「#異状死体」解剖で見える貧困ニッポン!!!
日本では現在、年間約17万体の死体について、「発見の届け出」が警察に提出されている。
病院などで家族に看取られて亡くなった“死因の判明している遺体”ではなく、死因不明の「異状死体」の数だ。
そのうち殺された可能性がある、もしくはその可能性が疑われるものや、死因を解明すべきだと判断された死体は、全国の大学で組織される法医学教室で解剖される。
そして、解剖の結果、殺人ではなかったものの「格差社会化」や「高齢化社会」など日本が抱える問題を如実に感じさせる死因が判明することもある。
2017.05.09
CASE1 アルコール
『ケトン体急上昇で体が酸性化! アルコール依存が死を招く』
ある50代男性は生活保護費のほとんどを酒に当てていた。
そんななか、風邪でも引いたのか、唯一の栄養源である酒が飲めなくなったことで、酸性物質である「ケトン体」が上昇しすぎて亡くなった。
ケトン体とは、不足した栄養の代わりに脂肪を燃焼してエネルギーに変換する物質のこと。
ケトン体が異常に増えて体内が酸性化した結果、内臓が機能しなくなったという。
CASE2 凍死
『街中の自宅アパートで……。山中でもないのになぜ!?』
ある年の2月、自宅アパートで男性がうつぶせのまま倒れて亡くなっていた。
室内には争った形跡もなく、病院の通院歴も確認できない。
解剖した結果、彼は「凍死」していたことがわかった。
警察によれば、男性は数年前にリストラされ、妻とも離婚。
発見時にはライフラインすべてが止められており、部屋の中には食べ物も所持金もほとんど残されていなかった。
家賃滞納に困った大家が警察に通報し、遺体の発見に至ったのである。
CASE3 リストラ
『集合住宅の床下で生活し、寝たまま白骨化した男性』
50代と思しきその男性は、ある集合住宅の床下にある狭いコンクリートの空間で生活していた。
身の回りのものは綺麗に整理され、わずかながら食べ物の破片もあったという。
しかし、発見時にはすでにほぼ白骨化されており、突き止められたのは性別と推定年齢のみ。死因はわからなかった。
その後、解剖結果をもとに行った警察の捜査によって、彼が数年前にリストラされ、家を失っていたようだと判明した。
亡くなっても誰からも発見されず、無残に虫の餌食になる痛ましい孤独死者数は、この10年間で3倍にも増加している。
その中でも急速に増えているのが40代からの「団塊ジュニア」世代だ。
今なぜ彼らは「孤独に死する」のか? その実態に迫る。
アクティブサラリーマンがゴミ屋敷で
都心のアパートで、死後3週間で発見された40代後半の男性の現場は典型的なゴミ屋敷であった。
しかし、男性の遺品を見ると、もともとはアクティブだったようで、スキー、ゴルフなどスポーツ用品が大量に押し入れに入っていた。
また、ワイシャツやお洒落なネクタイが100本以上もクローゼットに眠っていたことから、いわゆる「独身貴族」を謳歌するサラリーマンだったようだが、そんな彼の日常が一変したのは、スポーツでのケガだったそう。
「ギプス類が押し入れから出てきたんです。10年ほど前までは活動的だったはずなのに、ここ数年で松葉杖生活に。それがきっかけで精神的にも病んで離職。ゴミに埋もれた生活を送っていたようです」
遺品整理を行うリリーフ千葉ベイサイド店の笠原勝成氏は語る。
ゴミ屋敷は身の回りのことを行わなくなってしまう「#セルフネグレクト(#自己放任)」の一種だといわれているが、この男性のようにケガや失業をきっかけに簡単に陥ってしまう。
孤独死は男性ばかりでなく女性も例外ではない。
一人暮らしのアパート、玄関の土間で倒れたまま1か月以上経過した30代の女性。
体液が階段まで伝わり発覚した。
死因は病死だが、セルフ・ネグレクトが疑われるケースも。
高齢者と違い、若年者のセルフ・ネグレクトは社会からも存在自体が見落とされやすく、孤独死へと直結してしまう。
ある日突然「孤独死者の遺族」に。
その時あなたはどうする?
「生活保護世帯や、行旅死亡人といった方のご葬儀を行政から承ることが、近年非常に増えてきておりますが、そのなかにも孤独死といった単身で亡くなられた方のご遺体をお預かりすることが増えてきたように実感しております」
そう語るのは、首都圏に自社式場を展開する葬儀社、東京葬祭の尾上正幸氏。
同社では首都圏に60を超える霊安設備を準備しており、自宅に安置ができないという遺族のニーズに対応しているが、年末年始などは、その要望に対して施設が足りないということもあるという。
葬儀社の霊安室は通常、一般の葬儀で自宅に遺体を安置できないという人のためにあるが、安置から身内の特定まで時間を要する孤独死者への対応により、一般の葬儀の要望にも影響が出てきているというのだ。
一方で、ある日突然「孤独死者の遺族」となる場合も増えている。
孤独死が起こると、警察はほとんどの場合で親族を突き止める。
ある日突然、会ったこともない親類が孤独死したことを警察から告げられ、葬儀や納骨の費用を負担しなくてはならず、困惑、困窮するといった事例もある。
「一人で亡くなった方のご葬儀を誰がやるのかというと、兄弟姉妹ならまだいいほう。最近では、葬儀を甥っ子姪っ子や、かなり遠縁の方がされることも増えてきていて、当事者が葬儀を精神的にも金銭的にも負担だと感じるケースもあります。
子供の頃に会ったきりの遠方のおじちゃんが孤独死したと警察から連絡が来て、結局、葬儀費用の負担を拒否した方もいます」
こうした孤独死者の葬儀は、火葬のみという簡素なものが多い。
自ら孤独を選択し、孤独死する覚悟ができている人には好都合のようだが、尾上氏はこう提言する。
「葬儀の形態が簡素になったとしても、誰の手も借りずに葬られる人はいません。死後はその人の意思で物事は動かせないんです。少なくともその後を託せる人間関係や縁を繋げておくことが大切です」
BBAN (비비안) - As Time Goes By (시간이 흘러가도)
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