酒類広告規制の動きも... #アルコール健康障害対策基本法

4月1日、厚労省に「 #アルコール健康障害対策推進室 」という部署が新設された。国際的に広がるアルコール規制を日本でも推進するためだ。

各国の酒害対策の例として「酒の安売り禁止」「飲み放題禁止」などがある。

タバコ規制と並んでアルコール規制は世界的な流れ。喫煙禁止の動きが急速に強まったのは、2003年のWHO(国際保健機関)総会で採択された「 #たばこ規制枠組条約」がきっかけだったが、アルコールについてもWHOは「世界で毎年約330万人が死亡している」として2010年に「アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略」を採択した。


その中で各国が取り組む酒害対策の例として

「酒の安売り禁止」

「飲食店での飲み放題禁止」

「酒類の広告規制」などをあげ、

酒の値段の引き上げ(酒税の税率アップ)、

公共の場所での販売規制などが推奨されている。


すでに世界では欧米はじめ、シンガポール、インド、タイなどアジア諸国にも規制の動きが急速に広がっている。

日本も2013年に「#アルコール健康障害対策基本法」を制定し、アルコール健康障害対策基本計画をまとめた。

これは依存症対策などが中心だが、政府はそれに関連して昨年5月に改正酒税法を成立させ、ディスカウント店などの酒の「過剰な安売り」の規制に乗り出した。

広告を規制し、高い税率を課して価格を大幅にあげ、段階的に販売を規制していこうというのはまさにタバコ規制と同じやり方だ。 


花見の名所やビーチで酒禁止 自販機も20年で9割減

DATE:2017.04.23

今年の花見シーズン、東京の桜の名所の一つ、靖国神社に異変が起きた。例年なら境内の桜並木の奥にズラリと並び、花見客に酒やおでん、焼き鳥を出す露店群が姿を消したのだ。

 靖国神社は戦後70年近く続いてきた名物の200を超える露店の出店を一昨年7月の「みたままつり」で初めて中止し、「境内での宴会」を禁止したが、今年の花見(さくらまつり)でも露店・宴会禁止の方針を取ったのである。

 若者のマナーの悪さや騒音などが問題になっていたという。靖国神社はHPで「外苑の整備工事のため」と説明するが、露店中止が厚労省の推し進めるアルコール規制の流れに沿った判断だとすれば、期待していた花見客には残念なことだ。

 都内の花見の名所では、もともとアルコール持ち込み禁止の「新宿御苑」でも規制が強化されている。

「平成23年からは花見シーズンに持ち物検査を実施しています。テロ対策ではなく、お酒を隠して持ち込むのをチェックするためです」(管理事務所)

 自治体の条例で公共の場での飲酒規制が広がってきたのが海水浴場(ビーチ)だ。

 逗子市議会は2014年に条例を定めて若者で賑わう逗子海水浴場での飲酒を禁止(海の家の中では飲酒可能)。鎌倉市の条例はさらに厳しく、市内3つの海水浴場での飲酒禁止に加え、海の家でも、「アルコール度数の高い酒の提供禁止」を盛り込んでいる。

 関西でも神戸市は須磨海水浴場の海の家でのテキーラ、ウォッカの提供と客による持ち込みも禁じた。

「昨年、テキーラやウォッカを飲んで泥酔して救急車で搬送される事故が多かったことから、海の家の使用許可の条件を厳しくした。客が店に持ち込んだ場合も、海の家が5日間の営業停止になります」(同市海岸防災課)

 ビールなど酒類の自動販売機も全国の街角から次々に姿を消していった。業界団体が「未成年飲酒」を防ぐために自販機撤廃を決議し、1996年の約19万台から現在は約1万8000台と10分の1に。残っている自販機も8割は免許証など年齢確認が必要な改良型に変わった。

 酒を販売する側への規制も厳しくなる。国税庁酒税課はこう説明する。

「今年6月から酒類販売管理者に『研修』を受けさせねばならないことを法律で規定しました(『酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律』の改正)。これに反したらペナルティもあり、最悪で免許停止処分もあり得ます。未成年対策が主な目的ですが、それだけでなく、飲酒運転や依存症、そして健康も意識して改正したものです」



ビールCMのゴクゴク音、喉元アップは規制へ 「アルコール依存症の人に苦痛を与える」

有名俳優が海の見える縁側でビールをゴクゴク飲み干す──ビール党にはたまらないそんな“定番”のテレビCMを最近見なくなった。

アルコールの広告規制が静かに進んでいるからだ。

日本酒造組合中央会、ビール酒造組合など業界9団体でつくる「飲酒に関する連絡協議会」が昨年7月、広告の自主基準を強化し、〈テレビ広告で喉元を通る「ゴクゴク」等の効果音は使用しない〉〈お酒を飲むシーンについて喉元アップの描写はしない〉という規制を設けた。

自主規制といっても、内閣府のアルコール健康障害対策関係者会議ワーキンググループの会議で「アルコール依存症の人に苦痛を与える」といった指摘がなされ、業界がその指導に従ったものだ。

さらにこの時の規制では、酒のCM出演者の年齢も引き上げられた。

かつてタレントが20歳になってアルコール飲料のCMに起用されるのはステータスだった。

「20歳になったばかりで、初めてのお酒のCMで楽しみにしています」

2009年にサントリーのCMに初起用された堀北真希は記者会見でそう喜んだ。

しかし、新基準ではそれまでの「未成年を使わない」から「25歳未満を使わない」に引き上げられた。

これも「若いタレントのCMは未成年者にも飲酒への関心を高めている」との内閣府会議の指摘を受けたものだ。 


自殺者のうち1/3がアルコール依存気味働き盛り男性と医師指摘

2013.06.11

アルコール依存症患者はその予備軍(プレ・アルコホリック)を含めると約400万人と推計されているが、専門機関で治療を受けている人は4万人と少ない。

 厚生労働省の調査では、お酒の飲みすぎによる事故やがん・脳卒中など病気の治療費、仕事の効率の低下や人間関係の破綻などを含めた損失は約4兆円と推計されている。

この状況を打開するため、アルコール健康障害対策基本法成立に向けた機運が高まっている。さらに様々な研究も始まっている。


成増厚生病院・東京アルコール医療総合センターの垣渕洋一センター長に話を聞いた。

「アルコール依存症による問題の1つが自殺との関係です。アルコールの大量摂取によって、うつ病を発症させることがわかっており、実際、依存症患者の約40%はうつ状態です。年間3万人といわれる自殺者のうち、以前は依存症が約5%といわれていましたが、大規模調査により3分の1がアルコール依存気味の働き盛りの男性であることがわかってきました」


アルコール依存症は、ICD10国際疾病分類に基づいて診断する。


■ICD10による診断基準(アルコール・薬物関連障害の診断・治療ガイドラインを一部改変)

【A】飲酒したいという強烈な欲求(病的飲酒欲求)
【B】摂取量のコントロール障害(抑制喪失)
【C】禁断症状(いらいら・不眠・手の震えなど)
【D】摂取量が増える。耐性の増大
【E】飲酒以外の楽しみがなくなる。飲酒に一日の大部分の時間を消費する
【F】精神的・身体的問題がある有害な状況なのに断酒しない


※上記のA~Fの6項目のうち同時期に3つ以上あてはまると依存症と診断される


 過去1年間のある期間、6項目のうち3つ以上当てはまると依存症と診断される。

依存症になると、手の震えやイライラなどの禁断症状や肝臓障害など身体的障害、仕事や家庭の不和や喪失、経済的困窮や飲酒運転などの法律問題、最後は生きる目的を失うダメージに襲われる。



アルコール依存症防止 一人家飲みならビール500缶1本目安に

日本人で治療が必要なアルコール依存症患者は80万人いると推計されている(厚生労働省)が、同調査によると女性と高齢者の患者数が増えているという。


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