24時間託児所...

働く親たちが安心して子どもを預けられる託児所。

保育所とともに各地で整備が進められていますが、佐賀市にはNPOが運営し、1時間300円の破格の料金で、24時間受け入れている託児所があります。

設立のきっかけは、子どもを預ける場所が見つからず思うように働くことができなかったある女性の思い。その思いに共感する人が集まり、取り組みは広がり始めています。

24時間託児所

JR佐賀駅から車でおよそ5分の佐賀市内の一軒家。

中に入ると、走り回ったり泣き叫んだりする幼い子どもたちの元気な声が響きます。

ここは、佐賀市のNPOが運営する託児所です。

0歳から中学生まで、24時間365日子どもたちを預かっています。

1時間の利用料金は300円と同じような施設と比べ、破格の料金です。

佐賀市内では、夜間子どもを預かってくれる施設はほとんどなく、ベビーシッターなどを頼むと高額です。

このため、早朝や夜間に勤務のある親、周囲に頼る人のいない親など、利用を希望する人たちは後をたちません。

夜間、取材に行くと飲食業で働いている女性が、ちょうど子どもを預けに来ていました。

「実家も遠く、周囲に頼れる人もいない中、急なお願いにも対応してもらえるこの託児所があるからこそ働ける」と話していました。

たびたび利用しているためか、仕事に向かう母親に笑顔で手を振る男の子の表情が、強く印象に残りました。


働く親の力になりたい

この託児所を開設したのは、佐賀市のNPOの代表、秋山広子さんです。

きっかけは、自身のつらい体験でした。

5歳と3歳の子どもを連れて、7年前ふるさとの佐賀に戻ってきた秋山さんは、ひとりで子どもを育てていくために、以前から勤めていた保険会社の営業を続けました。

夜、客先を回ることもあり子どもを預ける場所を探しましたが、ほとんどの施設は急なお願いに応じてもらえず、預かってもらえたとしても1日の保育料が数万円というところもありました。

ある時はやむをえず、2人の子どもを車に乗せたまま「数分で帰ってくるから絶対に車の鍵は開けないように」と言い聞かせて、客先に向かった秋山さん。

話が長引いてしまい、車に戻ったときに、大泣きしている2人の子どもを見て、子どもたちに負担を強いるようではだめだと感じたといいます。

同時に、自分のような状況に置かれた親はほかにも必ずいる、そうした人たちが安心して働ける環境を整える必要があると強く思いました。

5年前、母親の典子さんに相談して、実家の1室を借り、夜間保育をスタート。

飲食店を経営していた典子さんも、従業員の女性たちが子どもを預けられず困っている様子を目の当たりにしていたため、積極的に協力しました。

最初は、ボランティア同然で、典子さんの店の従業員の子どもが中心でしたが、口コミで広がって、利用を希望する人が増えたため、1年後にはNPOを設立。

1軒家を借りて、本格的に託児所を始めました。


利用料は300円!

1時間あたりの利用料は300円。

安心して子どもを預け、気兼ねなく働いてほしいという、秋山さんの強い意志の表れです。

利用料金でまかなえるのは経費の90%ほどで、足りない分はNPOの会費やイベントを開くなどして資金を集め、何とかやりくりしています。

さらに、秋山さんの情熱に共感し、子育て中の母親たちがスタッフとなって支えてくれているのです。

託児所では母親など13人をスタッフとして雇用しています。

半数は保育士の資格を持ち、昼間と夜間、それぞれシフトを組んで、国の基準に沿って運営しています。

スタッフの1人、大坪里美さんも10歳と6歳の子どもを育てている母親です。

大坪さん自身、急な用事などで外出しなければならなくなったときに、子どもを預ける先がなく、この託児所を頼っている利用者の1人です。

運営を手伝う中で、途方にくれて相談に来る親たちと接するたびに、こうした施設の必要性を強く感じているといいます。

施設では、可能なかぎり子どもを受け入れるよう努力してきましたが、それでも1度に預かれる子どもは最大で13人。断らざるを得ない状況もありました。


そこで、秋山さんは、昨年度から始まった国の「#企業主導型保育事業」を活用して、受け入れ態勢の充実を図りました。

一定の条件を満たした企業やNPOなどが整備・運営する認可外の保育施設の運営費などを「認可保育所」と同じ水準で補助するものです。

秋山さんは、今月から施設を別の場所に移し、40人ほどの子どもたちを受け入れています。

新しい施設では、通常の保育だけで無く、病児保育や育児に悩む親たちの相談に乗る場を設けるなど、地域の交流の拠点にしたいと考えています。


親たちの声が力に

睡眠時間を削って、施設の運営に没頭する秋山さん。

これまで、やめたいと思ったことはないといいます。

利用した親たちから相次いで寄せられる手紙には、「困っているときにすぐに受け入れてくれて本当に助かった」「この託児所で子どもがのびのび過ごしていて、仕事を頑張ろう!と励みになった」などと感謝の言葉がつづられています。

秋山さんはそうした手紙を目にするたびに、もっとがんばろうという力になっていると話していました。

都市部を中心に深刻化する待機児童の問題はもとより、誰もが希望を持って働ける社会を目指すために、安心して子どもを産み育てられる環境整備は欠かせません。

こうした施設を各地に展開しようとした場合、決してハードルは低くないと思います。

それでも、秋山さんのような情熱を持った人は、各地に少なからずいるはずで、その取り組みをどう支援し広げていくか。

行政も含めて、真剣に検討する必要があると感じました。



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