変わる介護保険の負担と給付(3)!!! #上昇を続ける介護保険料

上昇を続ける介護保険料…このままでは危ない!?

来年度の介護保険料の見込額が明らかになりました。

厚生労働省の試算によると、会社員では290円アップの5,642円、

労使折半のない国民健康保険の人は、203円アップの5,555円となりました。

これはもちろん、過去最高の介護保険料。

高齢化に伴い、費用負担がますます増加しているのは一目瞭然です。

介護保険料は半分が税金であり、国民負担は増大です。

もう半分が自己負担で、今回の改定になったというわけです。


介護保険料は、制度がスタートした2000年には全国平均2,911円でした。

2014年には一気に全国平均4,972円へと上昇し、2015年以降は5,000円を突破することになりました。

高齢者が増え、急激に超高齢社会へと移行しつつある日本の中で、介護保険の費用は増大し続けています。

そのため、保険料の負担も仕方がないのかもしれません。

もちろん、今後も高齢化は進んでいきます。

そのとき、若年世代の介護保険料はどうなるのでしょうか?


2025年には、人数の多い団塊の世代が後期高齢者になります。

そして、その後も高齢化は進んでいきます。

介護保険制度が現在のまま進むとすると、ますます介護保険料の負担は増大する一方。

それは避けられないものとなるでしょう。


介護保険の改革が必要!?   限界の5,000円はとっくにオーバー

今こそ、介護保険の改革が必要なのかもしれません。

介護保険は、「5,000円の負担が限界」とも言われており、介護保険は第一号被保険者(65歳以上)の保険料が、基礎年金から天引きされています。


基礎年金は平均5万円程度。

そこから、5,000円以上もの介護保険料や、後期高齢者医療制度の保険料なども天引きされてしまうと、5万円から数千円~1万円もの保険料が天引きされてしまいます。

それでは高齢者の生活が立ち行かなくなります。


高齢者は年金が頼りであり、そんなに引かれてしまっては、生活が破綻してしまいます。

ですが、すでに介護保険料は、限界といわれた5,000円をオーバーしてしまっています。

2025年問題やその先の未来を考えたとき、いまこそ改革が必要な時期なのです。


介護保険料の増大は、これからも高齢化が進む日本では避けられない事態です。

それにともなって、必然的に介護保険料が上昇していきます。

それらを抑制するためには、いくつかの方法が考えられます。

公費の割合を増やす

現状、介護保険料は自己負担が5割、公費が5割です。

国としての借金が1,000兆円を超えた今、公費負担を増やすことは、将来世代への負担増を意味します。


少子高齢化が進んでいる現在、介護用の財源を確保するために借金を増やしていけば、将来的に日本の財政破綻にもつながりかねません。


財政が破綻してもっとも困るのは、年金だよりの高齢者です。

まだ現役世代は、いくらでも働いて生き延びることができますが、財政破綻してしまっては、国に支えられている高齢者は生きていくことができなくなり、本末転倒の事態になってしまいます。


介護保険の対象となるサービスを削る

これに関しては、すでに特別養護老人ホームの入所基準が要介護度3以上となったことで、軽度な要介護者へのサービスを縮小し、介護費用の抑制をはかっています。

これが果たしていいことなのかの判断は分かれますが、介護費用が抑制されていることは事実としてあります。


特別養護老人ホームへの入所を待っている人は、2016年4月の時点で、29万5237人と推定され、2年前の34万5233人に比べて、5万人減少しているというデータもあります。

比較的元気な高齢者が増え、高齢者の定義を65歳ではなく75歳以上にしようという提案もでている昨今、要介護度の低い高齢者には、元気に暮らしてもらおうという試みです。


高齢化が進んでいるのに、特養待機者が5万人減っているということは、これまでは、ある程度、軽症な方も、特養に入れていたということです。

今後は、そうした人にはできるだけ在宅や介護老人保健施設などに入所してもらい、特養の待機者を減らしていきたい考えです。

特養の待機者が減ったことから、特養のサービスを受ける人も減っていき、サービスの縮小が粛々と、ひそかに進められています。


自己負担の割合をアップさせる

そして、今回審議入りした、介護保険関連法の改正案です。

現役並みの収入がある人の負担を2割から3割に引き上げることなどが盛り込まれています。

野党は反対していますが、安倍晋三首相は、3割負担の人は特に限られた人材で、2割負担の対象者からもさらに範囲が限定されているとしています。

対象者の拡大が前提となるわけではなく、1ヵ月の負担額の上限額も設定されているとして、理解を求めています。


これは果たして、良い施策なのでしょうか?

3割に自己負担が増える人は、高齢者であっても現役並みの所得がある人を対象としています。

現役並みに所得がある人とは、すなわち介護を必要としていない人のことであり、資産を持っている高齢者のことを意味しています。


収入のある健康な高齢者が、収入のない要介護度の高い高齢者を支える仕組みとなっており、与党の方向性としては間違ったものではないでしょう。

ですが、ほとんどの介護保険の負担は、40歳~64歳の現役世代と、公費を負担しているその他の若年層と、今の子どもたち、そしてまだ生まれてきてもいない子どもたちが支えています。


急展開、高齢者の負担が増える!?

最後の案ですが、高齢者の負担は一気に増えることが考えられます。

超高齢社会の到来によって、働く高齢者も増えるようになりました。

その場合、要介護認定を受けながら働いている高齢者がそれほど多いとは思われず、健康な人と、要介護認定を受けている人に、はっきりと分かれていくような感じがします。

そして、健康な人が要介護認定を受けている人を支えられるように、衆議院本会議で介護保険料の見込額を増大させ、自己負担を3割に引き上げる案についての本格的な議論がはじまりました。


ですが、1割から2割に引き上げられたところです(一定以上所得者について)。

つい最近も改革があったばかりだということを鑑みると急展開なような気もしますが、これらの改革は避けて通れない道というのも、自明の理なのかもしれません。

今後の国会の審議の行方に注目が集まります。


利用者負担最大3割に向け、介護保険法改正案が審議入り 制度の持続性 焦点に

2017年04月03日

厚生労働省が2月7日に国会に提出した介護保険法等改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)が3月28日、衆議院本会議で審議入りした。

趣旨説明した塩崎恭久・厚労大臣は「介護保険制度の持続可能性を高めるとともに保険者である市町村の取り組みを推進することなどを通じて地域包括ケアの強化を図る」と述べた。

 

 同法案の柱は五つあり、
(1)要介護状態の改善などに応じた保険者への財政的な支援
(2)介護療養病床などに代わる介護医療院の創設
(3)障害福祉サービスを一体的に行う共生型サービスの創設
(4)2018年8月から現役並み所得のある利用者の3割負担導入
(5)40〜64歳の保険料計算に総報酬割を段階的に導入
——としている。  


政府は6月18日までの今通常国会での早期成立を目指す。  

また同法案の対案として民進党が3月22日に国会に提出した介護崩壊防止法案(将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案と、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の2法案の通称)の趣旨説明もあり、初鹿明博議員は「サービスは縮小、事業所は倒産、介護従事者は離職など、制度があってもサービスを利用できない介護崩壊に突き進んでいる。

介護離職ゼロとは真逆の方向だ」と話した。  

同法案には現在政令で定めている利用者負担2割となる人の所得額を規定することや、介護職員らの賃金を18年度から1人当たり月額6000〜1万円増やすことなどが盛り込まれている。 

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