介護福祉士資格有無でキャリア二分化!? #認定介護福祉士 #受験資格に450時間研修追加で介護福祉士希望者激減
介護福祉士会「我々は『介護士』ではない。『福祉』にプライドを込めている」
2016.12.5
#介護福祉士のことを「#介護士」と呼ばないで ー 。こう訴えているのは、日本介護福祉士会の石本淳也会長だ。
2日に行った記者会見で、「我々は『介護士』と表現されることが多いが、3大介護をこなすだけの作業員ではない。
介護の知識や技術、倫理観を用いて、質の高い生活支援、福祉を行う専門職だ」と強調。
「そうしたプライド、自覚を『福祉』という言葉の中に込めている。
『介護士』ではアイデンティティを損なう。そこはこだわりたい」などと語った。
また、「介護福祉士自身も『介護士』ではないことを正しく認識することが重要」とも述べている。
石本会長はこのほか、介護福祉士が現場で指導的・中核的な役割を担っていかなければならないとして、資質の向上や専門性の高度化をサポートしていく意向を示した。
また、「組織率が我々の非常に大きな課題。5%未満というのが実情」と説明。
「1人でも多くの仲間が必要。介護福祉士のステータスを上げる活動をどんどん展開していく。しっかり声を発信できる魅力ある団体にしていきたい」と意欲をみせた。
認定介護福祉士へ全国初の研修 長野県で30人が受講
2017年02月09日 福祉新聞編集部
介護福祉士の新たなキャリアパスの仕組み「認定介護福祉士」の養成研修が 2016年12月24日、長野県内で始まった。
介護福祉士30人が2018年9月まで演習を含む計600時間の研修を受講する。
研修は長野県介護福祉士会(畠山仁美会長)の主催。
「一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構」(理事長=大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長)が16年12月に認証した。
同機構の認証した研修はこれが初めてで、今後は他県でも研修の認証が進む見通し。
研修の科目は生活支援を軸に医療やリハビリテーションとの連携の在り方を学ぶものや、マネジメントに関係するものが中心。
認定介護福祉士は介護の根拠を言語化できる介護職チームのマネジャーで、同機構が認定する。
認定されるには介護福祉士として5年以上の実務を積んだ上で研修を修了し、同機構に申請することが必要だ。
受講料は主催者により異なるが、同県介護福祉士会の研修の場合は約60万円(同会会員は約35万円)。
職場が受講料の一部を負担するなど一定の条件を満たす場合、長野県が1人3万4000円補助する制度がある。
県地域福祉課は補助制度について「介護福祉士の地位向上に向けた先行投資だ。学んだことが職場で生かされて初めて意味がある。受講者の職場にはそのつもりで研修に送り出してほしいので、職場が費用負担することを補助の条件とした」と話す。
認定介護福祉士は、07年に改正社会福祉士及び介護福祉士法が成立した際、衆参両院から、より専門的な対応のできる人材の育成が求められたことを受けてつくられた。
介護福祉士の希望者激減で人材不足がより深刻に、受験資格に450時間の研修追加で
朝日新聞デジタル 投稿日: 2017年02月04日
介護福祉士、希望者が半減 受験資格に450時間の研修
介護福祉士の希望者が激減した。
1月にあった介護福祉士の国家試験への受験申込者数は前年度から半数に。
新たな受験資格に450時間の実務者研修が加わったことが主因とみられる。
高い技術を求めて待遇改善につなげる狙いだが、慢性的な人材不足にあえぐ現場には不安も広がる。
介護福祉士の国家試験は年1回で、1月に筆記、3月に実技が行われる。
受験申込者数は例年14万~16万人台で、2015年度は16万919人。
ところが16年度は7万9113人と落ち込んだ。
合格率は例年6割程度で、新しく資格を得る人も大きく減りそうだ。
16年度は介護施設などで3年以上の実務経験を積みながら国家試験合格をめざす「実務経験ルート」の受験条件が変更。
新たに450時間の実務者研修が加わった。
このルートは資格取得者の9割近くを占める。
研修の多くは通信教育で受けられるが、約45時間分の介護技術に加え、たんの吸引法などの医療的ケアも養成施設で学ぶ必要がある。
研修は最長で半年かかり、10万~20万円の費用負担もいる。
厚生労働省は職員が研修を受ける際の代替職員を雇うための助成制度などを始めたが、実施は24都道府県どまり。代わりの人が見つからず、研修を受けにくい背景も浮かぶ。
東京都内の特別養護老人ホームでは、受験を予定していた職員1人が研修を修了できずに見送った。
「本人に強い意志がないと難しい」と施設長。
兵庫県宝塚市内の特養では、受験者が15年度の半分の3人にとどまる。
担当者は「パートタイムで働いて、どうにか受験資格の従事日数を満たしていたような人は、受験しなくなる」と懸念する。
資格者からマネジメント職まで「介護職員のキャリアパス」を考察する
2016/11/16 17:00
団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、後期高齢者が2,000万人を突破します。
介護を必要とする高齢者の激増により、約30万人の介護人材が不足すると推計されています。
しかしながら、厚生労働省は介護人材確保策を講じているものの、目覚ましい効果は得られていません。
こうしたなか、厚生労働省の社会福祉審議会で議論されているのは「現有介護人材の活用策」です。
介護の専門家である介護福祉士の“あるべき姿”がポイントです。
介護福祉士が果たすべき役割を「チームリーダー」と規定
先月5日に開催された第6回「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」で厚生労働省は「介護人材の機能とキャリアパスについて」言及しました。
介護現場には、介護資格を有していない者、介護職員初任者研修修了者、介護福祉士の3者が混在し業務を行っている現状に触れ、それぞれの者が専門性の有無を問わず同様の業務をほぼ毎日行っていることを疑問視。
現有介護人材を十分に活用するためには、業務レベルに応じた「介護人材の類型化、機能分化が必要」と提案しました。
つまり、「介護人材の能力に応じて担当業務や役割を変える」という話です。
これまでは、介護人材の意欲、能力の有無を一律にとらえ、量的確保を目指してきただけに「質」へと方針を大きく転換したと言えるでしょう。
下記は、介護人材のキャリアパスの全体像を図表化したものです。
この図では、「知識・技術をそれほど有していない介護職」「一定程度の知識・技術を身につけた介護職」「介護福祉士」「一定のキャリアを積んだ(知識・技術を習得した)介護福祉士」の4段階に類型化されていることがわかります。
国家資格者である介護福祉士を中核的人材として位置づけているのがこのキャリアパスの特徴。
介護の専門職である介護福祉士がチームケアにおいてリーダーを担い、チーム内の介護職に対する指導やケア品質の向上に寄与することを想定しています。
キャリアがあっても業務が高度化しない傾向にある介護職員
介護サービスは「生活援助」「身体介護」「特定ケア(認知症や終末期などの医療ニーズの高い利用者への身体介護)」の3つに大別されます。
「介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書」によると、介護事業者は「生活援助」「身体介護」「特定ケア」の順に専門性が高くなると考えているようです。
下記のグラフは「資格なし」「初任者研修修了者」「介護福祉士3年未満」「介護福祉士3年以上」と介護人材を4類型に分け、キャリアによってそれぞれの担当する業務がどのように変化するか比較したものです。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を例にとって説明すると、「生活援助」の「掃除、洗濯、衣類の整理、ベッドメイク」においてはキャリアによる差が生じず、「身体介護」の「排泄介助」「移動・移乗、体位交換」「食事介助」では資格の有無を問わずキャリアによる差が小さいことがわかります。
一方、「特定ケア」については「認知症の周辺症状のある利用者への身体介護」「終末期の利用者への身体介護」「たんの吸引等」いずれの業務ともキャリアによって一定程度差が生じていることに気づきます。
とはいえ、介護現場においては、無資格者であろうと有資格者であろうとキャリアによって業務が大きく異なることは少ないと理解してよいでしょう。
ケアプラン作成、他職種連携。高度なコミュニケーション能力が求められるも担当業務にキャリア差はない
介護業務は先に挙げた「生活援助」「身体介護」「特定ケア」のほか、介護計画(ケアプラン)の作成や利用者家族などへの報告や相談対応なども含まれます。
また、自ら介護に関して情報収集を行い、医師、看護師など他職種と連携しつつ、よりよいケア方法を提案することも求められます。
すなわち、介護技術だけでなく一定程度のマネジメント能力やコミュニケーション能力も必要なのです。
「介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書」によると、介護事業者は、こうした業務は専門性が高いものとして介護福祉士が担うべきと考えているようです。
しかしながら、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における業務の現状を見ると、ケアプラン作成と情報収集、ケア提案の3ブロック間で担当業務において多少キャリアの差が生じているものの、特筆すべきものとは言えないでしょう。
ここでも無資格者であろうと有資格者であろうとキャリアによって業務が大きく異なることは少ないことが示唆されました。
介護福祉士資格の有無に応じてキャリアパスを明確化する
介護はチームによって提供されるものですが、ここで大きな役割を果たすのがチームリーダーです。
「介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書」で、介護事業者に向けて「介護職のチームリーダーに求められる能力」について尋ねたところ、下記の4つが挙げられていました。
しかし、現状十分に発揮できている施設は約3~6割に留まっています。
先に説明したキャリアパスによると、チームリーダーを担うべき人材は介護福祉士とされています。厚生労働省の資料で示されているチームリーダーが果たすべき役割は3つあります。
今後、このキャリアパスが一般化すれば、チームリーダーとして必要な知識の修得に向けた現場での研修プログラムの導入など介護福祉士をチームリーダーに引き上げるための研修が活発化するでしょう。
これまでは無資格も有資格者も同じ扱いを受けてきましたが、国家資格者である介護福祉士の果たすべき役割を「チームリーダー」と規定することで、資格の有無により研修内容などに差をつけてキャリアパスを明確化する方針です。
キャリアパスが明確化されることで、チームリーダーとそうでない介護職員が誕生する
厚生労働省は、介護人材の確保がままならない現状、現有介護人材、とりわけ介護福祉士の能力を高めることで「チームケア」を推進する方針。
介護福祉士がチームリーダーとして成長すれば、介護の質が高まるだけでなく、介護人材の定着にも役立つと考えているようです。
確かに高齢者激増時代のなかにあって、介護サービス提供の中核となる介護の専門家・介護福祉士の能力向上は必須でしょう。
しかし、ただでさえ人手不足の現状、このキャリアパスが一般化すれば介護福祉士の負担が過度になる可能性もあります。
結局のところ、責任と権限を明確にするなら、給与ほか処遇改善とセットで考える必要も。しかし、それは介護事業者次第。介護福祉士のキャリアアップに熱心な介護事業者には補助金などアメを与えるなど何らかの施策も必要かもしれません。
厚生労働省は、中高年齢者や他業種で勤務している者などを介護職に誘導すべく、各都道府県を通じて入門的研修を行うなどしています。
今後、介護サービスの担い手のスキルは介護福祉士である「チームリーダー層」と入職後間もない掃除やベッドメイクなどを手がける介護職中心の「基本サービス提供層」に二分化されるでしょう。
介護職員はどちらを目指すのか、今のうちに考えておいたほうがよいかもしれません。
新人介護福祉士の葛藤と成長を描く映画作品。いよいよ待望のキー・ビジュアルが公開に
2016/11/22 20:00
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