて、新築の家を買うというのが、割と一般的なパターンだったと思うんですけれども、ライフスタイルですとか、ライフステージですとか、こういったものが非常に多様化していますから、いろんな住まい方の選択ができるような環境を、例えば政策的な支援であったり、それから民間事業者の新しい商品とか、サービスであったり、そういったものが提供されてくるといいなと思いますけれども、やはり最後は国民といいますか、生活者1人1人が柔軟な発想で物事を考えていく意識改革が必要なんじゃないかなと思いますね。
空き家とはいえ、愛着がある、だけど持て余しているという皆さん。
自分にはいらなくなった空き家でも、地域にはそれを必要としている人たちがいるかもしれません。
空き家にも第二の人生を。一歩踏み出して考えてみてはいかがでしょうか。
The Princess' Man ~ If That Day Comes(eng/rom sub)
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