#ソーシャルワークのグローバル定義 #社会福祉士の定義の見直しを!!! 社保審専門委で養成校協会が提案...
ソーシャルワークのグローバル定義
日本語訳版 Global definition of the social work profession
●国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)
●国際ソーシャルワーカー連盟 (IFSW)
日本社会福祉教育学校連盟・社会福祉専門職団体協議会訳
(日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士協会、日本医療社会福祉協会、日本ソーシャルワーカー協会)
2014 年 5 月、IASSW へ提出済み最終版
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定義*
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知1を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける2。
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい3。
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注釈*
注釈は、定義に用いられる中核概念を説明し、ソーシャルワーク専門職の中核となる任
務・原則・知・実践について詳述するものである。
中核となる任務
ソーシャルワーク専門職の中核となる任務には、社会変革・社会開発・社会的結束の促進、
および人々のエンパワメントと解放がある。
ソーシャルワークは、相互に結び付いた歴史的・社会経済的・文化的・空間的・政治的・
個人的要素が人々のウェルビーイングと発展にとってチャンスにも障壁にもなることを認
識している、
実践に基づいた専門職であり学問である。
構造的障壁は、不平等・差別・搾取・抑圧の永続につながる。
人種・階級・言語・宗教・ジェンダー・障害・文化・性的指向などに基づく抑圧や、特権の構造的原因の探求を通して批判的意識を養うこと、そして構造的・個人的障壁の問題に取り組む行動戦略を立てることは、人々のエンパワメントと解放をめざす実践の中核をなす。
不利な立場にある人々と連帯しつつ、この専門職は、貧困を軽減し、脆弱で抑圧された人々を解放し、社会的包摂と社会的結束を促進すべく努力する。
社会変革の任務は、個人・家族・小集団・共同体・社会のどのレベルであれ、現状が変革と開発を必要とするとみなされる時、ソーシャルワークが介入することを前提としている。
それは、周縁化・社会的排除・抑圧の原因となる構造的条件に挑戦し変革する必要によって
突き動かされる。
社会変革のイニシアチブは、人権および経済的・環境的・社会的正義の増進において人々の主体性が果たす役割を認識する。
また、ソーシャルワーク専門職は、それがいかなる特定の集団の周縁化・排除・抑圧にも利用されない限りにおいて、社会的安定の維持にも等しく関与する。
社会開発という概念は、介入のための戦略、最終的にめざす状態、および(通常の残余的および制度的枠組に加えて)政策的枠組などを意味する。
それは、(持続可能な発展をめざし、ミクロ-マクロの区分を超えて、複数のシステムレベルおよびセクター間・専門職間の協働を統合するような)全体的、生物―心理―社会的、およびスピリチュアルなアセスメントと介入に基づいている。
それは社会構造的かつ経済的な開発に優先権を与えるものであり、経済成長こそが社会開発の前提条件であるという従来の考え方には賛同しない。
原則
ソーシャルワークの大原則は、人間の内在的価値と尊厳の尊重、危害を加えないこと、多
様性の尊重、人権と社会正義の支持である。
人権と社会正義を擁護し支持することは、ソーシャルワークを動機づけ、正当化するもの
である。
ソーシャルワーク専門職は、人権と集団的責任の共存が必要であることを認識する。
集団的責任という考えは、一つには、人々がお互い同士、そして環境に対して責任をもつ限
りにおいて、はじめて個人の権利が日常レベルで実現されるという現実、もう一つには、共
同体の中で互恵的な関係を確立することの重要性を強調する。
したがって、ソーシャルワークの主な焦点は、あらゆるレベルにおいて人々の権利を主張すること、および、人々が互いのウェルビーイングに責任をもち、人と人の間、そして人々と環境の間の相互依存を認識し尊重するように促すことにある。
ソーシャルワークは、第一・第二・第三世代の権利を尊重する。
第一世代の権利とは、言論や良心の自由、拷問や恣意的拘束からの自由など、市民的・政治的権利を指す。
第二世代の権利とは、合理的なレベルの教育・保健医療・住居・少数言語の権利など、社会経済的・文化的権利を指す。
第三世代の権利は自然界、生物多様性や世代間平等の権利に焦点を当てる。
これらの権利は、互いに補強し依存しあうものであり、個人の権利と集団的権利の両方
を含んでいる。
「危害を加えないこと」と「多様性の尊重」は、状況によっては、対立し、競合する価値観
となることがある。
たとえば、女性や同性愛者などのマイノリティの権利(生存権さえも)が文化の名において侵害される場合などである。
『ソーシャルワークの教育・養成に関する世界基準』は、ソーシャルワーカーの教育は基本的人権アプローチに基づくべきと主張することによって、この複雑な問題に対処しようとしている。
そこには以下の注が付されている。
文化的信念、価値、および伝統が人々の基本的人権を侵害するところでは、そのような
アプローチ(基本的人権アプローチ)が建設的な対決と変化を促すかもしれない。
そもそも文化とは社会的に構成されるダイナミックなものであり、解体され変化しうるも
のである。
そのような建設的な対決、解体、および変化は、特定の文化的価値・信念・伝統を深く理解した上で、人権という(特定の文化よりも)広範な問題に関して、その文化的集団のメンバーと批判的で思慮深い対話を行うことを通して促進されうる。
知
ソーシャルワークは、複数の学問分野をまたぎ、その境界を超えていくものであり、広範な科学的諸理論および研究を利用する。
ここでは、「科学」を「知」というそのもっとも基本的な意味で理解したい。
ソーシャルワークは、常に発展し続ける自らの理論的基盤および研究はもちろん、コミュニティ開発・全人的教育学・行政学・人類学・生態学・経済学・教育学・運営管理学・看護学・精神医学・心理学・保健学・社会学など、他の人間諸科学の理論をも利用する。
ソーシャルワークの研究と理論の独自性は、その応用性と解放志向性にある。
多くのソーシャルワーク研究と理論は、サービス利用者との双方向性のある対話的過程を通して共同で作り上げられてきたものであり、それゆえに特定の実践環境に特徴づけられる。
ここに提案した定義は、ソーシャルワークは特定の実践環境や西洋の諸理論だけでなく、先住民を含めた諸民族固有の知にも拠っていることを認識している。
植民地主義の結果、西洋の理論や知識のみが評価され、諸民族固有の知は、西洋の理論や知識によって過小評価され、軽視され、支配された。
この定義案は、世界のどの地域・国・区域の先住民たちも、その独自の価値観および知を作り出し、それらを伝達する様式によって、科学に対して計り知れない貢献をしてきたことを認めるとともに、そうすることによって西洋の支配の過程を止め、反転させようとする。
ソーシャルワークは、世界中の先住民たちの声に耳を傾け学ぶことによって、西洋の歴史的な科学的植民地主義と覇権を是正しようとする。
こうして、ソーシャルワークの知は、先住民の人々と共同で作り出され、ローカルにも国際的にも、より適切に実践されることになるだろう。
国連の資料に拠りつつ、IFSW は先住民を以下のように定義している。
・地理的に明確な先祖伝来の領域に居住している(あるいはその土地への愛着を維持し
ている)。
・自らの領域において、明確な社会的・経済的・政治的制度を維持する傾向がある。
・彼らは通常、その国の社会に完全に同化するよりも、文化的・地理的・制度的に独自
であり続けることを望む。
・先住民あるいは部族というアイデンティティをもつ。
http:ifsw.org/policies/indigenous-peoples
実践
ソーシャルワークの正統性と任務は、人々がその環境と相互作用する接点への介入にある。
環境は、人々の生活に深い影響を及ぼすものであり、人々がその中にある様々な社会システムおよび自然的・地理的環境を含んでいる。
ソーシャルワークの参加重視の方法論は、「生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける」という部分に表現されている。
ソーシャルワークは、できる限り、「人々のために」ではなく、「人々とともに」働くという考え方をとる。
社会開発パラダイムにしたがって、ソーシャルワーカーは、システムの維持あるいは変革に向けて、さまざまなシステムレベルで一連のスキル・テクニック・戦略・原則・活動を活用する。
ソーシャルワークの実践は、さまざまな形のセラピーやカウンセリング・グループワーク・コミュニティワーク、政策立案や分析、アドボカシーや政治的介入など、広範囲に及ぶ。
解放を促進する観点から、この定義は次のような考えを支持する。
すなわち、ソーシャルワークの戦略は、抑圧的な権力や不正義の構造的原因と対決しそれに挑戦するために、人々の希望・自尊心・創造的力を増大させることをめざすものであり、それゆえ、介入のミクロ-マクロ的、個人的-政治的次元を一貫性のある全体に統合することができる。
ソーシャルワークが全体性を指向する性質は普遍的である。
しかしその一方で、ソーシャルワークの実践が実際上何を優先するかは、国や時代により、歴史的・文化的・政治的・社会経済的条件により、多様である。
この定義に表現された価値や原則を守り、高め、実現することは、世界中のソーシャルワ
ーカーの責任である。
ソーシャルワーカーたちがその価値やビジョンに積極的に関与する
ことによってのみ、ソーシャルワークの定義は意味をもつのである。
社会福祉士の定義の見直しを 社保審専門委で養成校協会が提案
2017年02月15日
日本社会福祉士養成校協会は7日、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(座長=田中滋・慶應義塾大名誉教授)に、社会福祉士の定義の見直しを提案した。
ソーシャルワークを業とする専門職である旨を明確にしたい考え。
それと併せて、実習体制の充実や大学などを卒業した後の学び直しを後押しする仕組みが必要だとした。
同日の委員会は「ソーシャルワーク機能の強化」がテーマで、委員の一人、上野谷加代子・同協会副会長が説明した。
厚生労働省がかねて提唱する「地域共生社会」に関連し、対象を年齢などで選別しない相談体制や住民の互助活動の構築が政策課題になっていることが背景にある。
上野谷副会長は「行動できる社会福祉士が必要だ。政策の動向が私たちの向いている方向に合ってきた」と話した。
また、市町村社会福祉協議会や地域包括支援センターの職員(社会福祉士に限らない)を対象とした調査の結果、職員による住民活動の支援が不十分であることが分かったと報告した。
厚労省はソーシャルワーク機能の強化策を引き続き議論し、17年度中に社会福祉士養成のカリキュラムの見直しを進める予定だ。
同日はこのほか、介護福祉士などが担う医療的ケア(たんの吸引、経管栄養)の範囲を拡大するかどうかという論点について、「拡大することが介護人材の専門性向上につながるわけではない」とする慎重意見が上がった。
#社会福祉士 と #精神保健福祉士の国試対策講座 無料で動画配信...
2016年10月27日
日本社会福祉士養成校協会と日本精神保健福祉士養成校協会はこのほど、2017年1月の社会福祉士と精神保健福祉士の国家試験受験対策テキストを発行した。
両協会がインターネットで無料配信している講義を見ながら、必要なポイントを効率よく学ぶことができる。
テキストは社会福祉士用が全350ページ、精神保健福祉士用が全326ページで、いずれも1冊3900円(送料・税込み)。
映像は各分野のプロが講義し、1科目90分。
すべて撮り下ろしだという。 販売の受け付けは 2016年12月21日まで。
詳細は専用サイトへ。http://www.jascsw.jp/webkouza/
複数の資格を取りやすく 医療・福祉の共通基礎課程、21年度の実現目指す 厚労省
2017.2.8
厚生労働省は7日、医療・福祉系の専門職を養成するプロセスで共通の基礎課程を創設する構想について、2021年度の実現を目指す方針を示した。
来年度から検討を本格化させる。
既存の制度・分野にこだわらずにサービスを提供する「地域共生社会」に向けた工程表に盛り込んだ。
共通の基礎課程は、複数の資格を取りやすくするための仕掛け。
1つ目の道のりで修了していれば、2つ目以降はその分の時間を短縮できる。
多様化・複雑化している現場のニーズに対応できるようにすることや、限られた人材により幅広く活躍してもらうことなどが狙いだ。
厚労省は昨年5月、こうした考えを経済財政諮問会議で表明。政府が6月にまとめた「 #ニッポン1億総活躍プラン」にも書き込み、内部で調整を進めてきていた。
「養成課程を『縦割り』から見直す」
今回の新たな工程表では、「各資格の専門性の確保に配慮しつつ、養成課程のあり方を『縦割り』から『丸ごと』へ見直す」と強調。
共通の基礎課程をめぐる具体的な議論を来年度から初め、2021年度を目処に導入する計画を明記した。
資格としては、介護福祉士や社会福祉士、保育士、看護師、理学療法士などを想定。
実際にどんな組み合わせを認めるかといった詳細は、これから協議して固めていく予定だ。
共通の基礎課程を設けるまでの「当面の措置」も提示した。
介護福祉士や社会福祉士といった福祉系の資格を持つ人が保育士に挑戦するケースについて、カリキュラムや試験科目の一部を免除するという。
「今年度中に運用改善を検討する」と説明。
現在は保育士の学校を出た人が介護福祉士を目指す場合に、養成課程の一部を省略できるようになっている。
工程表にはこのほか、2018年度の介護・障害報酬改定で「共生型サービス」を新設したり、住民からの相談を横断的に受け付ける体制を普及させたりして、2020年代初頭には「地域共生社会」を全国展開することなどが掲げられている。
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