生きにくさを抱えた人びと(3) .....  #Xジェンダー

“男でも女でもない私” 語り始めた「Xジェンダー」

自分のことを男とも女とも思えない。または、男でも女でもあると思う。心の性が男にも女にもあてはまらない”Xジェンダー”と呼ばれる人たちがいます。LGBTの中でも、これまでほとんど知られることがなかったXジェンダー。当事者たちが自分たちの思いを語り始めました。

2017年4月17日

女にも違和感 男にも違和感女にも違和感 男にも違和感

満面の笑顔。

しかしこの時、自分が女性らしくふるまうことに生きづらさを感じていました。

この人は丸山真由子さん(33)。心の性別が女でも男でもない、Xジェンダーです。

現在の丸山さんです。

髪を短く切り、Xジェンダーの人たちが集まる交流会を始めました。

これまでの人生は男女という性別で分けられることへのつらさとの戦いだったと言います。


女の子になれなかった

女性の身体で生まれた丸山さん。取材に語ってくれたこれまでのエピソードです。

七五三の時。

口紅をつけて化粧をされることが嫌でたまらなかった。

小学生のころ、男の子ができるなら、自分も立って用を足すことができるはずだと考えて家のトイレで立って排尿してみたが、できなくて不思議だった。

社会人になると、周りから「女性ならば色気を出さなきゃ。キャバクラで働いてみなよ」と言われ、フルメイクで店で働いてみた。

すると、いくら見た目は完璧にしても、周りの女性と同じようにはなれないと感じ、息苦しく、どうきも激しくなった。

この頃、つらくてリストカットをしたこともある。


丸山さんは、幼い頃からこれまでを振り返り「『女性らしく』するのは義務だと思っていた。一生懸命、女性を演じていたにすぎなかった」と言います。


しかし、男でもない…

では、心が男性かというと、そうでもないのです。

思い出すと女の子が皆持っていた赤いランドセルは、嫌ではなかった。

毎月生理が来ると、心が女性に近くなると感じる。

そして、そもそも男性になりたいという思いもないのです。


Xジェンダーを知る

丸山さんは、一緒にいて安らぎを感じられたという男性と結婚。

しかし、妊娠を機に、性別への違和感を強く意識するようになります。

周囲から「妊娠して肌がきれいになった」と言われると、気持ち悪さを感じるようになったり、産後の授乳も、大きくなった胸が自分のものと思えず「胸に哺乳瓶がついているような」違和感を感じたり。


そうした心のモヤモヤが晴れたのは、インターネットで「心の性別ない」などと検索した時でした。

そこで出てきた「Xジェンダー」という言葉。

「心が男でもない、女でもない」人たちがいることを知り、自分もそうではないかと思い違和感の正体がはっきりしたというのです。


その時の気持ちを聞くと「Xジェンダーという言葉が自分を救ってくれた。これまで死にたいと考えたことも何度かあったが、生きていて良かったと感じた」と話していました。


カミングアウト そして

自分がXジェンダーとわかった丸山さん。

去年1月、信頼する夫に、「自分は女でも男でもない」とカミングアウトします。

離婚を覚悟していた丸山さんに夫は、「あなたらしくていいじゃない。ニュートラルなところがいいなと思って結婚したから」と言ってくれたそうです。


母親に真実を伝えたのもこのころでした。

最初は「一時の気の迷いよ」と言っていたそうですが、今は「男だから、女だからではなく、人間としてみんなが生きられたらいいね」と言ってくれるようになりました。

そして丸山さんは、Xジェンダーの当事者を集め、交流会を開くようになりました。


始まった交流会

先月の交流会に行くと丸山さんを含めて5人のXジェンダーの人が集まっていました。

いずれも体の性別は女性ですが、心の性別について聞くと「男女どちらでもない」「性別の概念自体が受け入れられない」といった答えが返ってきました。


本田さん(仮名・30代)は、「昔から自分が女性に見られるのが不思議だった。思春期の体の変化が嫌で、男性になりたいのかと考えた時期もあったが、想像するとそれも違和感がある。『Xジェンダー』が一番しっくりくる」といいます。


また、ユズキさん(仮名)は、「昔から性別の意識がなかった。自分は人と違うと思ったが、どう違うかはわからず、自信が持てないまま育った」と話していました。


集まった人たちに共通していたのは、「男」「女」に当てはめられること、さらに「その性別らしさ」を求められることに違和感や苦しさを感じ、それを人に言えないまま生きてきたことでした。


誰もが自分らしく生きられる社会を

今回、丸山さんは実名で写真を載せることも承諾して取材に応じてくれました。

その理由を尋ねると「これからは自分にも家族にも誠実でいたいし、自分を偽って生きたくない。そして、自分の存在を通じて『Xジェンダー』のことを知ってほしいから」と答えてくれました。


世間で「当たり前」とされていることから外れると、つらい目に遭うことも多いのがいまの社会です。

丸山さんもかつては周囲に求められるまま、「女性」として振る舞ってきました。

しかし今は、自分に正直に生き、次の世代のためにも社会を変えていかなければという強い思いがあります。


「性には多様性があり、男女2つにはわけられないことを知ってほしい。いずれは性別のカテゴリーがなくなるくらい、誰もが自分にとって自然な形で生きられるような社会になってほしい」。


世界的に性の多様化が容認される流れがあるが、ドイツでは出生証明書に“第3の性”として「不確定」の選択を導入することを決定した。


フェイスブックは、米国のユーザープロフィルの性別欄に選択肢を追加して、「男性(Male)」「女性(Female)」以外の性別も選択できるようになったと発表した。


インド最高裁判所は15日、男女以外に「第3の性」を認める判決を言い渡した。

さらに、性転換手術を受けなくても自分の性別は自分で決められるとした。


IS(インターセクシャル)

遺伝子、染色体、性腺、内性器、外性器などの一部または全てが非典型的であり、

身体的な性別を男性や女性として単純には分類できない状態


新生児2,000人に1人の出現率と言われるが、

女性内外生殖器と男性内外生殖器を共に具えて生まれてくる者は稀で、各個人によって様々な身体状態となる。


インターセックスの状態を持つ人々の大多数が、典型的な男性/女性としての性自認を持っており、ステレオタイプ的なラベリングは拒絶されることが多い



トランスジェンダー (TransGender)

性別を変更したり、変更したいと感じている者達の包括的総称。


トランスセクシュアル trans sexual(TS)

心と身体の性を一致させるために形成外科的(性転換)手術を望む人を指す。


TG (TransGender)

(狭義の意味では)公的書類上の性別や性別役割に違和感があり性別を変更して生活を送っているが、手術による身体性の変更は希望しない者


トランスベスタイト【transvestite】

生物的・社会的な性転換を伴わない外面的な異性装や異性装者。TV 。



※ MtFとFtM MtXとFtX

生物学的性別が女性で、性の自己意識が男性である事例を「FtM」(エフティーエム、Female-to-Male)、

生物学的性別が男性で、性の自己意識が女性である事例を「MtF」(エムティーエフ、Male-to-Female)


男性の体に生まれ、Xジェンダーの自己認識がある人を「MtX」、

女性の体に生まれ、Xジェンダーの認識がある人を「FtX」と呼ぶことがある


Xジェンダー

出生時に割り当てられた女性・男性の性別のいずれでもないという性別の立場をとる人々


中性というあり方、無性というあり方、両性というあり方、性別という枠組みから脱するというあり方、女性か男性か定まりきらない流動的であるというあり方など人により様々


Xジェンダーという言葉は、日本独自に使い始められた言葉



ジェンダー・ベンダー (GenderBender)

独自の解釈に基づきジェンダー規範を曲げて見せる者。

男でも女でもなく男でも女でもある、という意味で、「ジェンダー・ブレンダー(GenderBlender)」、「ジェンダー・ファッカー(GenderFucker)」とも言う。



◎その他

クエスチョニング(Questioning)

セクシュアリティやジェンダー・アイデンティティが良く分からない、分類できない、あえてカテゴライズする必要を感じないといったことから自称として使われることがある。



※混同されがちな 性自認と性的指向

性自認 -- 自分がどのような性別にあるのかという自己の認識

性指向 -- どのような人に恋愛や性欲が向くかという方向性


性的指向 (SexualOrientation)

異性を好きになること、同性を好きになること、男女どちらにも性的魅力を感じること、性別に関係なく好きになること、誰に対しても性的な欲求をあまり感じないことなど、

“どんな対象に性的な興味が向くか向かないか”を表わす言葉。

トランスジェンダーの場合同性愛か異性愛かは当事者の性自認に準拠して判断する。



※性的指向の分類

ノンケ/ヘテロ 異性にしか、恋愛感情又は性的欲求を抱かない人。異性愛者


同性愛者 同性に恋愛感情又は、性的欲求を抱く人。ゲイ レズビアン


バイセクシュアル (Bisexual)

異性と同性、または男性と女性の両方を恋愛や性愛の対象とすること。


パンセクシャル 男性、女性の性の分類に適合しない人々も含め、あらゆる人々に恋をしたり、性的願望を抱いたりする人 全性愛


Aセクシャル 他者に対して、恋愛感情又は性的欲求を抱かない人。無性愛者


ノンセクシュアル

非性愛者。性別、性的指向(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)にかかわらず、恋愛対象とする相手に性的欲求を抱かない状態、人のこと。



※性自認と性的指向は別物なので…

FtM 男性が好きだという人も少なくない(FtMゲイ)。

MtF 女性を好きになる人もいる(MtFビアン)。


Xジェンダーとは?|Xジェンダー憩いの場(FTXとMTXのためのネット交流グループ)

Xジェンダーとは「男女典型的な性別に当てはまらないアイデンティティを持つ人達」のことを指す日本独自の言葉です。トランスジェンダーという「生まれた時の性別と反対の性別で生きようとする人々」を指す言葉は、欧米から日本にも伝わっていました。しかし「男女どちらでもない性別で生きようとする人々」を指す言葉は日本には無かったため、日本独自の言葉として「Xジェンダー」という用語が当事者の間で使われ始めました。英語圏ではXジェンダーに対応する言葉としてgenderqueer(ジェンダークィア、既存の男女とは異なるアイデンティティを持つ人々)、bigender(バイジェンダー、男女両性のアイデンティティを持つ人々)、agender(アジェンダー、自分には性別はないとする人々)などの単語があります。あくまでXジェンダーは精神的なアイデンティティを表す言葉です。多くのXジェンダーの当事者は身体的には一般の男性・女性と変わりありません。一口に「男女典型的な性別に当てはまらないアイデンティティを持つ人達」と言っても色々な人がいます。たとえば、様々です。中には「身体とは反対の性別に近い感覚だけれど、完全に身体と正反対の性別とは言い切れない」と言うかなりトランスジェンダーに近いタイプの人や、「性自認(自分はこの性別だという自覚)が短期間で様々に変わる(不定性)」と言う人もいます。中には、医療機関で性同一性障害の診断を受けた後、ホルモン療法などを受け、社会的には元々の生まれた時の性別とは反対の性別の人間として生活している人もいます。そうした場合も本人の自覚する性別が男女どちら共異なっていればXジェンダーです。上記の通りXジェンダーの人々には「男女典型的な性別に当てはまらない」という共通点はあっても、その実態は多様です。そのため、Xジェンダーの人同士で自己紹介をする場合は「Xジェンダーの両性です」などと、自分の大まかな属性が分かる言葉を付ける事があります。また「身体の性別 to Xジェンダー」の略して、と表現することもあります(このtoには「身体の性別を越える」と言う意味があります。元々トランスジェンダーの当事者をMale to Female(MTF、男性から女性へ)、Female to Male(女性から男性へ)と表現していたのを借用した言い方です)。性同一性障害や性別違和症候群(ジェンダーディス

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