「#こども保険」提言!!! 25~39歳女性人口が2000年約1300万人から2030年に約800万人に...
このままでは、日本は少子化で滅ぶ。
2060年の人口は現在より3割少ない8674万人。
うち4割が65歳以上の超少子高齢化が予想される中、対策として、小泉進次郎氏ら自民若手が提言した「こども保険」に注目集まる。
2017/5/9(火)
仕組みはこうだ。
年金、医療、介護などの社会保険に、新たに「こども保険」を加える!!!
社会保険料率に、まずは0.1%上乗せして3400億円の財源を確保。
幼児教育・保育の負担軽減や待機児童ゼロの対策に利用する。
上乗せ幅を段階的に0.5%まで拡大すれば、幼児教育・保育の実質無償化も実現するという。
子育て支援の拡充で少子化に歯止めをかける狙いがある。
注目を集めているのは、社会保険を使って社会全体でこどもを支援するという仕組みだけではない。
自民若手からボトムアップで出てきた案だからだ。
提言をまとめた「2020年以降の経済財政構想小委員会(以下、小委員会)」に取材したBuzzFeed News。
インタビューには小泉氏の他、中核メンバーの村井英樹氏、小林史明氏の3人が応じた。
小泉氏と村井氏は36歳、小林氏は34歳。平均年齢50半ばの党で若さが際立つ。
きっかけは高齢者への「3万円バラマキ」
小委員会が生まれたきっかけは2015年。高齢者への3万円の臨時給付金だった。
選挙前の突然の「バラマキ」に3600億円が計上された。
真っ先に反対の声をあげた小林氏は、こう振り返る。
「待機児童の対策をしようにも『お金がない』と言ってるところに、いきなり高齢者への3万円給付が出てくるってどういうことだ、と。このままだと場当たり的な施策が続くという危機感があった」
小林氏に同調したのが、若手の中でも存在感のある小泉氏。
批判の声は党内に広がり、議論の受け皿として生まれたのが小委員会だった。
3月にこども保険の創設を提言すると「負担増だ」と反対の声も出た。
小泉氏はこの批判にこう答える。
「社会保険料の個人負担は15%。そこに、子どものために0.1%上乗せしようとすると、負担だと声が出る。高齢者向けだとポンと4000億円の財源がでた2015年とリンクしている。ここが今、日本社会が問われているところだ」
「負担増」と「不公平」という批判への反論
こども保険に対しては、負担増という批判以外にも、こどもがいない人も負担をすることへの「不公平」という批判がある。
小委員会は、次のように説明する。
まず、負担増について。
今回、小委員会がまず提案しているのは、保険料の0.1%上乗せだ。
安倍政権下では、雇用保険が2年連続で0.1%ずつ下がった。0.1%増は重い負担ではない、というのが小委員会の考えだ。
次に「こどもがいない人にとっては不公平」という批判に対しては「そこにこそ、こども保険を訴える意義がある」と反論する。
「子どもを社会全体で支える」という価値観を普及するためだという。
小泉氏はこう訴える。
「日本を支える社会保障制度の持続可能性が問われる中で、制度を崩壊させないための備え。子どもを社会全体で支えるという国づくりの方向性を示すものです。子どもがいる人、いない人にかかわらず、子どもは国の宝だと」
確かに、冒頭で記したように少子化がこのまま進めば、社会保障制度は破綻する。
子育て支援を拡充し、子どもを増やすことは将来の担い手を増やす。
村井氏は負担の公平な分配について、3つの層に分けて考えていると説明する。
一つは、就学前のこどもがいる人たち。
つまり、こども保険で直接的な利益を受ける人たち。
次に、現役世代で保険料を納めている人たち。
この人たちは、自分たちに子どもがいてもいなくても、成長した子どもたちが将来の社会の担い手になるという「間接的な利益」を得られる。
保険料を納めていない高齢者については、子どもが将来大きくなってから得られる「間接的な利益」が少ないこともあり、負担を求めていない。
・就学前の子どもがいる人たち=上乗せで直接的利益
・現役世代で保険料を納めている人たち=上乗せで間接的利益
・保険料を納めない高齢者=上乗せなし
この分類は、保険制度の原則である「受益者負担」を意識したものだ。
保険料を払う人と、給付で利益を得る受益者が一致すること。
こどもがいない人も「間接的な利益」を得るし、その利益が比較的少ない高齢者には上乗せしないことで説明をつけようとしている。
高齢者に負担を求めないのは、世代間の公平性を目指しているという小委員会の考えにそぐわないのではないか。
その点について、「医療介護の改革」が、ある意味での公平な負担に繋がる、と村井氏は説明する。
つまり、高齢者層に偏っていた福祉を子育て世代にバランスしていくこと自体が、間接的な意味での負担になるという考えだ。
消費税や国債ではなく、なぜ保険なのか
こども保険への批判は他にもある。
消費増税をすれば良いではないか、との批判だ。
「議論がぶつかる消費税から逃げているのではないか」という指摘だ。
消費税は1%引き上げれば、2兆円超の増収となる。
保険料と違って世代を問わずに広く負担することも、公平感に繋がるという指摘もある。
しかし、財務省出身の村井氏は消費増税論に反対する。
「消費税30年の歴史で減税とセットになっていない、いわゆる増税は一度だけ」だという。
増税が一度だけとは、どういうことか。
消費税は平成元年(1989年)に3%で導入された。
これは個別間接税を一本化したものだった。
1997年に5%に上がったときは所得減税とセット。
2014年に8%に上がったときだけが「いわゆる増税だった」という意味だ。
30年以上かけて、いくつもの政権を揺るがす論争を巻き起こしてきた消費税。
今から子育て支援の財源を消費増税に求めるのは、時間がかかりすぎると小委員会は考えている。
国債を発行すればいいという意見もある。
子育ては未来への投資。
であれば、将来的に返済する借金=国債がいいのではないかという意見だ。
小泉氏はこれにも反論する。
「未来への投資って何にでも言える。農業だって、科学技術だって。どれもこれも国債でやれということが続いたら、日本はどうなるのか。最後に国債を返すのは将来の子どもたち。今の時代の僕らが責任を持たなきゃいけない」
小泉氏「子どもがいなくても自分ごと」
小泉氏は結婚しておらず、子供もいない。それが説得力を生むという。
「こう言えるんです。『俺は子どもいないよ。だけど、こども保険が必要だと訴える。子どもがいようがいまいが、自分ごとなんだよ』」
子育て支援の活動は、こども保険だけではない。
地元での演説会を「0歳からの活動報告会」と名付け、親子で参加できるようした。
ベビーカー置き場や塗り絵も準備。
「泣いてもいいですよ」とポスターで呼びかけた。
「今までだったら、政治の場で赤ちゃんが来て泣いたら、うるさいから外に連れてってよみたいな雰囲気があったと思うんです。けれど、僕の報告会はそんな雰囲気ないです。『泣いてもいいって言ってるからね』みたいな。それが全体に対してものすごくいい雰囲気を生む」
「こういった場づくりを当たり前にして、世の中のあらゆるところが子どもがいて当たり前という環境づくりをすべきだというのが僕のメッセージなんです」
行く手を阻むシルバー民主主義?
一方で、高齢者への医療や介護に社会福祉が偏る理由として語られるのが「#シルバー民主主義」だ。
シルバー世代は大票田だ。
選挙に当選するためには高齢者への配慮が必要。
政治が子育て支援に冷淡で、高齢者福祉に偏るのは、高齢者への忖度ではないかという批判は根強い。
小泉氏も「それは感じる」という。
一方、村井氏は「忖度」とは違った形のシルバー民主主義を指摘する。
「ほとんどの議員がそうだと思うんですけど、知らず知らずの間に接する人が年配の人が多いんです」
小泉氏のような有名政治家をのぞき、議員演説会に参加する人は、ほとんどが高齢者だ。
自治会や敬老会などで議員がゲストに呼ばれることも多い。
「高齢者の票を代表しようと意図的に思っているというより、日々の政治活動において高齢者と接触する頻度が非常に高い。人口ピラミッドの話だけじゃなくて、政治風土みたいなのもあると思います」
政策決定過程のイノベーション
こども保険を、政府が6月に閣議決定する「#経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込むべく調整は続く。
日経新聞は5月9日、「党内で有力案になってきた」と報じた。
小泉氏はこの動きを「政策決定過程のイノベーションだ」と誇る。
「小委員会で提言し、それを受けて政調会長の下に特命委員会が立ち上がったことは自民党史上初の出来事だと思う」。
ボトムアップと言われる所以だ。
ただ、このような動きが報道されることは少ない。
現在の国会の話題の中心は森友学園問題。
少子高齢化とその対策は日本にとって喫緊の課題だが、このような政策論争が交わされていることを知る人は少ないだろう。
何故なのか。村井氏は「政策はなかなかニュースにならない」と語る。
「一方で、政局はニュースになります。本当に視聴者から求められているかどうかは分からないけれども、求められているという前提でマスメディアの皆さんが動く。結果として、自民党本部の中で議論があることはあまり報道されず、一方、予算委員会での森友学園の議論は大きくなってしまう」
「政策はニュースにならず、政局はニュースになる」
という言葉は、私が新聞記者だった頃から、新聞やテレビの記者たちから何度も聞いてきた。
首相も巻き込んだ森友学園に関する報道は確かに重要だ。
限られた紙面やテレビの報道枠の中で、全てを報じることはできない。
結果、地道な政策論争が国民の目に触れることは少ない。
そして、政策に興味をもつ機会すら奪われる。
小泉氏は、厳しくメディアを批判する。
政治部や経済部、各担当の縦割りのために横断的なテーマに対応できていないのではないか。消費増税に賛成しつつ、新聞に軽減税率の適用を求めるのは筋が通らないのではないか。
「社会保障の関係でいうと、公平な負担を求めて高齢者の負担増に切り込むと『高齢者負担増 生活は苦しく』という見出しになるでしょう。
逆に踏み込まないと『改革停滞 踏み込み不足』になる。
あなた方がメディアを通じて世に問いたいメッセージはどっちなんですか、と感じる」
日本の人口を保つのに必要な出生率は「2.07」
しかし、20年以上も「1.5」を下回る超少子化が続く。
このままでは2060年に、現在より3割少ない8674万人となる。
特に、労働力の中核となる15~64歳の人口は4418万人に。
一方で、総人口の4割に当たる3464万人が65歳以上となる。
超少子化であり、超高齢化だ。
2016 / 2月に放送されたNHKスペシャル「#私たちのこれから #超少子化 」。
専門家からは、いまが最後のチャンスだという「最終通告」まで飛び出した。
25~39歳の女性人口が2000年の約1300万人から、2030年には約800万人に落ち込むことが予想されているからだ。
(NHKスペシャル取材班「超少子化 異次元の処方箋」)
子供を産みやすい世代の女性が減れば、子供は減る。
「最終通告」がなされた所以だ。
盛り上がらない議論
それでは、各党はどのような公約を出しているのだろう。
出生率1.8への回復を掲げる自民党は、保育の受け皿50万人分増、保育士処遇の2%改善、幼児教育の無償化などを掲げている。
不足する保育士の処遇改善については、民進党など野党も公約に掲げる。
「#保育園落ちた日本死ね」が社会現象となったことを受けて、保育制度を充実させる施策が目立つが、出生率を劇的に回復させる目玉は見当たらない。
党首討論などでも、憲法改正や安全保障、アベノミクスなどの議論が優先される。
各党が対策をとることである程度一致する少子化対策は、争点として目立たない。
「政策の優先順位が明確ではない。社会保障のためだった消費税引き上げも、先送りになりました。NHKの世論調査でも、財政再建や社会保障への影響について不安を感じる人が72%に上っています」
22年前に見つかっていた処方箋
実は、と神原さんは話す。
「超少子化の処方箋は20年以上前に見つかっているんです。実行できていないだけ」
神原さんが「処方箋」と呼ぶのは、
1994年に文部、厚生、労働、建設の4省が策定した
「#今後の子育て支援のための施策の基本方向について(#エンゼルプラン)」。
NHKスペシャル取材班が出版した「超少子化 異次元の処方箋」に、その内容がまとめられている。
【少子化の原因と背景】
夫婦や家庭の問題ではなく、国や自治体、企業を巻き込む必要がある。
晩婚化によって若年層の未婚率が増加している。
女性にとって仕事と子育ての両立が容易ではない。
わが国の子育てには、心理的・肉体的負担感がある。
教育費など子育てコストの増大も、少子化を招いた原因の一つである。
【子育て支援のための基本的方向】
育児休業制度の充実や労働時間の短縮など、雇用環境の整備を進める。
核家族の進行に伴った育児の孤立感・不安感を防ぐ。
子育ての不安を取り除けるよう、地域社会と連携して豊かな人間性を育む。
子育てに伴う家計の負担を軽減、社会全体の支援方策を講じる。
現在にも共通する課題と、その処方箋が網羅されている。
ところが、エンゼルプランの策定後も、出産・子育て支援の予算が大きく増えることはなかった。
なぜ、実行できなかったのか
「超少子化」の本の中で、ある逸話が紹介されている。
元国立社会保障・人口問題研究所長の阿藤誠さんが、当時、ある自治体で子育て支援について講演した際に、首長が血相を変えて怒ったという内容だ。
「『小さな乳幼児を保育所に預けて、母親がほったらかしにして仕事に行くなど持っての他だ、けしからん』と批判されたんですね。(中略)当時は、子育ては女性がするものという伝統的な価値観がまだまだ根強く、国も、働く女性を支援する政策を恐々と進めていかざるを得なかった」
当時、厚生省で児童家庭局長を務めていた元・内閣官房副長官の古川貞二郎さんは、少子化対策に関して、「合意形成ができなかった」と証言している。
男女雇用機会均等法が1985年に制定され、女性の社会進出を後押しする流れが生まれていた。
そんな中で出生率を回復させようという政策は、反発が大きかったという。
「『均等法』が施行されて女性が積極的に社会進出をめざす気運が高まったのに、もう一度家庭に戻れというのか」などという反対意見が、省内の女性からも出たという。
古川さんはこう振り返っている。
「子どもを産みたいという人への支援が必要なんだと説得したのだが、当時は『産めよ殖やせよ』という戦時中のいまわしい記憶が、国民の中に根強く残っていたのではないか」
2000年には介護保険法が施行された。
「少子高齢化」とセットで語られる社会問題のうち、優先されたのは、高齢化対策だった。
滅びゆく日本を救うために
神原さんは超少子化について、「日本がじんわり滅びている」と表現する。
番組では2万人の視聴者にアンケートをとった。
「少子化対策に新たな負担はありか、なしか」。
結果は「あり」が8割だった。
「それだけの危機感を多くの人が持っている」と、神原さんは話す。
だが、選挙となるとどうだろう。
出産や子育てに最も関心がある20代の投票率は50~60代の半分、30代でも3分の2ほどしかない。
人口が多く、投票率も高い高齢者に候補者の目線が向くのは自然なことだ。
朝日新聞が6月に実施した世論調査によると、参院選で投票先を選ぶ際に重視するもので、1番多かったのが「医療・年金などの社会保障」 53%、次に「景気・雇用対策」 45%、3番目が「子育て支援」 33%だった。
ここでも、「医療・年金(高齢化対策)」>「子育て支援(少子化対策)」だ。
このまま日本は、死に至る病から回復できないのか。
今回の参院選から18歳、19歳も投票権を得る。
18歳による選挙と注目を集めるが、少子化問題が脚光をあびるためには、子育て世代である20〜30代の動きこそが鍵を握る。
新たな負担を背負ってでも、少子化対策を実施するべきだと答えた8割の視聴者。
神原さんによると、その割合に世代差はなく、どの世代も同じような回答だったという。
「未来に何を残せるのか。世代間の戦いにせず、国民一人一人の問題として、政治家も有権者も考えないといけない」
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