#終末期医療;人生の最期の意思を示す" #事前指示書" 7割支持!

厚労省が事前指示書の作成について調査結果を発表


「事前指示書」に賛成する国民は66%にも!

先月の23日、厚労省は「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方」をテーマにした有識者会議を開催し、「人生の最終段階における医療」に対する意識調査(5年おきに実施され、今回は20歳以上の973人から有効回答)の結果を公表しました。


そこで終末期にどのような医療・療養を受けたいか・受けたくないかなどを記載した「事前指示書」をあらかじめ作っておくことの賛否を尋ねたところ、66%の人が「賛成である」と回答。


出典:厚生労働省 2018年03月01日更新

また「賛成である」と回答した人のうち、実際に作成している人は8.1%となり、前回調査時(2013年)の3.2%よりも4.9ポイント高い結果となりました。


終末期医療に対する国民の関心が少しずつ高まりつつある現状を反映した結果になったと言えそうです。

また同会議では、終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改定案もまとめられました。改定はガイドラインが2007年に策定されて以来、初めてのことで、ポイントとしてアドバンス・ケア・プランニング(治療の在り方を患者・家族側と医療側が話し合ってあらかじめ決定し、内容を定期的に見直していくこと)の重視などが挙げられています。


事前指示書とは今後の医療方針を”意思表示”しておくためのもの

そもそも「事前指示書」とは、患者もしくは健常な人が将来的に判断能力を失った場合に備えて、自分に行われる医療ケアのあり方を事前に意思表示しておくために作成する文書のことです。


現状では全国的に統一された書式などはなく、事前指示書を作成する施設や個人によって文書形式に違いはありますが、


自分自身で医療ケアの判断・選択ができなくなったときに備えて作成しておく。


どのような治療・医療行為を受けたいか、受けたくないかの意思を示しておく。


自分で判断できなくなった場合、その後の治療のあり方について、自分に代わって誰に判断してもらいたいのか、その相手を指名しておく。


といった目的の下で作られるという点では共通しています。


人生の終末期が訪れたときに、満足のいく最期を迎えられるようにする「ターミナルケア」への関心の高まり――。

今回公表された意識調査で、事前指示書の作成に対して肯定的に捉えている人が66%にも上った背景にはこのような価値観の変化があるようです。

ただ治療だけを目的とするのではなく、残された時間を充実させることを目的とするケアの考え方が、日本でも広まりつつあるわけです。


ターミナルケアにおいて"治療"とは

延命よりも肉体・精神的苦痛を緩和

近年関心が高まっているターミナルケアは、医療行為による延命よりも、病気による苦痛や不快感をできる限り緩和し、精神的な平穏と余生の充実を優先させるケアを意味するもの。研究者・医療関係者の間では、ターミナルケアの内容は主に「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」の3つに分類されているようです。


ケアの種類 内容

身体的ケア 投薬によって痛みを緩和するケア

精神的ケア 死に対する不安や心残りを緩和するケア

社会的ケア 孤独感、喪失感を緩和するケア



身体的ケアは、投薬によって痛みを緩和するケアがメイン。

患者本人が食事をとれなくなった場合に経管栄養を行うかどうかといったことは、この身体的ケアにおいてしばしば議論となるテーマです。

一方の精神的ケアは、死に対する不安や心残りを緩和することを目的に行われるケアで、生活環境の整備や家族、友人によるサポートなどが重視されます。


そして医療費が増えることへの不安感や、職場や家庭など人とのつながりが切れることからくる孤独感、喪失感を緩和するために行われるのが社会的ケア。

このレベルでのケアでは、入院から在宅医療に切り替えるという選択も1つの方法として考えられています。


余命のわずかな者のうち4割が緩和ケアを希望

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が2012年に行ったアンケート調査では、末期がんで余命が1~2ヵ月となったとき、「自宅で療養して、必要に応じてホスピス病棟や緩和ケア病棟に入院したい」と回答した人が38.7%に上りました。

延命治療を第一にするのではなく、心身ともに安らかに最期のときを迎えられるように、緩和ケアを望む人が調査対象者の4割近くもいたのです。

ところが、厚労省の「人口動態統計」によれば、2011年にがんによって亡くなった人のうち、自宅もしくは緩和ケア病棟で最期を迎えられたのはそれぞれ8%ほど。

大部分の人が緩和ケアを受けないまま、病院の一般病棟において亡くなっているのが現状なのです。


緩和ケアを受けられない原因としてあげられるのが、ケアを提供する医療機関の不足。

緩和ケア病棟を届けている施設は平成に入って以降増加し続けてはいます。

一方で2016年11月時点における緩和ケア病棟数は累計で321病院、病床数は6,421床のみで、決して多い数字とは言えません。

希望者に適切な緩和ケアを施せる環境づくりは、日本の医療における大きな課題だと言われています。


事前指示書の問題点

指示書に指示していたことが一致しない場合がある

事前指示書は判断力があるうちに、自分に施される医療について意思表示するのに有効な手段の一つ。

一方で法的拘束力を持たないということもあり、事前指示書で指示していたことが必ずしも実際に行われないということも起こり得ることです。その一例を紹介しましょう。


2006年、80代の男性が心肺停止状態で岐阜県の病院に運ばれ、医師は回復が難しいとの判断を下しました。この男性は生前、「再起の見込みがなければ延命措置をしてほしくない」という指示書を作成しており、家族側も患者の意思を尊重することを決めます。

病院側も倫理委員会を開いてその是非を検討、結論として延命治療の中止を認めました。


ところが、その病院の院長が県と相談した上で「国が定める指針がまだ明確ではないので、治療中止を決めるのは時期尚早」と判断。

一転して治療は中止となりました。

結果として、男性は人工呼吸器を外さないまま亡くなりました。男性は事前に作成した指示書通りの最期を迎えられなかったわけです。


事前指示書、ターミナルケアの導入のあり方については、日本においては議論がまだ継続している状況であり、いわば「移行期」にあるとも言えます。

人生の最期を考えるとき、これらが当然の選択肢として社会全体に受け入れられるには、もう少し時間が必要です。


事前指示をめぐる諸論点

事前指示書については、他にもさまざまな問題点が指摘されています。

その1つが、指示書を作成した時点と指示履行する時点との間に、時間的隔たりがあるという問題です。

事前指示書を作成する段階(正常な判断ができる段階)では、今後起こり得る、あらゆる状況を想定して指示書を作成するといったことは不可能であることは想像に難くありません。

そうした事情から、作成時に想定していなかった事態が履行の際に生じた場合、あるいは指示内容が明らかに不適切であると考えられる場合にどう対応すれば良いのかという問題が生じます。


また指示書から本人の真意をきちんと解釈できるのか、ということも問題として指摘されているようです。

本人が事前指示書で一切の延命措置を拒否していても、例えば終末期に脱水症状が起き、「水分補給することが延命になる」と判断される場合、「本人は水分補給すらも拒否する意思を持っていたのか」といったことが問題になることもあります。


さらに、本人が健常で理性的な思考ができる時期に作った指示書を、認知症の悪化などによって判断力や理性が衰えた状態になってから、「指示書の内容を変える」と主張した場合はどうすれば良いでしょうか。


かつて作成した指示書の方がはるかに合理的であるとしても、やはり本人の意思ということで作り直されるべきなのか。

この辺もまた、研究者によって意見の相違があるようです。


今回は、厚労省が行った意識調査で「事前指示書」に賛成する人が66%に上ったことを取り上げ、その背景にあるターミナルケアの考え方、そして事前指示書が持つ問題点について考察しました。


事前指示書は望み通りの終末期を迎える上で有用ですが、その一方で問題もいくつかあり、作成後にトラブルになることも十分にあり得ます。

ターミナルケアは人間の合理性がともなうシビアな問題。

一方で終末期の“あり方”への関心が高まるこれからの時代において、この問題を避けて通ることはできるのでしょうか。


#終活 #エンディングノート

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