介護保険の生活支援サービス縮小留まった!! 【 #軽度者向け生活援助サービス見直し #福祉用具貸与 】
3年に1度の介護保険制度の見直しで、サービスを縮小させる議論が 7月20日、本格的に始まった。
「介護の必要性が低い」とあるが、必要性、低い、・・・ 意味を取り違えているようだ。
介護支援する側の困難性、家族等の負担も考慮しないと在宅介護を持続させていくことは難しい、と考える。
ともあれ、
軽度者向けの生活援助や福祉用具の貸与を保険の対象外とするかが、いよいよ焦点になる。
来年の通常国会で法改正が予定されており、年末に結論を出すというスケジュールだ。
この日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会。
さっそくサービス縮小の議論に火がついた。
「社会保障の持続可能性確保の観点から、要介護3以上にサービスを重点化していくことを考えざるを得ない」
日本経済団体連合会常務理事の井上隆委員がこう訴えた。
健康保険組合連合会副会長の佐野雅宏委員も福祉用具貸与の費用について「毎年200億円程度増えていることは重く捉えるべきだ」と述べ、高額な請求は抑えるよう求めた。
2000年度に始まった介護保険にかかる費用は高齢者の増加で年々増え続け、14年度に10兆円を突破。
25年度には倍増すると試算されており、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は要介護1、2の人向けの生活援助サービスと福祉用具貸与を原則自己負担とする案を出している。
2016.11.26 = 社保審・介護保険部会 =
「福祉用具外し」は見送り 高額レンタル防止へ貸与価格に上限を設定 厚労省方針
訪問介護の生活援助について、「本当に重度化予防につながっているのか、との指摘がある」と問題提起。
一方、部会では反対意見も相次いだ。
民間介護事業推進委員会代表委員の馬袋秀男委員は「軽度者に(生活援助)サービスを提供し自立し続けてもらうことで、結果的に給付の抑制につながる」と主張した。
要介護より軽い「要支援」向けの訪問介護と通所介護は15年度から介護保険の対象から、市区町村事業への移行が始まったばかり。
高松市長で全国市長会介護保険対策特別委員会委員長の大西秀人委員は「どの自治体も四苦八苦している。新たな給付の見直しは、とてもじゃないが、対応しかねる」と不満を漏らした。
■利用者反発「自立妨げられる」
サービス縮小の議論に、利用者側に不安が広がる。
東京都内で一人暮らしをする会社員の宇田川温子さん(45)は関節リウマチで要介護1。
ホームヘルパーに週2回、身体介助や洗濯といった生活援助を頼んでいる。
障害福祉サービスで負担はゼロだったのに、40歳から介護保険の対象となり費用の1割が自己負担になった。
さらに負担が増えるなら「一人で生きていくため、少しでもお金はためておきたいのに打撃」と話す。
渋谷区の村上ハル子さん(93)は、福祉用具の手すりや車いすなどを使いながらアパートで一人暮らしを続けてきた。
娘の荒木憲子さん(69)は「母が自立して過ごせているのは福祉用具のおかげ。
使えなくなったら寝たきりになってしまう」と訴える。
全国の福祉用具レンタル事業者がつくる「日本福祉用具供給協会」は、サービス縮小に反対するケアマネジャー約5万4千人分の署名を集め、19日に厚労省へ報告書を提出した。
軽度者介護保険サービス 「生活援助」維持の方向
2016年10月7日 朝刊
厚生労働省は六日、介護保険制度の見直し案のうち、介護の必要度が低い要介護1、2の人向けの訪問介護である「生活援助」サービスの見直しを見送る方向で検討に入った。介護保険サービスから外し自治体の事業へ移行させることを検討しているが、介護現場の負担を考慮した。 (鈴木穣)
生活援助は、自宅で生活する高齢者にヘルパーが調理や買い物、掃除などの訪問介護サービスを提供する。現在は、利用料の一割(一定所得のある人は二割)を利用者が負担、残りは介護保険から支出している。軽度の人の利用が多く「ヘルパーを家政婦のように使っている」との指摘もある。
厚労省は、生活援助について保険給付から外し自治体の事業に移すことを検討してきた。地域の実情に合ったサービスを提供するとの理由だが、支援体制が整わない自治体によってはサービス縮小も懸念されている。政府は高齢化に合わせて介護保険の財政支出の抑制を進める方針。自治体への事業移行は費用抑制の狙いもある。
介護保険は要支援1、2と要介護1から5までの七段階。現在、要介護1より状態が軽い要支援の訪問・通所介護を介護保険の給付対象から外し、二〇一七年度まで三年をかけ自治体の事業に移行させている。これに続き、要介護1、2の人の生活援助サービスを移行させれば、自治体や介護現場に負担がかかるため、移行の実態を見極める必要があると判断した。
検討を続ける社会保障審議会介護保険部会でも委員から「時期尚早だ」「家庭に入ってのケアは専門性も必要。(保険外しは)後々重度化や命に関わる」などの声が上がっていた。事業者の報酬引き下げなどで介護費用を抑えることも検討する。
財務省は、軽度の人の自己負担増も求めており、年内に結論をまとめる。見直し議論では、福祉用具レンタル支援の自己負担引き上げ、一定所得のある人の自己負担二割の拡大、保険料支払い開始年齢の「四十歳」からの引き下げなども検討している。
<介護保険の生活援助> 訪問介護サービスの一つで、掃除や調理、洗濯、買い物などをする。入浴や食事の介助、おむつ交換など利用者に直接触れる「身体介護」と区別した類型。45分以上の生活援助の場合、事業者に支払われる報酬は約2500円で、利用者の負担はその1~2割。「要介護1、2」で訪問介護を利用している人の半数程度は生活援助が中心だ。より軽度の「要支援1、2」の訪問介護は介護保険から切り離され、2015~17年度の間に市区町村事業へ移行することになっている。
<新介護>軽度向け事業所半減 報酬減で採算懸念
毎日新聞 10月1日(土)21時50分配信
軽度(要支援1、2)の介護保険利用者に対する訪問介護とデイサービスで、低報酬にした新方式の介護サービスに参入する事業所数が、従来の報酬でサービス提供していた事業所の5割未満にとどまることが、毎日新聞による全国157自治体調査でわかった。
新方式は事業所への報酬を下げるのが原則で、それまでサービスを提供していた事業所が「採算がとれない」と参入を見送っている。
今後は要介護1と2の訪問介護も低報酬の新方式となる可能性が高く、軽度の人たちが受け皿不足で必要なサービスを受けられない事態が懸念される。
軽度者向けの訪問介護(掃除や炊事などの生活援助)とデイサービスは、全国一律の基準だったが、2017年4月までに各自治体が実施主体となる方式に替わる。
社会保障費を抑えるため、国は報酬を従来以下にする新方式を設けた。
すでに低報酬型の基準を決めた市など157の先行自治体に聞いたところ、報酬は平均して2割減に設定されていた。
手を挙げた事業所は訪問介護で50%弱、デイサービスでわずか30%弱だった。
低報酬の新方式について事業所側は「ビジネスが成り立たない」と渋る。
担い手確保のため国は無資格の人でも働けるようにしたが、従来のヘルパーのようなきめ細かい支援が受けられない高齢者もいる。
これまでとほぼ同じ報酬のサービスも残ってはいるが、国が支出抑制の方針を示しているため、実施主体の自治体が今後維持できなくなる可能性が強い。
厚生労働省の審議会は現在、要支援より介護度の高い要介護1と2の生活援助見直しについて議論している。
原則利用者の自己負担となるか、低報酬の新方式に切り替えられる可能性が高い。【稲田佳代、斎藤義彦】
■介護保険見直しの焦点
【サービス縮小】
・軽度者への訪問介護のうち、掃除や調理などの生活援助サービスを保険対象から外す
・軽度者に対する歩行器といった福祉用具の貸与や手すりの取り付けといった住宅改修を保険対象から外す
【負担増】
・自己負担割合が2割の人の対象を拡大
・自己負担が高額になった場合、一部が払い戻される「高額介護サービス費」制度の上限額を引き上げ
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