2017年1月1日から、要介護度が低くとも #介護休業を取りやすくする指針 【 #ニッポン1億総活躍プラン #雇用保険法等改正法 】
厚生労働省は、2017年1月1日から、要介護度が低くとも介護休業を取りやすくする指針をまとめました。
これにより、現在は要介護度2~3以上でなければ取得できなかった介護休業が、要介護1~2相当でも介護休業が取れるようになります。
同時に、介護休業中の給付金の引き上げも40%から67%へと引き上げられ、金銭的にも負担が軽くなる方針です。
これは、ニッポン1億総活躍プランで盛り込まれた「介護離職ゼロ」を実現させるための施策です。介護は働き盛りの40代~50代に負担がのしかかることが多く、企業側にとっても、長年育てた人材を介護離職によって失うのは大きなロスになるからです。
従来の介護休業の判断基準が明確になった
これまでは、介護休業を取ることができる基準が非常にわかりにくく、複雑だということで敬遠されてきました。
企業の要介護者が家族にいる人のうち、介護休業を取れているのはわずか数%だという試算もあります。
<介護をしている雇用者の年齢別割合>
30歳未満(3.9%)
30歳代(8.5%)
40歳代(20.0%)
50歳代(41.2%)
60歳代(23.2%)
70歳以上(3.2%)
これまでは、要介護の基準として以下の要介護2~3相当のものを要件としていました。
以下のうちこの5項目で「全部介助が1つ以上」もしくは「一部介助が2つ以上」あり、その状態が継続すること
以下7項目で「重度もしくは中度が1つ以上」あり、その状態が継続すること
しかしこれは、介護保険制度の要介護度とは判断基準が違い、専門知識を持たない人にはわかりにくいという難点がありました。
また、同時に、1987年当時の特別養護老人ホームへの入所基準を参考に作られているため、現状では8割が在宅介護の今、現在の介護事情と合致していないという難点がありました。そこで、要件が緩和されたのです。
新しい基準は、以下のように「自分で可」「一部介助、見守りが必要」「全部介助が必要」に分かれています。
「できない・全面介助が必要」が1つ以上、もしくは「一部介助が必要」が2つ以上あり、その状態が継続すると考えられるものが認められるとなっています。
要件が緩和されたことで介護休業を認定してもらいやすく、要介護1でも、40歳未満のための介護休業も取得することができるようになります。
これによって、早期にケアサービス等へつなげ、重度の要介護状態になる前に対策を取ることができるため、従業員の仕事への復帰もスムーズになることが見込まれています。
従来は、ある程度要介護状態が進まないことには介護休業が取れなかったため、介護休業に入った時点ではすでに介護度が進み、手遅れになってしまうこともありました。
今回はそれを事前に防ぐための施策でもあります。要介護度が低い状態で介護ができれば、いくらでも手の打ちようがあるのです。
介護離職者を減らして、社会にもっと活気を!
今回の緩和は、2017年の1月から実施されます。
3月29日には、介護休業を合計3回まで、最長93日まで分割取得できるようになる、#雇用保険法等改正法が成立しています。
現在、年間10万人にも及ぶ介護離職者の数を減らし、社会に活気を取り戻すことが狙いです。
会社の事業主にも理解が求められ、社会全体で介護をカバーしていこうという意気込みが見られます。
多くの人がより社会で働きながらも介護と生活を両立させるために、いま、できることは何なのか、継続して考えていく必要があります。
また少しでも規制などはどんどん緩和していって、自由競争の中でより介護のサービスの質と賃金が上昇するような仕組みを考えて、政府も後押ししていくことが求められています。
介護休暇の取得も柔軟に
今回の介護休業の要件緩和には、介護休暇の取得単位の柔軟化も含まれています。
たとえば、以前は1日単位で取得していたものを、所定労働時間の半分、半日単位での取得が可能となったのです。
これによって、半休で済む介護は、半休の範囲内で取得して介護にあたってもらい、あとは労働に従事すると行った柔軟な働き方が可能となります。
介護休暇は、介護休業とは別のものです。
要介護状態にある家族の介護、またその他の世話を行う人が、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護などの世話を行うために取れる休暇のことで、給与が支給され、有給と同等の扱いをされます。
また、介護のための所定労働時間の短縮措置も、同様に含まれています。
所定労働時間の短縮は、これまで介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能だったものが、介護休業とは別に、利用開始から3年間の間で2回以上の利用が可能となりました。
これによって、介護のため早退を希望する人などの職場でのフォローがよりしやすくなります。
残業の免除も行われます。
これまで、介護の負担がある人にも、残業は課せられていたのですが、今後、介護を行う人には、残業が免除されることになりました。
対象家族1人につき、介護終了まで所定時間外労働の免除を新設したのです。
より働きやすくなる?2017年の介護問題
これらの要件が緩和されたことによって、会社での介護制度の後押しが準備され、より従業員にとっては働きやすくなります。
ですが、会社側の負担は増えることでしょう。それらを防いで制度疲労を起こさないようにするには、ワークシェアリングなどの導入が欠かせません。
今は企業も国も、大介護時代の到来にしたがって、改革が求められているのです。
より働きやすく、介護しやすく、そして復帰しやすい企業や社会を作っていくことが、今の企業社会に求められているのです。
それらを監督する厚生労働省も、より規制を緩和して、介護に余計な障壁がなくなるようにしなくてはなりません。
そして、国全体として、介護人口が大幅に増える2025年に向けて、対策を講じていく必要があるのです。
そのためには、規制緩和は放置しておけない事項で、国としても今後はより制約を廃止する方向に向かうでしょう。
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