日本の貧困対策は、食への危機感が欠けている...

日本初のフードバンク設立者が訴える


投稿日: 2017年01月04日 10時04分

まだ十分食べられるにも関わらず廃棄される「#食品ロス」が深刻だ。

日本の食品ロスは、年間に約632万トンもある一方で、「#相対的貧困率」は2012年に16.1%となり、6人に1人(約2000万人)が貧困状態とされる。

まだ食べられるのに処分される食品を集めて、食べ物に困っている人々に届ける社会福祉活動、それが「#フードバンク」だ。2002年設立のNPO法人「#セカンドハーベストジャパン(#2HJ)」は、日本におけるフードバンクの先駆け。


創設者のマクジルトン・チャールズ(Charles McJilton)さんは1991年、アメリカから留学生として来日。

東京・山谷で日雇い労働者などへのボランティア活動に携わって以来、貧困層の自立支援に取り組んでいる。

2HJでは、誰もが食べ物に困らない制度の構築を目指す一方、活動について「恵まれない人を助けるという目的だけではない」と語る。

その真意を聞いた。


■「フードバンクの存在を貧困当事者に教えてくれたら…」


「食品ロス」のうち、包装のミスやラベルの印字ミスなどが原因で捨てられているものは300〜400万トンにのぼる。

2HJでは企業から食品ロスの寄付を受け付け、社会福祉団体などと連携しながら生活困窮者などに提供している。


セカンドハーベスト・ジャパンの仕組み

2015年4月から生活困窮者自立支援法に基づき、暮らしに困っている人の自立を助ける「支援制度」が始まった。

自治体には貧困の相談窓口ができ、「働きたくても働けない」「住む所がない」という人たちが訪れるようになった。

ただ制度上、ホームレスの緊急対応を除けば、食べ物を届けるインフラはない。

こうした状況をマクジルトンさんは「衣・食・住のうち、食のインフラが欠けている」と指摘する。

「日本は医療が充実し、国民皆保険です。子供の医療費助成もある。自分の子供が事故や病気にあってもカバーできる素晴らしいセーフティーネットがある。公共サービスも充実している。たとえば図書館。毎日は利用しないが、必要な時に本や新聞に無料でアクセスできる。あとは交番。日本にはどこにでも交番があるし、犯罪率も少ない。自分自身は毎日使わなくても、存在するだけ安心して暮らせる」


「食に関しても同じようなセーフティーネットが必要だと思います。子どもたちが毎日お腹いっぱい食べられ、集中して勉強できる。高齢者の一人暮らしでも、毎日安心して食事ができる。そういう社会になればいいなと思います。まだまだ数は少ないですが、日本においてフードバンクが、図書館や交番のような公共サービスになったら良いなと思います」


「理想的には、行政の貧困対策の窓口で、私たちの存在を伝えてもらえると良いのですが…。

『食べ物に困っていたら、セカンドハーベストに行ってみてください。無償ですよ』と伝え、活用するかどうかは当事者の自己判断で良いと思います。私たちはそれで構わない。実際に食べ物に困っている人がいる。無償でサービスが受けられるという案内をしてくれるだけで良い。せめて、私たちの存在を貧困当事者に伝えてくれたらと思います」


■「フードバンクは必要ない」と言われることも…


マクジルトンさんは「すべての人に食べ物を」をスローガンに、食べ物に困ったとき誰でも利用できる「#食のセーフティーネット」の整備を目指しているが、支援を求める人々の中には、子どもに食べさせるため自らの食事を犠牲にする親が珍しくないという。行政や社会福祉協議会などと協力しつつ活動しているが、一方で「フードバンクは必要ない」と言われることもあるという。


「最近『#子ども食堂』という言葉がよく聞かれますが、数年前に都内のある地域で、登校前の小学生に朝食を提供するというプログラムを自治体と一緒に考えたことがあります。学校行く前にご飯が食べられたら午前中の勉強に集中できますよね。そこで、自治体の担当者に『週に何回やりますか』って聞いたのですが、担当者はこう答えたんです。『年10回にしましょう』って。想定していた回数が少なく、びっくりしました。その地域は3分の1が困窮家庭の子でした。援助が必要だとわかっていても、自治体側は『これ以上は難しい』という。月1回〜2回では『食堂』とは言えないのでは…と思いました」


「『食事は私たちが提供します』『企業に支援をお願いすることもできますよ』と提案しましたが、担当者は『難しい』と。それならばと、生徒や学校の先生、教育委員会など『すべての関係者といっしょに、もっと良い計画をつくりませんか』と提案しましたが、それもダメでした。食事は無条件で、無償で私たちが提供できる。税金をつかったり、学校に負担をかけるわけではなく、寄付金で運営できる。食べ物に困っている人がいるのに、緊急の案件だと考えていなかったのです」


「わずか月1〜2回の『こども食堂』は、一体誰のためのものなのか。『貧困対策をやっています』という姿勢だけになってしまうのでは。『できることをなぜやらないのか。まだ試してもいないじゃないか』と、とてもフラストレーションが溜まりました」


■日本のNPOには「ビジネス視点に欠けているところがある」

2HJの設立当初、食品を提供してくれる食品企業や団体はわずか1ケタだったが、2015年度には789にのぼった。一方でマクジルトンさんは、「募金や寄付を募る営業は一切しません」と語る。それは、「対等の関係を作れないから」だという。


「もし私たちが企業にお願いをすれば、企業が上の立場になり、私たちや食べ物をもらう人々が下の立場になってしまう。私たちは『余っているものを、希望する人々に渡せば有効に使えます。お互い助かりますよ』というスタンスでやっています。

私たちは非営利のNPO法人ですが、普通のビジネスのように運営したい。企業側に報酬はありません。しかし企業は、社会に貢献したという満足感を得られる。私たちも、恵まれない人を助けるという目的だけではなく『フードバンクという、活動そのものが面白い』と思いながら、楽しんで活動しています」



「子ども食堂」が全国で大はやり、困窮児童の「食」や「学び」を地域住民が支援=「子どもの貧困」は6人に1人―日本 

2016年7月24日(日) 7時40分


日本で「#子どもの貧困」が深刻化し、教育格差、貧困の連鎖が広がっている。

厚生労働省によると、最低限度の生活を保てないとされる「貧困ライン」以下で暮らす18歳未満の子供の割合「子どもの貧困率」は16.3%。

生活保護を受けている、もしくは年収が生活保護費とかわらない低所得の家庭で育つ子どもが、6人に1人いる計算だ。

先進国の中では突出して高く、特にひとり親の世帯では相対的貧困率が5割以上に達している。


こうした中、地域の子どもたちを見守り、「食」や「学び」を支えるネットワークづくりが進行中だ。

その一つが「地域を変える。

子どもが変わる。未来を変える」をモットーに、「子ども食堂」などを運営するNPO法人「#豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」(東京都)。


2012年6月に「全ての子どもがおとなになることにワクワクしてほしい」という願いを込めて、地域住民や弁護士、大学教授ら80人以上がメンバーとなって発足した。

現在豊島区に3カ所ある「子ども食堂」の開催場所は、ボランティアの家庭やお寺の施設。

子どもは無料、大人は300円で、月に2回、栄養バランスを考えたメニューの夕食を提供している。

利用しているのは、共働きで食事の支度をする余裕のない家庭や、経済的に苦しいシングルマザーの子どもなど様々。

食材のほとんどは寄付でまかなわれ、支援メンバーも全員ボランティアだ。


子ども食堂は一家団欒のような暖かさを味わえると好評で、子どもだけでなく母親たちも利用する。

また、親の帰りが遅い子どもたちのための「夜の児童館」も開設。

みんなででワイワイガヤガヤ夕飯を食べた後、大学生と一緒に宿題をしたり遊んだり、楽しいひと時を過ごす。

貧困家庭の子どもに学びの場を保障する「無料学習支援」も、同ネットワークの重要な活動だ。

学習を支援する学生や地域住民との交流を通して、保護者とつながり、生活支援へと広げていく。

進路や将来のことなど困ったときには相談に乗る。

外国籍の子どもへの日本語教育も始めている。


さらに、妊娠や出産の段階から、地域のお母さんを訪ねケアする「#ホームスタート」制度もスタート。

切れ目のないサポートが可能となり、育児ストレスや虐待を防止できるという。


地域には不登校、虐待、外国籍、障害など、さまざまな困難を抱えた子どもたちがいる。

栗林さんは「親の貧困によって、クラブ活動を諦めたり大学に進学できなかったりして多くのチャンス失う。

大人になった時にまた貧困家庭をつくってしまい『負の連鎖』が生まれる」と懸念、「子どもたちが環境に左右されることなく、自分らしい人生を歩んでほしい」と熱望している。


子ども食堂活動は全国に拡大し、首都圏だけでも30カ所に達している。

日本列島を縦断する全国規模の子ども食堂ネットワークがつくられ、今年1月には「子ども食堂サミット」も開催された。

かつては地域の皆で子どもたちを育てた。信頼できる大人や若者に支援されれば、子どもの人生が大きく変わる。(八牧浩行)


Urban Zakapa (어반 자카파) - Cafe Latte [eng]


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