次世代介護システム = 国際福祉機器展 2016 =
目標は「世界一の介護先進国」 政府、AI活用のロードマップ案を提示
2016.11.5
人工知能(AI)の社会への実装を目指す政府が、今後の研究開発の目標やその達成時期などをまとめたロードマップの素案を明らかにした。
医療・介護の分野は大きな柱のひとつだ。「膨大な情報をビッグ・ データ化し、AIを使って世界一の医療先進国・介護先進国を構築する」とのビジョンを描いた。健康寿命を延ばすサービスの合理化やケアの効率化を実現し、費用の抑制に結びつける考えを明確に打ち出している。
「未来投資会議」の「第4次産業革命」をテーマとする会合で、2日に公表した。今後、産学官の有識者などで構成する「人工知能技術戦略会議」で議論を深め、来年3月までにロードマップを正式に決める予定。6月にまとめる成長戦略にも反映させ、イノベーションを加速させる施策の展開につなげたい考えだ。
素案では、介護の現場でAIを有効に活用できる具体的な手法として、「人が見ていなくても利用者の行動が見守られるシステムや会話ができるロボットによるコミュニケーションを通じた利用者の状態の把握・対応」を例示した。そのうえで、行動パターンや動作などから異常を検知して通報する精度の高い機器の普及を進め、2020年代には在宅でも一般化させるとの目標を提示。2030年代には、相手の精神状態や感情を認識したり、行動を事前に予測したりする汎用ロボットを実用段階にもっていき、ある程度の業務を任せられるようにしたいと記載した。
パナソニック、次世代介護システムを披露 IoTやビッグデータを駆使 2010年代に実現も
今月12日から14日まで開催されていたアジア最大級の介護機器などの展示会「 #国際福祉機器展 」。
有料老人ホームなどの展開に力を入れてきた #パナソニック は、最新の技術を駆使した次世代の包括的な介護システムをプレゼンテーションし、そのスマートさを聴き手に印象付けた。
ベースとなっているのはICT、IoT、ビッグデータだ。
今や聞き慣れたキーワードだが、それぞれのポテンシャルを最大限に引き出して現場を合理化・効率化している例はまだ少ない。
2010年代のうちにモデルを確立し、サービスの質の向上と職員の負担軽減につなげるプランを打ち出しており、現場のイノベーションを牽引する成果を出せるか注目が集まっている。
「先進ケアソリューション」。
パナソニックはそう呼んでいる。
センシングなどで様々な機器から集めた情報を、施設内で迅速に共有したり整理して端末に表示したりするほか、適確な支援のエビデンスとして継続的に蓄積していくことで、個々の特性にマッチした無駄のないサービスを可能にする構想だ。
設備のハイテク化や使い勝手の向上を図り、より便利で快適な環境を生み出す取り組みも含まれる。
「介護の担い手となる職員も含めて、もっとゆとりのある生活を送れるようにすること」。それがゴールだと説明した。
「積み上げたノウハウとICT、IoTを融合」
パナソニックは今回の展示会で、練り上げた未来図の一端を「 #少し先の施設 」として披露した。
プレゼンによると、ベッドは心拍数や呼吸、体温などを計測。
夜間にきちんと眠れているかも確認する。
エアコンやルームセンサーは、室内の温度や利用者の動きなどを把握する機能を持つ。
緊急の場合は即座にアラートを出す。
得られたデータは全て、クラウドサーバーに吸い上げられていく。
申し送りで使うファイルにリアルタイムで反映され、注意すべきポイントも自動で追記される。
必要があれば、かかりつけ医や訪問介護の担当者などにも伝達。
全体として見守りの精度を高め、関係者の負担を大幅に軽くする。
大勢が集まるリビングにも、それぞれの行動や姿勢などを認識して転倒のリスクを知らせるカメラを設置。
照明には「ブライトケア」の考え方を取り入れた。
日中の間は明るさを上げて光を補い、夕方になると徐々に暖かい色合いへ切り替えるなど、LEDライトを自然に倣って調節。
生体リズムが狂わないように演出する。
夜間の眠りが深まらず、日中にウトウトしてしまう。
そんなサイクルが常態化するのを防ぐ効果を見込んでいる。
このほか、自分の姿を見ながら体を動かせるリハビリサポート機器「デジタルミラー」も用意した。
ビッグデータを材料にして、ひとりひとりの状態に合った最適なメニューを提供できるのが特徴だ。
活動量の減少や不自然な会話といった予兆を察知し、MCI(軽度認知障害)をいち早く見つける仕組みも開発しているという。
パナソニックが介護事業に参入したのは1998年。
プレゼンでは、「積み上げたノウハウとICT、IoTなどのテクノロジーを融合させる」と強調。
「ソリューションをトータルで提供できるのが我々の強味。
物と物、物と人、人と人をつなげる技術で新たな価値を創造する」と意欲をみせた。
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