#老人ホームを選ぶポイントは!? 【 #老人施設選択基準 #無届けホーム 】

老人ホーム(高齢者向け施設)といっても、様々な事業形態がある。

ご高齢者のADL状況や希望、保証人たるご家族の事情、月々の経費等・・・比較しようとすると検討すべき条件は個々に異なり、なかなか難しい。

ただ最近、ケアスタッフの職員らによる入所者への虐待や暴行などの事件が相次ぐ中で、入所希望者は、入所後の「安全・安心な自分らしい生活」を送る上で、どのような点に気を付けてホーム・高齢者向け施設を選べばいいか?  簡単におさらいしたい。

施設選び、気を付けるべきポイントは?

入所前の見学は45分以上…専門家が教える鉄則12カ条

「有料老人ホーム入居支援センター」代表理事の上岡榮信氏は、入所前の見学は必須だが、45分以下の施設はやめた方がいいとする。「入所者に対する理念や思いの説明があれば45分以上はかかる。省略して料金の話をするところは終の棲家になりえない」と指摘する。

携帯電話の持ち込み制限など、注意すべき5つのポイント

介護・医療ジャーナリストの長岡美代氏は、老人ホームを選ぶ際に注意すべき5つのポイントを挙げている。

(1)開設から時間がたつのに空室が目立つ

(2)系列サービスでないと利用できない

(3)サービスの種類や回数が一律に決められている

(4)月額料金が相場よりもかなり安い

(5)外出や携帯電話の持ち込みに制限がある


劣悪な施設を見分けるには…職員の表情、配膳をチェック

NPO法人「Uビジョン研究所」の本間郁子理事長は、職員が笑顔かどうか、配膳がぞんざいでないかなどに注目するという。

▼見学時はここをチェック

(1)職員の表情…入居者に笑顔で接しているか

(2)食事介護の仕方…食器などをぞんざいに置いていないか

(3)職員の目線…目を合わせて向き合っているか

(4)ナースコール…手の届く位置に設置されているか

(5)におい・清掃の状況…トイレやテーブルの布巾が不潔ではないか


家族会の定期開催など「外部の目」が虐待抑止に

NPO法人シニアライフ情報センターの池田敏史子代表理事は、判断基準の一つに「透明性」を挙げる。

地域住民にも開放されている、家族会の定期開催がある、などが目安になるとし、「『外部の目』が多ければ、虐待の抑止につながりやすい」と説明する。


「入所者の苦情を受ける態勢を整えていること」も重要

公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」の五十嵐さち子相談室長は、施設側が入所者の苦情を受ける態勢を整えていることが重要だと指摘する。

入所者と運営者の懇談会や、意見や要望を受け付ける箱の設置状況などがポイントという。


ネットで従業員の「退職者数」「経験年数」を調べる

元国民生活センター調査室長の木間昭子さんは、介護保険法に基づいてネット上で公表されている「介護サービス情報公表システム」の活用を勧める。

気になる施設があれば、介護職員に関する項目のうち「退職者数」「経験年数」などを見ておきたい。

入居率や運営会社にも注意

大手損害保険会社など、異業種から介護事業への本格参入が相次いでいます。

老人ホームの運営会社がかわると、入居者にも影響はあるのでしょうか。


有料老人ホームは、運営会社の経営が傾いても、事業の引き受け手が現れれば入居者が追い出されることはありません。

2009年に解散した介護大手のコムスンのことを覚えている方は多いと思います。

不正で厚生労働省の処分を受けて経営危機に陥りましたが、約3カ月かけて引き受け手が決まりました。


 今回、川崎市の老人ホームなどで問題が発覚したメッセージ(岡山市)は、「アミーユ」などのブランドで有料老人ホームを全国的に展開し、ジャスダックに上場していましたが、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(HD)の子会社になりました。

損保ジャパン日本興亜HDは昨年12月に、居酒屋チェーン大手ワタミの介護事業子会社も買収しており、介護事業のグループ売上高でベネッセHDを抜き、首位のニチイ学館に次ぐ第2位になりました。


 介護保険が始まって16年が経ち、異業種からの参入が相次いでいます。

老人ホームをゼロから始めるのは大変です。

職員を集めなければならないし、老人ホームを造ってもすぐには満室になりません。

その点、すでに運営が軌道に乗っている老人ホームをそのまま買い取れば、参入企業にとっては効率的です。


 横浜市のある老人ホームの場合、少なくても運営会社が4回かわっています。

最初は10年ほど前、事業に成功したIT企業が新規事業として始めましたが入居者が集まらず、米国資本に売り渡しました。

しかし、1年もたずに撤退し、3社目は経営破綻(はたん)して、これを引き継いだ4社目から昨年12月、大手の手に渡りました。

 このように、運営会社の間で転々とすることは珍しくありません。

有料老人ホームは単なる賃貸物件ではなく、入居者が使う介護保険のサービスでも収益が上がります。

入居者あっての事業なので、入居者がないがしろにされることは基本的にありません。


 ただ、心配なのは入居率が低い施設です。

長野県で14年に有料老人ホームを運営する会社が民事再生法の適用を申請し、経営破綻しました。

入居者が少ない状態が続き、立ちゆかなくなったということです。

入居率が低い有料老人ホームは次の引き受け手が現れない結果になることがあります。

そういう経営が苦しい会社は、入居時に預けた一時金もすべては戻らないおそれもあります。

 最近は、多額の投資をして建物を造っても、介護職員を集めることができずに、オープンを延期したり、オープンしても一部だったりする施設もあります。

そうなると、とたんに経営は厳しくなります。

老人ホームを選ぶ時には、計画通りに入居者を集めることができているか、職員が足りているかにも注意する必要があるのです


 また、最近増えているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも、昨年秋、三重県で運営会社が突然廃業し、入居者が転居する事態になりました。

11年に制度ができたサ高住は建設に補助金が出るなどの優遇があって急増していますが、入居者確保が追いついていない面があります。

入居状況や運営会社の経営状態は確認が必要です。

2025年に相次ぎ倒産も…「つぶれない老人ホーム」の見分け方

【1】最初に“重説”を確認!入居率80%が合格の目安

「有料老人ホームには、必ず重要事項説明書(以下・重説)があります。

これは入居をする、しないにかかわらずもらえるものですが、まずは入居率を見ましょう。

施設の資金繰りが良好だという目安は入居率80%

しかし、オープンしたばかりで入居者が少ない施設は判断するのは難しい。

チェーン展開している場合は、他施設の入居率を調べること。

たとえば5施設あって、どれも入居率50%程度であれば、かなり経営は厳しいと見ていいでしょう」(山中さん)

 

【2】介護職員の離職率が高い施設は要注意!

「“重説”には離職率も明記されています。

施設によって大きく違いが出る数字で、なかには50%という高い離職率の施設もあります。

当然、介護内容を心配していいでしょう」(山中さん)

 

【3】親身になってくれる仲介業者かどうか見極める

「業者は仲介料10万円の良質なホームよりも、多少質は落ちても、仲介料30万円のホームを紹介するもの。

利用者の条件に合えば、提携していない施設も候補に挙げる業者は信頼できると思います」(満田さん)

 

【4】財務状況を開示しない施設はまず疑え!

「賃借対照表や損益計算書など、運営会社の財務諸表を見せてもらうこともポイント。

経理の知識がなくても、情報開示に務めているかの判断材料になります。

私の経験上、優良といわれる施設は、財務諸表のコピーをくれるケースが多かったです」(山中さん)

 

【5】“24時間常駐”など広告にウソがないか!

「東京都が4年ほど前に調査したところ、施設のホームページで書かれている内容が“現実と乖離している”と判断されたケースは約50%、パンフレットの場合は約30%にものぼりました。

もっとも多い“ウソ”は、職員の配置。

『24時間、看護職員が常駐』とあるのに、ゼロというケースも散見されます」(山中さん)

 

【6】施設見学では入居者や職員の“顔”を見る!

「施設に入った瞬間、排泄臭がするようなら、その場で帰っていいくらいです。

次には人を見てください。

入居者が部屋にこもりきりになっていないか、共有スペースは穏やかな雰囲気か。

また職員が切羽詰まった顔でバタバタと走り回っているような雰囲気は問題です。

人員に余裕のない施設は殺伐としていて、見学に来た人に挨拶すらできない。

人員不足でサービスが低下すれば入居率も低下。やがて経営悪化にもつながります」(山中さん)

 

【7】“格安”の無届けホームに期待してはいけない

「無届けホームに関しては行政の目が行き届いておらず、虐待や火災などが発覚しない限り警察も踏み込めません。

実際、関西のあるホーム(借上げアパート)は、全室郵便受けが目張りされて、徘徊防止に外から鍵がかけられていました。

倒産という事態になれば、どこまで責任を持って次の受け入れ先を探してくれるのか、不安が残ります」(山中さん)

見学施設の絞り込みに…高齢者向け住宅検索サイト

高齢者向け住宅の検索サイトは100種類ほどあり、主要なものは、住所から近隣の施設を表示するだけでなく、予算や身体の状態などを入力すると条件に合う施設を選ぶことができる。

入居者の平均年齢や夜間の職員配置などの細かな情報に加え、利用したいサービスに応じた月々の支払額を見積もる機能を備えたものもある。

「HOME’S介護」

http://kaigo.homes.co.jp/

「みんなの介護」

http://www.minnanokaigo.com/search/

「介護サービス情報公表システム」

http://www.kaigokensaku.jp/

行き場を失う高齢者増加で注目を集める

「無届けホーム」

DATE:2016.10.05 11:00 NEWSポストセブン

入りたくても順番待ちで入れない特別養護老人ホーム、高額すぎて手が出ない有料老人ホーム──行き場を失う高齢者は増え続けている。

厚労省の推計では、2030年には看取りケアを受けられない「死に場所難民」が47万人にまで膨れ上がるとされる。

そんななか、注目されているのが「無届けホーム」という存在だ。


 東京都世田谷区の閑静な住宅街にある木造平屋の一軒家。

入居者用の個室が一つに、2人部屋が3つ、共用スペースとなるリビングにはテレビが置かれている。


一般住宅を改築した建物だが、ここで要介護の高齢者6人がケアを受けながら生活している。

 

施設を訪ねて呼び鈴を押し、引き戸から中に入ると、笑顔で出迎えたのは80代と思しき女性だった。

女性は要介護2。認知症を患っており、5分前のことも忘れてしまうという。

ただ「楽しそうですね」と声をかけると「毎日楽しいですよ」と笑顔で話す。

利用者6人全員が揃って食事をする際には、スタッフ2人が順番に声掛けをしながら食事介助にあたる。


 施設の名前は「はまさんの家」。


現在のところ自治体から有料老人ホームとしての認可を受けていない、いわゆる「無届けホーム」に分類される。

介護施設情報専門のフリーペーパー『あいらいふ』編集長・佐藤恒伯氏が説明する。

「老人福祉法では、高齢者を入居させ、食事などを提供する事業が有料老人ホームにあたると規定し、事業者には自治体への届け出を義務づけています。また、有料老人ホームはスプリンクラーの設置や部屋の広さなどの基準を満たすことを求められます。そうしたなかで届け出を出していない施設が、無届けホームです」


 厚労省の調査によれば、今年1月末時点で自治体が把握している無届けホームの数は全国に1650施設。

2009年の調査からの6年間で4.2倍に膨らんだ。

総務省行政評価局も独自調査を行ない、厚労省が把握していない無届けホームを新たに97施設発見したと発表(9月16日)した。

 東京都内の無届けホームの状況を調査し一覧表にまとめている、東京都福祉保健局高齢社会対策部の担当者は「区市町村と協力して現地調査を行ない、届け出がされていないのにその営業形態が有料老人ホームに該当すると確認された施設については、届け出をするように指導しています」と話す。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号

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